69話 男同士の対決
シオンが後ろに下がり、ナナのところに移動した。
ナナを背中にかばう。
ナナもこちらを見て、しっかりと頷いた。
たぶん、がんばってください、って言いたいんだと思う。
頷き返してから、クリフに向き直る。
「おまたせ」
「ああ、構わねえさ。兄ちゃんが全力を出すために必要ってなら、俺はいくらでも待つぜ? まあ、そのまま逃げられたりしたら、地の果てまででも追いかけるけどな」
「それは大丈夫」
俺は装備を身に着けて、構えた。
「ちゃんと戦うさ」
「嬉しいねえ、本気になってくれて」
男も拳を構えた。
俺と同じく、拳で戦うスタイルらしい。
「……」
「……」
睨み合う。
そのままピタリと動きが止まり、時間が静止したかのような錯覚を感じた。
そして……
「「っ!!!」」
ほぼ同時に、俺とクリフは前に出た。
俺は、単純な直線の突撃。
クリフは、何度かフェイントを入れつつ、変則的な突撃。
故に、俺の勢いが勝り、先に拳を当てることができたのだけど……
「ぐっ!?」
クリフも殴られながらもカウンターを繰り出してきた。
重い一撃をくらい、吹き飛ばされてしまう。
「クロード様が……競り負けた!?」
シオンが驚いていた。
正直、俺も驚いていた。
今まで、大体の相手には力押しでなんとかなっていたんだけど……
でも、クリフにはそれが通用しない。
おまけに、それなりのダメージを受けてしまった。
ちょっと足に来てしまいそうだ。
でも耐える。
足に力を込めて。
それから気合を入れ直して。
「よし、いくぞ!」
「いいぜ、そうこなくちゃな!」
右、左と連続で拳を打つ。
同時に体ごと前に出て、タックル。
そのまま押し倒してやろうと思ったけど、これは簡単に避けられてしまう。
でも、それは予想通り。
こうなると思っていたからふんばることができて、体勢を崩すことはない。
すぐに方向転換をしてクリフを追いかけた。
今度は蹴り。
下から上に……
クリフの側頭部を狙い、全力で放つ。
「やるな」
「くっ……!」
避けられてしまうかも、とは思っていた。
ただ、受け止められるのは予想外だ。
しかも、手応えというものがまったくない。
まるで空気の塊を蹴ったかのよう。
インパクトの瞬間、軽い衝撃はあったのだけど、それもすぐに霧散してしまい、後になにも残らない。
攻撃を受け流された……!?
「ほらよ、っと!」
「ぐぅ!?」
クリフのカウンター。
鋭い拳が俺の肩を打つ。
痛みはそれほど強くない。
ただ、妙なところを突かれたせいで軽く痺れてしまう。
続けて蹴撃が飛んできた。
円を描いて、刈り取るかのような一撃。
それは俺の足を狙い、痛烈に打つ。
こちらはかなり痛い。
維持で悲鳴は我慢したものの、戦闘時でなければ悶えて叫んでいたかもしれない。
「おいおい、どうした? これで終わりか? がっかりさせてくれるなよ!」
クリフは止まらない。
むしろ、さらに勢いが増していく。




