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不撓不屈のマリーは温泉郷より旅立つ 後編

旅立つ前の夜は、何だか切ない

 春の暖かな空気に満たされたエルフ温泉郷の夜が更けていく。

 マリーは親友の娘の小さな体をお姫様抱っこしながら、鍛冶屋の店舗の奥にある階段を上がり、すぐ左にある小さな部屋に入る。

 抱き抱えた暖かな体をベッドに横たえ、薄い毛布と布団をかける。


「マリーちゃん……マーヤの嫁ぇ……」


 母親であるサリーの手料理を腹一杯になるまで食べて、食後のお茶と共にケーキまで完食したマーヤは、一生懸命お喋りしながらもすぐに眠くなったらしくうつらうつらし始めた。

 何とか歯を磨かせた後、抱き上げて部屋まで連れてきた。

 幸せそうな顔で寝言を呟く姿が愛おしい。


 頑丈な鋼の鎧戸付きの2重窓が、しっかりと施錠されている事を確認し、枕元の小さな加湿器を作動させてから、マリーは部屋を出る。

 しばらく、もう身内同然に可愛いこの娘に会えなくなるのが寂しいと思う。


「マリー、マーヤを寝かしつけてくれありがとね。いつもはあんなわがままな子じゃないんだけどね」


 鍛冶屋の営業時間が終わり、義父であるクリフと掃除を済ませた5人の従業員にもご飯を食べさせたサリーは、忙しく洗い物と洗濯物をしていた。

 旦那さん、若奥さん失礼します!と、しっかりと挨拶をし、マリーにも丁寧に頭を下げて帰っていく若い従業員たちに目を細める。


「皆んな、1日ご苦労様でした。寄り道せずに気をつけて帰んな!義勇団がいる場所以外、絶対に通るんじゃないよ!」


 エルフ温泉郷の治安は良い。

 だが、良からぬ事を企む者は何処にでもいるものだ。特に繁盛している店の若い従業員は狙われやすい傾向にある。

 よく教育されているらしく、素直に5人で固まり帰っていく姿に、マリーは感心する。


「若いのに素直な子らやなぁ。しっかり教育しとるんやね」


「ああ、あの子達は東の都から来た子たちだからね。あそこは族長様の方針で教育がしっかりと……ごめんマリー」


 族長という言葉に、マリーの体は少しだけ強張ってしまった。

 今の牛人族の族長は、マリーの父方の叔母にあたるが関係はあまり良くない。

 その事を知っている親友に謝らせてしまった。


「ええんよ、しゃーないことやしな。うちにはうちの事情があって、あん人にも族長としての事情があるさかいな。それが相反するってだけの事やから」


 今や180万人もの人口を抱える都市の代表であり、牛人族全体の利益を考えなければならない叔母と、単なる冒険者上がりのマリーでは立場が違う。

 それだけの事だと思い込もうとする。



「いや!俺は許せねえ!族長様は立派な方だ!それは間違いねえ!だが、マリーちゃんにした事は絶対に許せねえ!人の道に外れてやがる!」


 軽いお酒を1杯飲んだクリフはソファでイビキをかいていたが、突然そう叫ぶ。


「おっちゃん、おおきに。でも、もうええんよ。昔のことやしな」


 そう、あれはもう昔の事なのだ。


「お義父さん、風邪ひくから部屋に戻って眠ってくださいね。お願いしますよ」


「あいよ……サリーちゃんいつも美味しいご飯ありがとうね。マリーちゃんもおやすみ。元気で過ごすんだよ。困ったことがあったら、必ず相談してくれ」


 サリーに支えられながら、ゆっくりと奥の部屋に入っていくクリフを見送る。

 いつも優しく味方をしてくれる事に感謝の念が沸いてきて、その後ろ姿に深々と頭が下がった。


「すまないねマリー、お義父さんすっかりお酒に弱くなってね。わたしたちも少し飲もう。時間、もう少しいいだろ?」


 異世界産のウイスキーは温泉郷で大ブームを起こしている酒だ。

 炭酸割りのハイボールは、何処の飲食店でも置いてあるし、一般家庭にも普及している。


