四十二 龍神教の奥の手
引き続き、恵の視点
小部屋に放り込まれた私の前に、ドミニカが仁王立ちしてる
凄い形相です…めっちゃ怒ってる…
調子に乗ってました…はい…
私はとりあえず、ドミニカの前に正座する
「お主、ドジ踏んだ姉を散々馬鹿にしとったじゃろ?ん?」
「…」
「儂が知らん武器スキルなぞ沢山使ったらどうなると思う?王族が放っとくと思うか?」
「……」
「ただでさえ、聖女と剣聖で王族が放っとかんのに…」
「………すいませんでした」
ドミニカはため息吐いて、正座してる私の前に座る
「で、その新武器スキルはいったいなんなんじゃ?」
とりあえず、私は自己流派と自己流剣術の事をドミニカに伝えると
ドミニカは少し驚いていたけど、なるほど…そう言う事か。と納得している
「私は天真流って流派を名乗ろうって思ってるんだけど…」
私はドミニカの様子を伺いながら呟やく
いや、私だってドミニカに止められたら流石に名乗らないよ
私達より長くこの世界に生きてる人だし
なにより、この人は信用できる
しばらく黙ってたドミニカが口を開く
「…流派を名乗ると言うことは、他の流派に喧嘩を売られたり、指南を求められたりするんじゃぞ?」
ドミニカが言いたいこともわかる
つまり、流派を名乗ると言うことは、人と関わると言う事
今の様に、姉さんの護衛をしていられるか分からなくなる
私も流石に少し黙って考える…
「私はまだ修行の身…弟子を取る気はまだない。勝負を挑まれたら返り討ちにするけど…」
少し考えた後、ドミニカは私をじっと見た
「…まあ、いいじゃろ。でも、道場でも開くときは相談するんじゃぞ?勝手にやったら許さんからな」
ドミニカの許可降りた。これで天真流を名乗れる
「それより、後の試合どうするんじゃ?お主」
私の刀を指さして言う
あ…刀折れてるんだった…どうしよう…
東方の刀って凄く珍しいって聞いた
王都の武器屋には無かったし…
普通の剣で試合でる?それは難しい…なんだかんだ、私は刀が使いやすいんだよね
ドミニカが私の様子見て、呆れ気味にため息を吐く
「お主、意外と抜けとるんか?予備の武器は用意するもんじゃろ…」
そんなこと言われても…今までは壊れなかったし
そう言えば、姉さんが居ない時は抜けてるとかポンコツとかよく言われてたな私…
基本的に、姉さんのがポンコツだから目立たないってだけで
「そうよ~。予備の武器は常に用意しとくものよ。全くメグちゃん抜けてるんだから。」
ドミニカの横にルーファが現れる
やけに馴れ馴れしくない?…あれ?…なんか懐かしい…?
一瞬、誰かの顔が頭に浮かんだような…
私がぼーっとしてるとルーファがどうしたの?と顔を覗いてくる
慌てて、私は頭を振ってから大丈夫と答える
ルーファはそう考えず、笑顔を見せた
「ふふ…刀がダメになったでしょ?だから、はい。」
漆黒の刀をルーファが私に渡す
真っ黒いけど美しい波紋、かなりの名刀だ
「本当は、まるごとあげるつもりだったのだけど、鞘を先に渡しちゃったからあげるタイミングなかったのよね」
腰の鞘を手に持ち、黒刀を鞘に入れる
本来、この刀用の鞘だったのか…
「ルーファお主…こやつらに肩入れし過ぎではないか?」
ドミニカが不審気に呟く
ルーファ本人は、そう?って軽く返してるけど
なんか、常に様子見られてる気がするんだよね…
困ったときは大体出てくるし
「それより、龍神教の連中何かするつもりみたいよ?」
ルーファの言葉にドミニカが振り向く
「反人族派の奴ら龍神教だったか…」
ドミニカが嫌な顔してる
あっそうだ、ドミニカにコイン渡しとこう
私が懐から龍神教のコインを取り出し、ドミニカに渡すと
最初は、なんだ?って顔してたドミニカがコインを見て驚く
「なぜお主がこれを!?」
ドミニカ…そんなに迫られたら答えられない…
「ふふ…剣舞祭に出てる龍神教の連中のいざこざを目撃したのよ。あぁ遺体はしっかり処理したわ」
私の代わりにルーファが答えてくれた
て言うか、姉さん襲う様な奴らの味方なわけないでしょ
「ん~…連中が何かしても、ドミニカがいるし。問題は無いと思うけど…。」
ルーファがなんか真剣にぶつぶつ言ってる。
最後に、いざとなったら私が対処すればいいわね…とか私を見てから呟いてる
…なんでかな?ルーファ見てると安心できるんだよね…?
