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羽切家の非日常  作者: ラウス
羽切■■
31/32

最終羽

エピローグ

 一年後。


 待ち合わせ場所として指定された公園のベンチに座りつつ、俺は物思いにふけていた。


 予想外に始まって終わった俺が主人公の物語の後日談を、どう収拾つけようか、ということである。


 まあ、結論から言えば、変人奇人、超人愚人仙人を生み出してきた羽切家が、神様までも生み出してしまったという、それだけの話である。


 神様と言っても、半神だけど、……いや、十分の一神とでも言ったほうが正確か?


 実際、そんなもんである。

 あの時母さんから貰った能力は超超超超超弱体化し、残倖が僅かに残ってるくらいだ。


 まあ、あんなチート能力無い方が世の中のためかもしれない。


 さて、そろそろあの後世界がどう変化したかを語ろうか。


 まず、能力を無くした母さんは『仙人』を引退した。

 しかし、能力を無くしたとはいえ母さんは元々能力無しで充分強い。『仙人』に残ってくれという声もあったそうだが、母さんは断っていた。


 だから、今は弟が『仙人(仮)』に襲名された。

 知識面で頼りないが、その辺は妹が手伝ってあげてるらしい。


 俺? 俺はいまだ、ただの一般人継続中だよ。

 頑丈さは健在だが、それも弱体化しちまって爆弾耐性消えちゃったし。


「……ん?」


 公園に見慣れた人が入ってきた。

 沢田リコだ。ジャージ姿で、背中に何やら平べったいカバンを背負っている。


 ……あ、こっちに気付いた。駆け寄ってくる。


「やっほー羽切くん! こんなとこで何やってんのー?」

「野暮用さ、沢田リコは?」

「へっへー、これから部活の最後の大会なんだ!」


 おー。そういえば俺達ってもう三年生なんだよな……。


「へー、頑張れよ」

「勿論! 優勝狙うよー」


 ああ、良い機会だ。

 何部なのか訊いてみるか。


「そういえばさ、沢田リコって何部なの?」

「ん? 見て分からない? テニス部だよ」


 …………。

 ……テニスかー、そっかー。


 うん。


「頑張れよ! 遠くから応援してる!」

「うん! あ、と、もういかなくちゃ! じゃね!」


 ダダっと、沢田リコは駆けて行った。


 沢田リコは、進路に幼稚園児の先生を選んだらしい。

 子供が好きだとかなんとか。


 夢があって、いいと思う。


 夢があるっていいなと思う。


「……お」


 熊を発見した。


 ……いや、精巧な熊のきぐるみを着たベアコンを発見した。


 …………。


 そっとしておこう。


 ベアコンこと藤宮マサルは、動物園への就職活動を頑張っている。

 熊への熱意だけで、よくそこまで頑張れるなぁと、感心している。


 ああ、あと、面接のために髪の毛を黒く染め直したため、彼は変人戦隊のプラチナベアーを止め、ただのベアーになった。


 心底どうでもよかった。


「む」


 公園の外に、仲良さげなカップル――もとい青井秀と伊藤詩織がいた。


 今日はよく知り合いと会う日だな、と思いながらも、二人を観察する。


 青井秀は相変わらず片手に本を持っていて、しかし、片手は伊藤詩織の片手をしっかりと掴んでいた。

 伊藤詩織は、幸せそうに青井秀にもたれ掛かってる。けど、繋がれたほうの手の爪を立て、地味に青井秀にダメージを与えているのは流石だと思う。


 二人は、同じ大学に行くそうだ。

 そのために伊藤詩織は青井秀や俺に家庭教師を頼むなど、必死に勉強をしているが、今日は息抜きの日なのだろうか。


「あ」


 前方に金髪美少女発見。ていうかフルフルだ。


 買い物袋を持って、歩道を歩いている。


 日本語がかなり上達した彼女は、もっと日本のことが知りたいと言い、茶道部と弓道部、剣道部に柔道部など、自分で決めたやりたいことをやっているらしい。

 フルフルはどうやら、解放されたようだ。

 多分、まだ手は黒いだろうけど、少なくとも、足は、洗えた。


 それで、充分だろう。


「おまたせ」


 そして、彼女がやってきた。


 赤みが入ったボブカットをしていて、オシャレな服装をした、俺の幼馴染。


「ああ、結構待った」

「ちょ、そこは『今着たとこ』って言うとこでしょ」


 そして、俺達は歩き出す。

 腕を組んで、肩を並べて。


 人間として、生きていく。


「ねえ、千里」

「なぁに? 神聖」

「俺、やっと将来の夢決まったんだ」

「へぇ、何に成るの?」


「【正義の味方】」




Fin



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