 マリーは親友が作ってくれたハイボールの香りを楽しみ、薄く割ってもらった酒を口に含む。

 炭酸の喉越しを味わい、胃に落ちた酒の熱さが心地よい。


「ああ、美味しいなぁ。サリーとゆっくりお酒飲める日が来るなんてなぁ……うちは幸せもんやなぁ」


 こんな時間を過ごせるなんて、あの頃は夢にも思わなかった。

 ただ、戦って戦って戦い続けて、何処かで野垂れ死ぬ未来しか見えなかった。


「何言ってんだよ恥ずかしいじゃないか。そうだあれを渡しておかないと!忘れたら大変だよ!」


 そう言って、サリーは奥の部屋に何かを取りに行ってしまった。


 マリーは酒をゆっくり味わいつつ、もうあれから何年過ぎたのかと思う。

 あの頃のマリーは叔母を理解出来ず、その取り巻きたちをデーモンと同じくらい憎悪していた。

 良くないと思いつつも、アルコールが回りつつある頭に、あの頃の記憶と想いがよぎってしまう。





 マリーは住んでいた村が壊滅した後、妹同然のリリーと牛人族の街に移り住んだ。

 そこで有力者の老人に目をつけられ、乱暴されそうになった時、マリーが暴力で再起不能にまで叩き潰した事が問題となり、街への出入りを制限されてしまった。

 リリーは力ある冒険者パーティーが面倒を見てくれてはいるが、きちんと働き生活するだけのお金は稼いで渡さなければならない。


 マリーはギルドマスターが野営の許可を取ってくれた、都市防壁のすぐ側で野宿生活をする事になった。

 街の東門から防壁沿いに進むと、その小さな広場はあった。

 開拓村時代の古い井戸が残っている。


 マリーが部屋を借りていたアパートの大家さんが、雨避けの為に整地魔法を使える魔導師を手配してくれ、高く盛り土をして固めて、周囲に溝を掘ってくれた。

 さらに、竈を設置して大工を手配してくれ、頑丈な屋根と囲いまで作ってくれた。


 その屋根の下に、リリーの面倒を見てくれる冒険者パーティーのシェラという虎人族が、頑丈で大きなテントを張ってくれ、野宿生活に必要なものを持ち込んでくれる。

 分厚い防水シートの上に毛皮が敷かれ、頑丈な椅子と机に、折りたたみベッドに布団、汲んだ井戸水を貯める大きな浄化装置付きのタンク。

 さらに、最新の魔石式空調機や結界装置といくつものランタンに、大量の薪や魔石を納めた収納箱に食器まで揃えてくれた。


「マリーちゃん!必要なものがあったら、あたしに必ず言ってね!何ならあたしも一緒に暮らそうか?そうだねそれがいいゲヘヘ……痛い!ダンカン!何すんだ!痛いだろ!」


 鼻の下を伸ばして、ちょっとだけ気持ちの悪い笑みを浮かべていたシェラの頭を、パーティーのリーダーであるダンカンが軽く引っ叩く。


「欲望が駄々漏れだシェラ、いい加減にしておけ。マリー、何かあれば俺たちでも誰でもいい。必ず相談してくれ。困った事があっても、頼ってくれなければ手の貸しようはない。マリーの強さは知っているが、強さだけでは生きてはいけない。心配だろうがリリーの事は任せておいてくれ」


 ダンカンの表情と言葉には、思いやりと心配がこもっていた。


「ダンカンさん、シェラさん、本当にありがとうございます。頑張って稼ぐので、リリーの事をよろしくお願いします」


 マリーが深々と頭を下げると、少し困ったような顔をする2人に、何か間違った事をしたのかと思う。

 ダンカンが再び口を開こうとした時、巨大な魔道運搬車が近づいてきた。



「ありがとうございましたー!またのご利用をお待ちしております!」


 12種族連合が経営している大陸全土に広がる運送会社が、エルフ温泉郷より届けてくれたのは、マリーが注文した魔石式防犯用ゴーレムだった。

 最近、温泉郷から売り出されたこのゴーレムは、小さな魔石1つだけで10日間も稼働し、故障もほぼなく防犯に極めて高い効果を示した事から、世界中で急速に普及しているらしい。

