四十 本選、セレナーデ戦
引き続き、恵の視点です
〈これより、本選Bを開始します〉
私はアナウンスが流れたと同時に、コロシアムの入場口を通り中に入る
〈えー、予選で予想外の強さを見せた少女、メグミですが聖女ヒカリ様の妹で、戦闘職が剣聖。 聖女様の護衛を兼ねているそうです〉
ドミニカの説明に合わせて、姉さんが手を振る
すると、歓声がわーっと一気に上がる
姉さん…相変わらず、歓声が上がると凄くひびってる
「先に謝っとくわ。ごめんなさいね。まさかあいつら、計画が潰いえたからって聖女を狙うとか信じらんない…」
やっぱり姉さん狙った奴じゃなかったか
感じ的に嫌々協力させられてるっぽいね
聞きたいこともあるし、とりあえず試合やろうか
「姉さん怪我してないから良い。それより、聞きたいことあるから試合中にでも答えてほしい」
「会話する余裕があれば良いけど?」
凄い余裕だ…私の戦い見て、余裕あるのか…
手を抜きたいけど、これは無理かな?
セレナーデが双剣を抜く
私は刀の柄に手を乗せ、居合いの構えで待ち構える
〈それでは、試合を開始します〉
〈セレナーデってあのですか?〉
〈そうじゃな。女魔族…サキュバスの中でも有名な双剣士のセレナーデじゃ。〉
〈基本的にセレナーデさんは試合などには参加しないときいていたのですが…〉
〈何か事情があるんじゃろ?それは本人しか分からんよ〉
会話になってるし
実況、解説はどうした
私がセレナーデの双剣を交わしながら、頭の中でツッコミを入れる
いや、真面目にやろう。手を抜ける相手じゃないし
数回斬り合い、セレナーデの腕前が生半可で無いことは、はっきり分かった
ぶっちゃけ、今まで見た剣士の中では最強
双剣なのに、弾かれても隙が出来ないし、受け流してもそれを利用して更に斬り込んでくる
これで、まだ武器スキル使ってないし
「伊達に、剣聖名乗ってないみたいね。アタシの剣に抗える相手は久々よ」
「ここまでの奴は初めて。やっと手を抜かないでやれる」
双剣をいなしながら、私が刀を振り抜く
セレナーデは、即座に双剣で受け流し距離を置く
手慣れだ…私の剣の間合いからぎりぎり出てる
間合いから離れたし、そろそろ女の子の事伝えとくか…
「そう言えば、女の子人質にされてるんでしょ?」
私が聞こえるように呟やくと、セレナーデはぴくっと反応する
これは、聞くな…
「あの子、救出された」
私は辺りの観戦席を見回す、どうせルーファなら近くで見てるだろうし…
私とセレナーデから近い観戦席にルーファと女の子が座って見てる
ルーファが笑み浮かべてる…お前の計画通りに事が進んだんだろうね!
女の子がセレナーデに手を振ってる。本人は少し驚いてたけど、こっちを見る
「…あの子を助けてくれてありがとう。でも…アタシは試合には興味無いけど、せっかくアタシとやりあえる強者に会えたんだ。だから…まだやりたい!」
「元より、私もそのつもり。まだ聞きたい事あるし」
私の答えにセレナーデが、にやりと笑うと双剣を構え直す
そろそろ、武器スキル使ってくるか?
「そろそろ、本気で行くよ!<エアブレード>!」
セレナーデが双剣を振り抜くと、斬撃が私に向かって飛んで来る
なるほど、ルーファから聞いた遠距離攻撃か…
私は初撃を刀で払い、追撃を避ける
遠距離攻撃…厄介だな…私は魔法余り使わないんだよね…
そうだ、短距離転移を試してみようかな
上手く行けば、不意討ちに使えるし
「<転移>!」
私はセレナーデの背後から現れる
んー、狙った位置から結構距離あるな…調整必要か…
いきなり後ろに現れた私に、セレナーデが慌てて振り向く
「瞬間移動?厄介ね」
本当は転移だけど…まぁ現状は変わらないから良いか
「それより、サキュバスは男の精気必要なんじゃないの?」
ルーファに聞くように言われた事を聞いてみる
「確かに、普通のサキュバスは必要だけど…アタシは特異体質で必要ないんだよっ!」
私の刀が双剣で弾じかれる…戦いながら、会話するの難しいな…
〈いっ今、瞬間移動したように見えましたが…〉
〈ふむ、あれは転移の応用じゃな。短距離を転移で飛んだんじゃ〉
〈そんな高度な技術をその場で!?〉
ん?高度な技術なのか?
まだ完璧に飛べないけど、これくらい出来るんじゃないの?
おっと!?よそ見してる場合じゃないか
「で、それどうやって女の子に教えるの?」
私が双剣を刀で弾き返して距離を取る
セレナーデはぐっ…って反応してる…やっぱり悩んでたのか…
まぁそれはルーファが何とかするでしょ
「なら、あの女に聞けば?なんか考えてるだろうから」
私がルーファの方に指を指す
ルーファはにこにこ顔で手を振ってる
…まるで話聞いてるみたいにタイミングが良いな
もしかして、本当に聞いてたりして…ありうる…
「所で、姉さん狙った奴、二人のどっち?」
「Eの方の男だね。あれがリーダーだったから」
「もう一人は?」
「あっちは副リーダーだったと思う」
「とりあえず、両方決勝までに当たったらボコボコにするか…」
セレナーデと斬撃を打ち合いながら会話してる
にしても、飛ぶ斬撃は面倒だな…
毎回、転移も大変だし…
うーん…ちょっと試してみるか…
刀に魔力を纏わせる
イメージは魔法の風刃の強化版
威力をより強化出来るように魔力を二重に…相殺出来ないよう薄くも硬くコーティングする…
「〈飛び烏〉!」
魔力を纏った刀を振り抜く
ん?放った魔力が鳥…いや烏か?、に姿を変えてセレナーデに襲いかかる
いや待って、そんな追尾機能は想定してないし、予定はただの飛ぶ斬撃なんだけど?
「なんだこれ!?鳥か?」
セレナーデが反応して烏を飛ぶ斬撃で迎撃してるけど、予定通りに烏は怯みすらしない…いや…あの烏、斬撃を受け流しながらセレナーデに向かって行く
突っ込んでくる烏を双剣の片方で防御するが、剣に直撃すると烏が魔力爆発を起こし、剣ごとセレナーデを吹き飛ばした
えぇ…そんなの想定してない…
私はただ呆然としてる
実況、解説も止まってるから同じく呆然としてるんだと思う
いっいや、たまたまだよ?
試したらなんか凄くなったんです…うぅ…姉さんを馬鹿に出来ないじゃん…
〈セレナーデ…きっ気絶してますね…。勝者、メグミ!!〉
〈なんじゃあの技はぁぁぁ!?!?〉
ドミニカが発狂してるけど、あれは想定外です
またやろうとすれば、出来るけど
オリジナルの技は少し控えよう…
とっとりあえず気絶してるセレナーデに近寄る
私が思った通りに飛ぶから、あの烏で怪我したなら爆発だけど…
鎧が少し剥げた位で、酷い怪我はなさそうだ…
うーん…<飛び烏>は強すぎるな…後、<飛び雀>も考えてたんだけど…
<飛び雀>は連射特化の飛ぶ斬撃の予定だったんだけどなぁ…
使う前に終わっちゃったし烏強すぎるし…
あっ担架きた
ゆっくり乗せてあげて
さて…とりあえず次の試合まで逃げるか
私は逃げるように、すぐにその場から離れる




