五十八 囚われてる女性達
引き続き、恵視点
隠し部屋の中を覗く…
中の様子…想像以上に雰囲気悪い
囚われてる五人の表情が暗すぎる
「…そんな…姉様!?」
私の横からエリルが急ぎ足で一番奥の女性に駆け寄る
しかし、その女性は反応しないでぼーっとしてる
あぁ…。これ…は…、酷いな…
『…師匠。この人達は先に囚われてました。私達はここに囚われててから、すぐに連れ出されましたから…』
ミリアが横から耳打ちする。…ん?師匠?気のせいかな?
とりあえず、そこはスルーしとこう
で、この五人は…もうすでに汚されちゃってるよね
姉さんほど効果ないけど、私も少し治癒魔法やってみるか…?
心まで治せなくても、体の方はなんとかなるだろうし
とりあえず、一人づつ見てみようか…
歩きながら近くの二人に視線を向ける
まず、獣人の子…猫獣人か
衣服ボロボロ…けど外傷はない?表情が暗い
隣も獣人の子か…こっちは狼獣人
同じくボロボロ。抵抗でもしたのか傷が所々ある。そして、私を睨んでる
その奥にいる人族…街民かな?
衣服ボロボロ…こちらは俯いて震えてる
「姉様…。なぜ…こんな事に…。こんな…酷すぎ…ですわ…」
そのさらに奥、エリルが泣きながら抱き付いてる女性と、隣の女性
エリルが抱き付いてる女性は傷が酷い…しかも新しく出来た傷まである
かなり痛め付けられてたっぽいな…無表情でぼーっとしてるけど…心壊れてない…?大丈夫?
隣の女性も体に同様に傷が…でも、泣いてるから心の方は無事か
この二人はもしかすると、四人が連れ出されてからわりとすぐに酷い目に合ってたのかも…
さて…最大の問題。この五人を助けるには治癒魔法で体を再生させる必要がある。でも私は姉さんほど効果が高くない。彼女達の体を完全に癒すには天使の姿を晒してまで効果を引き上げる必要がありそうだ
姉さんなら多分、人の姿でも癒せるだろうけど…失った物を再生するには私だと力不足…
そして…その場合、私の本来の姿をこの九人に見られると言うこと…
正直、リスクが高過ぎる…
どうするか…うーん…
『多分黙っててくれるわよ?』
え?…えぇ!?ルーファ!?なんで…ここに…?
咄嗟に、声の方向に振り向く
すぐ隣で、メアはニコッと笑って見てる
なんか…その笑みすっごく見覚えがあるんだけど…?
私がジト目をすると、メアはにこにこ笑顔を私に向ける
『うふふ…』
うん、確実にその笑顔も見覚えある。お前ルーファでしょ?
『…介入されたみたい。あれ本体』
あっ…戻った。メアはルーファの分体か、なにかみたいだね…
『…メアは別個体。…だから…虐めないでね?』
虐めないよ。…なるほど、自分だと都合悪いから別個体を作ったのか…
本当に何でもありだな…あの堕天使
『…別個体は他にも…何体も居る…よ?。各地に…散ってる…。ただ…メアは特別製…二人のお手伝い…さん?』
私達の為にメアを作ったと…?。保険…?それとも、監視?
『治療…メアも協力する。本体より…遥かに能力弱い…けど…』
協力してくれるのか…。後、本体の強さはあれがおかしいだけだから気にする必要ない
よし、覚悟を決めるよう…。
「貴方達は今から見たものを黙っていられるなら、貴方達は元の傷一つない綺麗な体に戻ることができるけど…黙認できる?」
私が全員に聞こえるように問う。
まぁ綺麗な体に戻れるなら絶対にすがって来るはず
案の定、五人は微かな希望を感じたらしく、目に光を宿す
「ほ…本当ですの…?お願いですの…助けてくだまし…」
エリルが抱き付いてる女性が初めて反応した
後、他の四人も私の周りに集まってくる
「じゃあ…絶対に黙っててね」
「メアも…」
私は魔力を解放して本来の姿に戻る…天使の姿
隣でメアも天使になってる。
…ん?…小さい白い翼と小さい輪っか。
メアは堕天使じゃないんだ…。低級天使?
「メアの魔力も…使って」
メアが手を繋ぐ…繋いだ手から魔力が流れ込んでくる
一時的に本来の魔法のLvより上の魔法が使えそうだ…
私、天使の姿でも上位治癒までしか使えなかった…。けど、今なら上位範囲治癒まで使えそう…
「この者達に生命の息吹きを〈エリアハイヒール〉」
ここにいる全員をまとめて癒す…
…おぉ、本当に使えた。ただ、もの凄く魔力使ってる…
なにこれ…めっちゃ急激に怠くなる…
「メア…もう駄目…。バタンキュ~…」
ちょっ!メア!?手を繋いだまま、いきなり倒れないで…
私も怠いんだから…。姉さん…こんなの使って、よくピンピンしてられるなぁ…
はぁ…凄く疲れた…
なんか効果がエキストラヒール並みになってるし
消費魔力がなぜか、数倍?十数倍?…メアの魔力も含めてるし十数倍か…。
それだけの魔力使ってるし…滅茶苦茶だよ…
まぁ…全員、喜んでるし結果は良いか…。
隣でメア寝てるし…。でも、今は私も擬人化する気力すらないし
私も少し休もう…
「ほぁー…羽ふさふさです…」
ん?誰かが私の翼を触ってる…
サラか…気持ち良さそうに羽を触ってるな…
「触っても良いけど、羽抜かないでよ?」
…残りの七人が一斉にこっち向いた?なんか目付き怖いんですけど…
ま…待って、全員で来ないで…ちょま…うわぁぁぁぁ…
「凄いふさふさですのね」
「触り心地最高ですわ」
「綺麗な羽ですにゃ」
「輪っか…どうやって浮いてるんでしょう?」
「おぉ…輪っかは硬いぞ」
私…めっちゃ集られてます…助けて…
後…輪っかには触らないで…。それ触られると…体がビリビリする…
「うぅ…ん~…」
「メアちゃんの翼は小さいです」
「メアちゃんも天使だったんですね…」
メアも寝てるのに構わず弄られてる…私の手握ったまま離さないけど…
なるほど…毎回もみくちゃにされる姉さんの気持ち少し分かったかも…
抵抗意味ないし、満足するまでされるがままになるな…これ…
でも、私が姉さんをもみくちゃにするのは止めないけど
(えっと…。メグミ…お姉ちゃん?…。)
ん?いきなり頭に…テレパシー?