 実際に牛人族の街でも防壁前や商店に、様々なタイプのゴーレムが数多く設置されている。


「これ、本当にわたしが頼んだゴーレムなのでしょうか……」


 マリーの目の前にあるのは、2メートル程度の頑丈そうな鋼の分厚い盾とメイスを構えた人型のゴーレムだ。

 防壁沿いに設置されている、対エネミー防衛用ゴーレムより強そうだし頑丈そうだ。

 しかも、3体しか注文していないのに7体も並んでいる。


「ま、まあいいじゃないマリーちゃん!あって困るようなものじゃないし!アンジェリカさんが送ってきたんでしょ!なら安心だよ!」


「そ、そうだな。アンジェリカさんがなさる事なら間違いないだろう。なにせアンジェリカさんだからな」


 小さな頃からの知り合いである、温泉郷のエルフのアンジェリカは両親の古い友人らしかったが、マリーに詳しい事はわからない。

 けれど、この街でアンジェリカが多くの人に尊敬され、畏れられているのは知っていた。

 この街だけでなく、この地域最強の冒険者パーティーであるダンカンたちでさえ、会った時は深い敬意をもって接しているほどだ。


 ゴーレムには既に魔石が投入されていたので、起動して主人登録を行う。

 5体にキャンプ周辺の防衛を命じると、信じがたいほどに滑らかな動きで立ち上がり、キャンプ地に展開する。

 マリー以外に、ダンカンのパーティーやリリー、ヴァンパイアのサラや大家さんを襲わないように登録する。


「それじゃあマリーちゃん、名残惜しいけど門が閉まるしあたしたちは行くね!いつでも呼んでね!なんなら今夜は一緒に……痛い!痛い!引っ張んなダンカン!」


「では5日後にな。待っているぞマリー」


 賑やかに去っていく2人に、マリーは深く頭を下げて見送る。

 不安な事ばかりだけど、助けてくれる人々のおかげで生きていけると、頬を叩き気合いを入れ直し、夕食を作る準備に入った。


 大きな魔石式保冷庫の中には、しっかりと包装された食材がぎっしり詰まっている。

 近所のエルフたちや顔見知りの冒険者たちが、マリーを心配して持たせてくれたものだ。

 そこから鶏肉を取り出し、塩を軽く振ってから、火を起こした竈にフライパンを乗せて皮目を下にして投入する。

 その間に芋や野菜の皮を剥き、皮の脂が滲んできていい音がする鶏肉の周りに敷き詰める。

 脂が弾ける音が変わるまで待ち、鶏肉をひっくり返してから、蓋をして火の弱い端にフライパンを移動させる。


 次に分厚く大きな黒パンを取り出し、次に街に入れる5日分を計算してカットしていく。

 米や穀物は日持ちがするし、貴重だから出来るだけ貯めるようにして、炭水化物はパンを中心に食べるように冒険者たちから教えてもらった。


 食欲はなかったが、出来上がった料理を口に含むと猛烈に空腹だった事を思い出して、ゆっくりと噛み締めて完食する。

 空腹が満たされると、不安も紛れて眠気が襲ってくる。防壁の外で眠るのは怖いが、両親の形見の戦斧をベッド傍に置いて、ゴーレムの性能を信じてベッドに入るとすぐに意識はなくなった。


 マリーの野宿生活は順調に過ぎて行った。

 5日に1度、開門と同時に街に入ると、まず銭湯に行き体を綺麗にして洗濯をする。

 次に冒険者ギルドにデーモンを倒して得た魔石や森で採取した薬草を納入し、新たな依頼を受ける。

 それから、お土産を買ってリリーに会いに行く。


 ダンカンたちのパーティーが購入した大きな家の玄関前で、いつもリリーは待っていてくれる。

 マリーの姿を見ると、弾かれたように駆け出してきて抱きついてくる。

 少しずつだけど、おしゃべりも戻ってきたようで、元気で過ごしてくれているようで安心する。

 妹が元気なら、いくらでも働いていけるとマリーはそう思う。



 そんな生活が半年ほど続き、野宿生活にも慣れてきて、マリーが銀行に作ってある口座にも、それなりの財産が貯まりつつあった。

 ある日、街の周辺にいたデーモンを15体倒して魔石を回収し、キャンプに戻ってお湯で体を拭い終わり、食事の用意をしようとしていた時だった。


「こちらにマリーという者はおるか!」


 大きな声がしたので斧を握りテントから外に出ると、立派な金属鎧を身につけた背の高い牛人族の男女が、ゴーレムと相対していた。


「マリーはわたしですが、何か御用でしょうか?」


 訝しげに尋ねると、男の方が激昂して叫ぶ。


「まず、このゴーレムを退けぬか!我らは牛人族の族長様の使者であるぞ!礼儀を知らぬのか小娘!」


 礼儀を知らないのはどちらかと、マリーは呆れかえる。突然来たかと思えば、名前すら名乗らずに大声で喚き散らすなど、族長の使者か何か知らないがまともではない。


「お断りします。ゴーレム、その2人は絶対に通さないように。無理矢理通ろうとするなら、叩きのめしても構いません」


 そう言い残し、テントの中に戻ろうとすると、男が焦ったように声をかけてくる。


「待てぃ!良いのか!?我々がその気になれば街にいるリリーという娘が困った事にヒッ!?」


 男がリリーの名前を出した瞬間、マリーは体を翻して間合いを詰め、左手の斧を男の首筋に突きつける。


「リリーに何をするつもりですか?敵ですか?あなた方はわたしの敵ですか?敵なんですね敵なら殺すしかないですね」


 立派なのは体格と装備だけだ。

 この男は訓練を積んでいるようだけど、動きが鈍いし実戦経験もほぼないのが丸わかりだ。


 人には超えてはならない一線がある。誰にでもあるし、もちろんマリーにもある。

 リリーの名前を出して脅迫をした時点で、話し合いなど出来るはずもない。

 すぐに殺すか、苦しめて背後を吐かせて殺すかのどちらかしかない。


「お待ちくださいマリー様。我々の無礼を深くお詫び致します。抵抗は致しません。そもそも、我々にはリリー様を害するような力や権限はありません。どうかお話をさせていただけませんか」