心から安心できるって言うか…本人はあまり信用できない様な感じなのに…
まるで、姉さん見てるような感じ…
私がルーファをぼんやり見てると、ルーファはニコッと笑ってから私の頭を撫でる
おぅ…扱い方が子供…
「大丈夫よ~。いざとなったら貴方達は私が助けるから」
私の頭をぽんぽんしてるし
その様子をドミニカが黙って見てるけど…
それから、ドミニカが解説席に戻り、私は何故かドミニカの隣に座らせられてる
アルバートと獣人の戦士の試合は私の予想通りになった
簡単に言うと、アルバートはスタミナ負けして惜しくも負けた
最初の方は、盾で受け流してたけど時間が経つにつれて受け流し切れずに被弾しはじめて、最後は直に受けてた
〈いやー…惜しかったですね…アルバート。メグミはこの試合はどうお考えですか?〉
…なんでこっちに振る
解説はドミニカでしょ。ほら、ドミニカ睨んでる
でも、答えないのは不味いか…
〈ん…アルバートのスタミナ負け。技量は勝ってた〉
私の簡素な解説にドミニカも頷いてる
…あと、私の解説の時に観戦席からきゃーきゃーと騒がしくしてるのなんなの?
その後、逃げるように姉さんの席に避難する
ここなら誰も来ないし…
私が少し出歩くと、すぐに女の子達に囲まれる
握手を求められるのはまだ良いけど、刀とか体を触るのは止めて
後、たまに私を連れて行こうとするのなんなの?
両手で引っ張られても行かないです
「恵ー。私空気じゃない?」
姉さん…それは言っちゃ駄目
それに、一応は王族のお客さんって事になってるんだから仕方ないでしょ
…ぶーぶー言っても駄目だからね?
「姉さんは大人しくしてて。」
姉さんは、はーい…って渋々頷いてる
全く、姉さんは…
て言うか、ラヴィさんは…あっ…
ラヴィさん…ダブルお姫様にお耳揉まれてる
お耳揉まれてるラヴィさん凄くぐったりしながら、びくんびくんってしてる
お姫様達は楽しそうにしてるけど
私は姉さんを見る
姉さん…。そっぽ向かない…
まぁ止めらんないか
〈本選、EレフソスFダレンソアの試合を開始します〉
龍神教の実行リーダーの試合が始まる…
ん?なんか様子おかしい
声は聞こえないけど…
〈お…おや、どうしたのでしょうか?〉
実況も困惑してる
いきなり、ルーファが真剣な顔で現れる
「王族はさっさと避難しなさい。それこそ死にたくなかったら!」
真面目に王族に言い切ったルーファ
「貴方達はどうしようかしら…」
ルーファが悩んだ瞬間、コロシアム全体に魔法陣が浮かぶ
〈いかん!?警備は観客を避難させるんじゃ!!!〉
ドミニカは自分の巨大な斧を取り出すと、コロシアムの中央に飛び出す
それとほぼ同時に、魔法陣が光る
すると、巨大な腐敗したドラゴンが姿を現す
…ドラゴンゾンビ?
あっ出現したドラゴンゾンビに龍神教の男が踏み潰された
…無残…
ん?ルーファがドラゴンゾンビ見て、凄く嫌な顔してる?珍しい
「フレアの馬鹿…あれじゃドミニカでも無理よ…。いい?貴方達は来ちゃ駄目よ?それこそ本当に死んじゃうから」
…え?ドミニカでも無理ってそれだけやばいの?
姉さんもそれ聞いて呆然としてる
ルーファは空間を開いて中から黒赤い剣を取り出す
凄く禍々しい…魔剣だあれ…
「使うつもり無かったんだけどね…この剣…」
ルーファは私達を見てから、ふっと消えた




