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砂漠転生  作者: タマリンド
第1章 砂漠脱出編
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第6話 砂漠の洗礼


 第6話です。


 水の亜神サラディンは消え、タクミはついに一人になりま    した。

 残されたのは、神言語魔法によって与えられた知識と、旧文明のガントレット。

 そして――果てしない砂漠。

 ここから本当の意味でのサバイバルが始まります。

 この世界で生きるために、タクミはまず「砂漠での一日」 を乗り越えなければなりません。


 

 砂漠の朝は早い。


 夜の冷気が消え、太陽が顔を出した瞬間――


 世界は急激に熱を帯び始める。


「……暑いな」


 タクミは目を細めた。


 まだ朝だというのに、空気がもう熱い。


 頭の中に、昨日与えられた知識が浮かんでくる。


 砂漠では昼に歩くな。


 体力を奪われる。


 朝と夕方に移動しろ。


「なるほどな……」


 タクミは小さく頷いた。


 サラディンの神言語魔法で与えられた知識は、不思議な感覚だった。


 思い出すというより、最初から知っていた感覚に近い。


 水の探し方。

 魔物の習性。

 砂漠の危険。


 どれも断片的だが、確かに役に立つ。


「ありがたいな……」


 タクミは空を見上げた。


 だがそこに、サラディンの姿はもうない。


 蒼い光も。


 声も。


 何も残っていない。


 あるのは――


 風と砂だけだ。


「……よし」


 気持ちを切り替える。


 タクミは腰の水筒を軽く振った。


 中には水が入っている。


 サラディンが残した魔道具。


 魔力で水を生み出す仕組みらしい。


「これがあるだけでも、だいぶ違うな」


 砂漠で水は命だ。


 その心配が少ないのは大きい。


 タクミは西を向いた。


 目指す場所は一つ。


 漁港町オルデ。


 どこにあるのかも分からない。


 どれほど遠いのかも分からない。


 だが、海の近くにある町だ。


 つまり――


 西へ進めば、いつか辿り着く。


「単純で助かる」


 タクミは歩き始めた。


 砂の上をゆっくり進む。


 靴が沈む。


 体力を奪われる。


 だが、歩くしかない。


 砂漠は静かだった。


 風の音だけが続く。


 数時間歩いた頃だった。


 ざ……。


 砂が揺れた。


 タクミは足を止める。


 知識が頭に浮かぶ。


 砂の振動。


 魔物の接近。


「……早いな」


 思わず呟く。


 まだ旅の初日だ。


 だが、この世界はそんなに甘くないらしい。


 ざざざざ……。


 砂が盛り上がる。


 次の瞬間――


 巨大な影が砂を突き破った。


 長い胴体。


 節のある外殻。


 鋭い牙。


 サンドワーム。


「うわ……」


 体長は三メートルほど。


 口を大きく開き、タクミに向かって突進してくる。


「いきなりか!」


 タクミは腕を構えた。


 ガントレットの宝石が光る。


「硬化!」


 腕が鋼鉄のように固まる。


 ガギン!!


 ワームの牙が腕にぶつかった。


 衝撃が走る。


「ぐっ……!」


 だが、腕は砕けない。


 むしろワームの方が弾かれた。


「効くな!」


 タクミはすぐに硬化を解除する。


 全身硬化すれば動けなくなる。


 それも知識として理解していた。


 ワームが再び襲いかかる。


 タクミは横に跳んだ。


 砂を蹴る。


 そして――


 思い切り拳を叩き込んだ。


 ドン!!


 鈍い音が響く。


 ワームの頭が砂に叩きつけられる。


 数秒、体を震わせた後。


 動かなくなった。


「……終わり?」


 恐る恐る近づく。


 突く。


 反応なし。


 本当に死んでいた。


 タクミはその場に座り込んだ。


「はぁ……」


 大きく息を吐く。


 異世界での初戦闘。


 どうにか勝てた。


「これ……食えるんだよな」


 サラディンの言葉と、頭の中の知識を思い出す。


 サンドワームは食用になる。


「……虫料理か」


 タクミは苦笑した。


 だが、贅沢は言えない。


 ここは異世界だ。


 サバイバルだ。


「まあ……」


 空を見上げる。


 青い空。


 どこまでも続く砂漠。


「生きてるだけマシか」


 タクミは立ち上がった。


 西を見る。


 まだ何も見えない。


 町も。


 海も。


 ただ砂があるだけだ。


 だが。


 歩き続ければ、いつか着く。


 タクミは再び歩き出した。


 それが――


 長い旅の、まだ最初の一日だった。



 砂漠転生をお読みいただきありがとうございます。


 第6話「砂漠の洗礼」でした。


 ここから砂漠サバイバルが本格的に始まります。


 - サラディンから与えられた知識の活用

 - 初めての魔物討伐

 - 食料問題


 次回、第7話「砂漠の食事」


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