 女の方が腰の斧と短剣を地面に捨て、両手を上げて謝罪をしてくる。

 この女には油断をしてはいけない。マリーを害する力はないが、かなり実戦経験を積んでいるのが物腰からわかる。

 何にせよリリーの名前を出された以上、事情は聞かなければならない。


「あなたはそこで待っていなさい。動けばゴーレムが頭を叩き潰します。あなたは中に来てください。ただし、懐と籠手に隠してあるナイフも地面に捨ててからです」


 男の方は震えて固まっている。女は諦めたように鎧を全て外し、隠し持っていた武器も捨て、肌着1枚になってからマリーについてくる。


「申し遅れました。私は東の都から参りましたナタリアと申します。牛人族の族長マリア様から命じられ、マリー様をお迎えにあがりました」


 兜を取ったナタリアと名乗る女は美しかった。牛人族の女にしてはかなり背が高く、鍛え抜かれているのが分かる。

 髪はよく手入れされ、肌は美しく滑らかだし、物腰や所作にも気品がある。明らかに庶民ではない。


「迎えと言われても困ります。族長などと面識はありませんし、わたしはこの街を離れるつもりはありません」


「マリー様はご存知ないでしょうが、マリー様のお父様は先代族長のご長男様なのです。成人前に出奔されました。ご家族は必死に探されており、かなり以前に亡くなられた事が判明したのが、つい最近なのです。そこから辿り、1人娘のマリー様がいらっしゃる事が分かり、我々がお迎えにあがったのです」


 その言葉にマリーは呆れかえる。父が亡くなってから10年以上も過ぎている。

 どう考えても世間知らずの子供を騙す、人買いの作り話にしか思えない。

 マリーの表情に自分の話が怪しいと気がついたのか、ナタリアは必死にいい募る。


「マリー様がお持ちの黒い戦斧!その戦斧は不撓という銘がついているはずです!それは牛人族の族長に代々受け継がれる至宝なのです!」


 その言葉にナタリアの話が事実だとマリーは悟る。

 不撓という銘は母から聞いただけで、何処にも記されていないし誰にも言ったことはない。


「お願い致します!都に来ていただければリリー様との生活も保障致します!何卒!何卒ご一考下さいませ!」



 すぐには決められないと、ナタリア達を帰したマリーは街に入れる日を待ち、いつものようにデーモンを駆除して過ごした。

 そして、いつものように開門と同時に街に入り、銭湯で体を清めて洗濯をし、冒険者ギルドに魔石を納入してから、お土産を買ってリリーに会いに来た。


「リリー、よく聞いてね。わたしの叔母様という方から、東の都に来ないかとお誘いをしてもらったの。リリーと一緒にというお話なんだけど、リリーはどう思う?」


 昼食後のお茶の時間である。

 表情は変わらないが、美味しそうにフルーツたっぷりのケーキを食べるリリーに、住まいを変える誘いを受けた話をする。

 ナタリアの話の裏付けは、有力者にツテがあるダンカンやサラに取ってもらい、事実だと確認がとれていた。


「マリーちゃん。ダンカンさんやシェラちゃん、サラちゃん達と離れるのは寂しいです。でも、リリーはマリーちゃんとずっと一緒に居たいです」


 そう言って抱きついてくる妹を、マリーはしっかりと抱きしめ返す。


「そうだね、わたしも皆んなとお別れは寂しいけれどリリーとずっと一緒に暮らしたい」




 出発はすぐだった。街に滞在できる短い時間で顔見知りには挨拶をして、素早く荷物をまとめる。

 キャンプ道具はダンカンの家の倉庫で預かってもらい、ゴーレムは先に運送会社に依頼して送った。

 そして、門の外で待っていたマリーの元へ、何百人もの街の住人を連れたリリーがやってくる。


「マリー!リリー!元気でな!」「困った事があったらすぐに戻ってこい!」「マリーお姉様!わたしと結婚して!」「リリーちゃん可愛いよリリーちゃん」「達者で暮らせよ!」