(メアです…。…今は魔力を介して…思念を送ってる…)
あぁ手握ったままだから、魔力通したのか
んで、なにか?
(…メアの事…。メアは…正式には天使…じゃない…です。…メアは正式には…天使の…複製体。…コピー。…だから、天使特有の…強さも…加護もない…です…。)
つまり、天使の人数には入らない。って事?
(…そう。…あくまで…天使は主神が…作った物…。お母さん…本体も…一応、…女神だけど。…メアはあくまで複製体…)
…待って…待て…今凄い事言わなかった?
(…?)
とぼける必要ない
(…メア、何か…言った?)
あぁ…素で分かってないのか…
ルーファが…女神?じゃあ、五体の天使の残り一体は…?
(…メア…お姉ちゃん達…より後に作られたから…詳しく知らない…です…)
あっごめん。メアに聞いた訳じゃない
メアの事は…いずれルーファに聞く。色々と話して貰わないといけない事増えたし。
次、姿を見せたら、絶対に逃がさない!
「メア…。充電…完了!」
メアがむくりと起きる
もしかして、こっそり魔力盗んでた?
まぁ私も魔力、半分位には回復したし、そろそろ姉さんを見に行くか…
「そろそろ触るの終わり」
擬人化して、翼と輪っかを隠す
続けてメアも擬人化する
「「「えー!?終わりー?」」」
何人か不満あるらしい…。でも、私は玩具じゃないから
…本当に黙っててくれるのか?こいつら…
凄く不安なんだけど…
さて、この人数を私だけで守るのは厳しいから戦える者は戦って貰おうかな
まず、貴族姉妹は魔法が使えるらしいから後方から火力支援
次に、獣人二人は近接戦闘が出来るらしいので前衛
残りの三人は特にないそうなので、真ん中で守られるように…
これで、陣形は良いかな
「殺りますわ」
「汚された恨み晴らすにゃ」
「ふふふ…皆殺しにしてやる…」
「殺るからには徹底的にやってやりますの!」
「はい…これ剣。…使って」
メアが、いつの間にか盗賊から拝借してた剣を獣人二人に渡して戻ってくる
私はミリアと遊撃として動くかな…
「…メアも…戦える。魔法も…使える」
キラキラ目で私を見てくる…。メア…やる気満々
「分かった…。私の隣で遊撃ね」
「頑張る…」
無茶はしないでよ?
…中央のコロシアムに向かう途中…
とりあえず、私は戦闘に参加しないでしばらく様子見てる…
出会う盗賊達…皆ズタボロになって容赦なく止め刺されてるし
獣人二人は殺意マシマシで追いかけ回し、貴族姉妹は全く容赦しないで魔法乱発してる
冒険者のミリアも教えた通りに短剣を振るい、逃げ出した盗賊をメアと一緒に追い、仕留めてる
恨みが凄い…私がビビるくらい…恐ろしい…
「あたし、また二人殺りました!…あれ?師匠どうしました?」
「メアも…一人殺った…」
あっ…ちなみに、ミリアとメアは盗賊倒したら、すぐこっちに戻って来て報告しにくる
子犬かな?めっちゃ尻尾振ってるように見える
狼獣人も近くにいるのにね…。
そして、ミリアの師匠呼びは気のせいでは無かった…
「…。メグミお姉…ちゃん。あれ…」
ん?メアが指差してる…
あれは…ラヴィさんの周りに良く集まってる球体?
一つで居るなんて、珍しいな…
しかも、いつもより透けてるし…どうしたんだろう?
「メア…持って来る」
メアがとことこと歩いて、ふわふわ浮いてる低級の風精霊を手で掴み持って来る。
「魔力…無いみたい」
はいって私に差し出す
つまり…魔力分けてあげろ…と?
メアはこくんって頷いてる
まぁ…ラヴィさんのペット?みたいなものだし良いか…
両手で球体を包み魔力を流す
球体が光り姿を変える…
人形…緑色の小さい少女に
「わぁ…。ありがとうなの。」
精霊は自分の姿を確認して、くるくる回ってる
「あ…そうだった!ラヴィちゃんが大変なの。」
え?…姉さんと一緒じゃないの!?姉さん…また勝手な事したな!!
「ラヴィちゃんの所に案内するの。付いてきて欲しいの」
嫌な…予感がする。とりあえず、急ぐよ!
私は女の子達を連れて、精霊に付いて行く…