 皆んな皆んな大声で叫び手を振ってくれ、沢山の餞別を渡してくれて、マリーとリリーとの別れを惜しんでくれている事に、涙が堪えきれなくなる。


「マリーぢゃあんリリーぢゃあん!あのねあのねあだしねほんどはね」


 ずっと良くしてくれたシェラは、引きつけを起こすほどに泣いて泣いて泣き続けて、それでも沢山の餞別を持たせてくれて見送りきてくれた。

 そんなシェラの体をマリーは強く抱きしめる。シェラの気持ちには気付いていた。

 女性に興味はないから恋人にはなれないけれど、たまになら一緒のベッドで寝てもいいくらいには好きだった。

 優しく頬にキスをすると、シェラはまた泣き出して泣いて泣いて泣き疲れて眠ってしまった。


 そんなシェラをダンカンに託し、マリーはリリーと手を繋いでバスに乗り込む。

 2年も過ごしていないのに、故郷から出るような気持ちになり、窓から大声で叫ぶ。


「ありがとう!皆さん、本当にありがとう!必ずまた帰ってきます!」


 返ってきたのは、暖かな言葉ばかりだった。



 そして、マリーとリリーは第二の故郷ともいえる街から去り、長距離装甲魔道バスを乗り継ぎ、5日という時間をかけて牛人族最大の都に着いた。

 慣れないバス旅で、疲労困憊しながらもたどり着いた人口100万人を超える都の中心部にある、大邸宅の豪華な一室で、マリーは激しく苛立っていた。


 叔母の家に着いて風呂を使わせてもらったのはいいが、マリーは眠ってしまったリリーとは引き離されてしまい、武器も取り上げられてしまった。

 ヒラヒラとした露出の多い服を着せられて、案内された大きな部屋には叔母とメイド、妙に着飾った牛人族の男たちが12人集まっていた。

 そして、自己紹介が済むと、誰がマリーに婿入りするのかの話し合いを始め出した。


 マリーは男たちの熱を帯びた視線を我慢して観察をする。

 まず、正面に姿勢良く座っている叔母であり牛人族の族長であるというマリアは恐ろしく強い。

 背は高く細く見えるが、凄まじい密度の筋肉が圧縮された体で、物腰にも一切の隙がない。

 微笑むような穏やかな表情だが、かなりの修羅場を生き延びてきた戦士特有の雰囲気がある。

 長い黒髪は艶があり、小さな顔は成熟した妖艶さが漂う美女だ。

 マリーと同じ色の瞳がこちらをじっと見つめて、あちらからも観察されているのが分かる。


 その隣に立っているメイドもかなりの腕前に見える。服の下に暗器を忍ばせていて、マリーをかなり警戒しているのか、穏やかな表情ながら殺気をぶつけてきている。


 しかし、それ以外は問題ない。男たちは巨大な筋肉を身につけてはいるが、実戦経験がある者は1人としていない。

 入り口近くにいる執事はそれなりの腕前だが、叔母やメイド以下だと判断を下す。


 エルフのアンジェリカが作ってくれた、お互いの居場所が分かる時計のような魔道具でリリーの寝ている部屋を特定する。壁を打ち抜けば数秒で駆けつけられる位置だ。


「それにしてもマリー様はお美しいですなぁ。私を選んでいただければ、望む限りの贅沢な生活を提供いたしますぞ」


 妙に臭い香水をつけた男が、鼻を膨らませてマリーを舐め回すように見つめてくる。


「いやいや、マリー殿には拙者を選んで頂きたい!あそこに飾ってある魔石をご覧なさい。2年ほど前にグレーターデーモンを倒して得た魔石ですぞ!族長様に献上させて頂いたのです」


 顎にたっぷりと肉がついた男が、部屋の隅に飾られている大きな魔石を指し示す。

 それは炎のように真っ赤に揺らめき輝く、素晴らしく立派な魔石である。

 その魔石をマリーはよく知っていた。


「火事場泥棒まで飼っているんですか」


 マリーの小さな呟きに、部屋が静まりかえる。


「な、なんですと?マリー殿!戯言が過ぎますぞ!族長様の前ですから見逃しますが、本来なら決闘を挑む侮辱ですぞ!あれは確かに拙者が貧しい村を襲ったグレーターデーモンと、激しい一騎打ちの末に得た魔石ですぞ!」


 太った男が顎肉をぶるぶる震わせながら、顔を真っ赤にして今にも立ち上がり、掴みかかってきそうな勢いで叫ぶ。


「グレーターデーモンですか。わたしはこの2年でグレーターデーモンを621匹狩りました。あのような魔石が落ちる事はありません。それにあれは、父が母に結婚を申し込む時に贈った魔石です。父が変異種のアークデーモンを倒して得たもので、父母が亡くなった後は、わたしを育ててくれた村長夫妻が地下の金庫に隠してくれていたものです」


 牛人族は住んでいる場所がエネミー群に襲撃される事を警戒して、家の地下に隠し金庫を作り一定の財産を貯める習慣がある。

 生き残った家族や村人全員で分配して、それからの生活の糧にする為でもある。

 村が壊滅した後、アンジェリカが捌いてくれた魔石以外、何もなかった事は不審に思っていた。

 しかし、救助の名の下に火事場泥棒をする恥知らずが居るとは思いもしなかった。こいつが村の財産を奪ったのだ。

 生き残った村人が受け取るべき財産を盗み、己の手柄に変えた卑劣な盗人だ。


「ざ、戯言を!育ちが貧しいと現実と妄想の区別もつかんようですな!貴様のような小娘がグレーターデーモンを倒すなどと」


「もういい、噂や調査など当てにならないものだ」


 立ち上がり激昂する男の言葉を、族長が遮る。


「兄も幼い頃から凄まじい強さだった。わずか8歳でグレーターデーモンを倒し、成人前から牛人族の歴史上最強の大戦士であった。マリー、その兄はいかようにして亡くなったのか教えてもらえるだろうか?」


 マリーを見つめるマリアに、父の最期の戦いを告げる。


「アークデーモンに率いられたグレーターデーモンの大群とたった1人で戦い抜いたそうです。わたしと同い年の子供達や母親たちを背に庇い、ただ1人の犠牲も出さず、最期は餓鬼玉を使ったアークデーモンと相討ちになったとの事です。帰ってきたのはこのペンダントと斧だけでした」


 それを聞いたマリアは、深く黙祷を捧げる。


「偉大なる兄の偉業を伝えてくれた事を感謝する。マリー、その兄に家族を作る事を決意させた、あなたの母上の事を教えてもらえるだろうか。西の街の大戦士であり、温泉郷のアンジェリカ様とパーティーを組んでいたと聞いた」


「昔の母の事は分かりませんが、よく笑いよく喋りお料理が上手で、とても優しい人でした。村を襲ってきたデーモンの群勢と戦い、足手まといのわたしを庇いながら、踊るように美しく戦いました。デーモンの毒を受けて苦しかっただろうに、苦痛を一切見せずに、泣き喚くだけわたしに優しく笑いかけながら逝きました。アンジェリカさんの事は詳しく知りませんが、今でもよくお世話になっています」


 マリーの語る母の姿に、マリアは再び深い黙祷を捧げた。


「辛い記憶を話してくれた事に感謝を。そして最期まで戦い娘を守った母上の偉業に敬意を。アンジェリカ様はエルフの武神とまで称えられる英傑だ。はるか昔に、世界に大災厄を振り撒いた鬼神を打ち砕きし、この世界の4英傑のおひとりでもある。その縁を大切にすると良い」


 マリーは幼い頃からエルフのアンジェリカが恐ろしかった。

 信じ難いほどの魔力と戦闘力を持っているのに、そのどちらも一切悟らせないように振る舞っている事が、怖くて怖くて仕方なかった。

 きちんと信頼して話が出来るようになったのは、命を救ってもらった後だ。

 マリアの話でその理由がわかった気がする。

 あの人はこの世界の頂点に棲む武芸者の1人だったのだと。


「族長様!そのような作り話を信じてはなりませんぞ!この増長したホラ吹きの小娘を拙者が躾けましょうぞ!小娘!中庭に出よ!キサマの嘘を拙者が証明してやろうぞ!拙者の斧を持って参れぇ!」


 名前が分からない顎肉ぶるぶる男が、真っ赤になった顎肉を震わせているのが、マリーは少し面白くなってきた。

 他の男たちも、謝るなら今のうちなどと凄んできて苦笑いが出る。本当にマリーの持つ力が分からないらしかった。




 中庭に出ると、顎肉男は無駄な装飾だらけの斧を構える。


「世界にその名轟く牛人族の勇者バランとは拙者の事であるぞ!地面に手をついて謝罪をするなら、許してやらん事もないぞ!」


 マリーは素手のままだらりと手を下ろして立ち、脱力した自然体のまま備える。

 男たちが下品な言葉で煽るが微動だにせず、周囲の全てを把握する。

 マリアは扇子を片手に持ち、腕を組み立っているが、何が起こっても対処出来るように備えている。

 立っているだけだというのに凄まじい武威を感じ、叔母への警戒を1段階引き上げる。


「おのれ!拙者の慈悲を無視をするか!生意気な小娘!寛容な拙者でももう許さんぞ!命までは取らぬ!躾けてくれる!」


 顎肉男が両手で持った斧を振りかぶり、マリーに叩きつけようとしてくる。

 それと同時にメイドの殺気も高まり、針のような暗器を握り込むのが分かる。おそらく毒を仕込んだ針だろう。この機会に始末をするつもりだなと判断する。


「食らえ!天よ驚嘆せよ!グレーターデーモンを倒せし必殺の剛刃撃ィィィィィィィィィィィィ!」


 マリーの足を目掛けて、斧を振り下ろしてくる顎肉男だがびっくりするくらい遅い。

 グレーターデーモンどころか、レッサーデーモンにすら通じないだろう速度で迫る刃を、指先で摘み受け止める。

 それと同時に飛んできた3本の針の毒が塗られた部分に触れないよう、指で摘んでから投げ返す。


「ば、バカなぁ!?剛刃撃を受け止めただと!?動かん!何故だぁ!小娘!どのような詐術を使いおった!」


 毒針はマリア目掛けて飛んでいく。顔を驚愕に染めたメイドが絶望の悲鳴を上げる中、叔母はその針を何事もないように手に持った小さな扇子で軽やかに払う。針は粉々に砕けて地面に消えた。

 男たちは悲鳴をあげたメイドに不思議そうな顔をしたり、顎肉男を囃し立てる者がいて、今の攻防すら理解出来ていない。


「何故だ!?何故動かん!?小娘!いかような魔術を使った!?神聖な決闘に魔術を使うなど下賎な事をしおって!野卑な育ちの何だあああああああああああああブヒッ!?」


 全身を真っ赤に染めて、斧を動かそうとする顎肉男の力を利用し、指で摘んだ斧越しに体を崩してから投げ飛ばす。

 賑やかに喚きながら飛んでいき、豚のような悲鳴をあげて壁にぶつかる。

 

 マリーは斧を軽く宙に投げ、斧柄を握り込みマリアに向けて投げつける。

 風を斬るスピードで迫る鉄塊を、今度も扇子を使い粉々に砕いた叔母に相対する。

 ただの扇子ではない。魔術で強化されたかなりの業物だと警戒感を高める。


「素晴らしい腕力だマリー。しかも、見事に練り込まれた戦闘技術を身につけている。おそらくこの都市にあなたに勝てる者はいないだろう。その技は誰に教わった?」


 マリアは何事も無かったように、柔らかく微笑みながら尋ねてくる。

 何が勝てる者はいないだと、重心を落とし構える。素手ではマリーでも勝てないかもしれない怪物のくせに。


「父と母の稽古を見て覚えました。後は最近まで住んでいた街の冒険者であるダンカンさんやシェラさんに稽古をつけてもらい、実戦で身につけました」


「英雄級冒険者『剛風』ダンカンや『暴風』シェラとも縁があるのか。それにしても凄まじいな。すでに最後に見た頃の兄に匹敵する力を身につけている。マリー、子を産むつもりはないか?このような据え物を叩いて、見せかけの筋肉を膨らまし強くなった気でいる者どもではなく、デーモンと戦い続けている、本物の戦士たちの子を」


 マリアの意図が分からず、マリーは眉を顰める。


「エネミー群の侵攻で、私が把握するだけでも30の牛人族の街や数えきれん村が消えて無くなった。エネミー群の支配地域に送り込んでいる大戦士たちも、奮闘を続けているが状況は良くない。12種族連合は異世界からやってきた軍と盟約を結んだが、まだどうなるかは分からん。強い子がいるのだ。牛人族の未来を支える強い子が。孕み産んだ後は養育と生活の一切を受け持つ。リリー殿と穏やかに暮らしてくれればよい」


 腹を撫でる叔母は酷く疲れているようだ。

 マリアの腹に赤ちゃんが宿っていると分かり、マリーは構えをとく。

 エネミー群との戦闘が激化している事はマリーも分かっていた。出現するデーモンの数が少しずつ増えてきていたのは、冒険者として把握していたからだ。

 だが、そうだとしても。


「お断りします。リリーが成人し生きていく糧を得るまで、わたしは番うつもりも、子を産むつもりもありません。唯の戦士として戦い続けます」


 叔母は諦めたように目を瞑り、また開き語りかけてくる。


「リリー殿の生活と安全は客人として保障しよう。牛人族の族長マリアの名に賭けてな。姪のナタリアを護衛として派遣する。だが、マリーの生活と安全の保障は出来ない。族長の血筋の義務を果たさない者には、特権は与えられない。リリー殿と一緒に生活する家は渡そう。後は、冒険者として好きに生きるがいい」


 そう言って、マリアは父母の愛の証である魔石を投げ渡してくれ、優雅に踵を返して家に戻って行く。

 マリーには、リリーの安全と家があれば充分だった。後はこれまでのように、これからも戦って戦って戦い抜くだけだ。


 それから、マリーは冒険者として、都市に襲来するデーモンの大群と戦い続けた。

 叔母の取り巻きは権力があるらしく、常に最前線に立つような状況に追い込まれ続けたマリーは、7体のゴーレムと共に、戦って戦って戦い続けた。

 2日間ずっと戦い続け、1日だけ家に戻りリリーと過ごす時間だけが癒しだった。

 そんな戦いの日々の中、財産だけは増えて行ったが、マリーの精神は摩耗し続けて疲弊して行った。

 もはや、自分が何をしているかも分からなくなって来た頃、唐突に戦いの日々は終わった。



「12種族連合と異世界の国家との間で、強力な旅団が結成された。もう間も無く、デーモンどもの圧力は弱まるだろう。マリー、あなたには戦技教導官として若い戦士を鍛えてほしい」


 呼び出され、久しぶりに会った叔母は幼児を連れて、赤ちゃんを抱いていた。

 マリーは曖昧になりつつ意識の中、それを了承したような気がする。

 4日ぶりに家に戻ると、成人して美しく成長したリリーが出迎えてくれる。


「マリー!4日も帰って来なくて心配したんだよ!戦況が変わったって町中で言っている!お願いだから少し休もう!もう限界だよ!」


 少しだが表情を作り感情を出せるようになってきたリリーが抱きついてくる。

 マリーはいつの間にか、妹の身長が自分と同じくらいに伸びている事に気づく。

 一体、いつの間に大事な妹がこんなに成長したのかと、そんな事すら分からないくらい、おかしくなっていたとようやく自覚出来た。


「マリー!ここに居たら駄目だよ!帰ろう!生まれた村の近くに町が出来たみたいなんだ!大家さんやサラさん、ダンカンさんやシェラさんから、何度も心配する手紙が来ている!アンジェリカお母さんも心配している!お願いだから帰ろう!私たちの村に!」


 懐かしい名前ばかりだった。

 そういえば、皆んな元気だろうかと思いマリーの意識は途切れた。





「お待たせマリー!これだよこれ!忘れたら大変……マリー?」


 サリーの明るい声に、過去に飛んでいた意識が戻ってくる。


「ああ、サリー何でもないんよ。お酒飲んだん久しぶりやさかい、ちょうぼうっとしてもうただけや」


 マリーは少しの間、戦技教導官として働き、辞めた後にリリーと一緒に故郷に出来た新しい街に向かった。

 そこで泣いて喜んでくれるシェラや、満面の笑みで優しく語りかけてくれるダンカンと再会した。

 戦いの日々は懲り懲りだったので、異世界人が作った職業訓練所で、リリーと共に看護や介護の技術を身につけて異世界言語を習った。

 そして、リリーは異世界を見てみたいとあちらの世界に行き、マリーは温泉郷にやって来て働き出した。


「そうかい?それならいいんだけどさ……渡したいのはこれだよ!皆んなで作ったんだ!」


 サリーが手渡してくれたのは、大きな美しい緋色のカーディガンだった。

 軽く手触りが良い。恐ろしく高価な魔力を帯びた糸を使っている上に、表には汚れ防止や強化の魔法陣がびっしりと刺繍されている。

 そして、裏には癒しや解毒、魔除けの魔法陣がびっしりと刺繍されていた。

 これ1枚で屋敷が建つ程の値段になるだろうと思い、マリーは困惑する。


「サリーこないなスゴいもんどないしたん?」


「皆んなで織ったんだよ!旅立つマリーが傷つかないようにね!病院の人たちやご近所さん、冒険者たちや王宮のメイドさん達!アンジェリカ様やアイシャ様に、内緒だけど女王陛下も針を入れてくれたそうだよ!あたしたちの恩人への餞別だよ!」


 得意げな顔をするサリーに、涙がこぼれ落ちて止まらなくなる。

 数多くの優しくしてくれる人々の顔と、もう会えない人々の顔が浮かんでくる。


「マリー!どうしたんだい?お腹痛いのかい?大丈夫かい?」


 狼狽えるサリーが抱きしめてくる。


「大丈夫大丈夫やよ、どこも痛ないから平気や。ただ嬉しかっただけやから」


 ほっとしたような顔をする親友を抱きしめ返し、きっとまたここに戻って来ようと決意する。

 温泉郷はもうマリーにとって、新たなる故郷になっている。

 辛い日々と記憶より、優しい人々との日々を覚えていこう。そう思えた事が何だか誇らしい。

 明日、故郷から旅立つマリーはまたひとつ強くなれたような気がした。

『武神』アンジェリカ


 2000歳を超えるハイエルフ。見かけは華奢な背の低い困り眉で腰まである茶髪の女性。

 温泉郷の武神と称えられる超越者にして、大災厄を振り撒いた鬼神を打ち砕きし、異世界の伝説である4英傑の1人

 温泉郷が襲撃を受けていた時は、異世界にて神のような悍ましき存在と戦いを繰り広げていた。

 壊滅寸前まで追い込まれ、少しずつ立ち直りつつある故郷の為、義勇団を結成した。

 初代温泉郷義勇団総隊長にして、現12種族連合筆頭相談役。

かつて、一目惚れをした牛人族の女性の忘れ形見であるマリーが心配でならない。


『剛風』ダンカン


 白狼族の英雄級冒険者。風魔法と身体強化を高レベルで使いこなす、世界でも有数の剣士。

 娘と同い年のマリーが心配でならない。


『暴風』シェラ


 虎人族の英雄級冒険者。風魔法と身体強化を高レベルで使いこなす、世界でも有数の武闘家。

 マリーが大好きすぎてもうたまらん。数年前に、お友達以上の関係になれて、それはもう有頂天になってイキり散らかしている。

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