旅立ちの朝、赤髪の幼子に決闘を挑まれる愚か者
エクストラミッション:ハーレムキングを撃退せよ
薫風が吹き抜ける春。
柔らかな朝日が差し込み、エルフ温泉郷は本日も透き通るような晴天である。
そんな胸がすくような朝だというのに、どうしてこんな事になっているのか理解出来ず、大山サトシは恥ずかしいのを堪えながら、大きな体にギラギラと光る謎素材の腰蓑のみを身につけ、腕組みをしながらステージ上に立っていた。
双子エルフのシアとミアに、ハーレムキングらしく出来るだけ偉そうに立つように言われているが、それがなかなかに難しい。
そもそも、ハーレムキングらしいと言われても、何なのかがさっぱり分からない。なにせ四十路が見えて来たというのに、女性と致した事すらないサトシにはハーレムなどネット小説やアニメの中の出来事である。
どうしてこうなったと、ため息を吐きそうになるのを我慢して、精一杯に胸を反らしながら全身に力を込めた。
同僚の青山サキが、サトシの事をハーレムキングと呼んでいるのは承知していた。
謎のハーレムキングの歌を作って、夜な夜な温泉郷を巡り、風呂を楽しみつつ美声で歌い上げているとも聞いていた。
しかし、まさかその歌がエルフ温泉郷のお子様たちの間で、空前の大ブームになっているとは想像の埒外だった。
サトシは何かの間違いである事を祈った。
しかし、その祈りは届かず、ドーリーで朝食を食べた後に突然拘束された。
そして、ドーリー待機場の近くにある広場に設営された特設ステージ裏まで、双子エルフに尻を蹴られながら連れてこられ、服を剥ぎ取られて着替えるようにとギラギラした腰蓑を投げつけられた。
パンツだけは返してと欲しいと頼んだのに、嘲笑しながら悪態を吐き去って行った、あの双子エルフどもだけは絶対に許さない。
15時のお茶の時間は、おやつ抜きにしてやると誓う。
本日の午後から、エルフの王女であるサーシャ姫の慰問ライブツアーの護衛として、温泉郷より出発するはずではなかったのかと、サトシは視線だけで周囲を窺う。
元凶であるサキは古のアイドル衣装とヘアスタイルで、お子様たちとその保護者数百人が詰めかけるステージ上にて、短時間の無料ミニライブを開催。
『イケ逝け!嘶け!ハーレムキング』という曲を古のロボットアニメのオープニング風にアレンジしてシャウトし、会場のボルテージは最初からクライマックスだった。
続けて『ハーレムキングは振り向かない』という曲を、古のラブコメアニメでよくある、哀愁漂う懐メロエンディング風に切なく歌い上げ、観客から拍手喝采を受けていた。
そして、現在はステージ上でお子様たちを中心とした300名様限定無料サイン会が開催されている。
サインをしているのは、サキとその恋人であり、温泉郷の救世主であるという山田タカシの弟子の伊知地セイラだ。
古の学生服を着て眼鏡をかけ儚げに微笑むサキ
ライフルをすごくカッコよく構えるセイラ
そして半裸のままナイフを舐めながら邪悪に笑うサトシ
3種類の中から好きなブロマイドを選び、サインをしてもらう仕組みらしい。
サトシはブロマイド撮影などされていないし、あんな邪悪な顔はしていない。
なにせナイフを舐めるとか、口を切るのが恐ろしすぎて無理だし、あからさまな合成写真である。
1番人気のブロマイドは、ここ温泉郷で救世主の弟子として信仰の対象にすらなっているセイラだ。
「お手を煩わせて申し訳ありません使徒セイラ様。我が家の家宝にします」
「いいよ〜気にしないでね〜」
エルフの子供たちはサインを貰い、セイラに深々と頭を下げて丁寧に礼を言っている。
セイラと握手をした後、感動のあまり座り込んで泣き出す子までいる。
異世界に来る前に一度だけ挨拶をした山田タカシは、若過ぎる奥さんの尻に敷かれた自称亭主関白で、小粋なダジャレを鮮やかに使いこなすダンディな人だとは思っていたが、異世界でここまで慕われているとは想像すら出来なかった。
弟子であるセイラですらこの有様なのだから、本人が来たらどうなるのかと思う。
セイラと同じくらい人気なのはもちろんサキだ。
「サキおねいさん!すごくおうたがじょうず!こえもきれい!あたしもサキおねいさんみたいになりたい!」
「うむうむ、歌は世界をそして宇宙を救うデカルチャー。わたしのように異世界系アイドルを目指して頑張るが良い」
笑顔が眩しい小さな子たちは、サキにサインを貰い大喜びである。
だが、サキがいつからアイドルになったのか、サトシには分からない。
温泉郷レコードより楽曲が絶賛配信中というポスターが、会場中に貼られていて、物販ブースは長蛇の列である。
そして、ダントツ最下位なのがサトシのブロマイドだ。最下位というか誰もサインを貰いに来ない。
「やい!ハーレムキング!ブヒィ!と叫べ!」
「そうだ!そうだ!はげしくブヒれ!」
サトシはヤンチャなクソガ……お子様たちに取り囲まれ、体によじ登られたり、罵声を浴びてペチペチと叩かれたり、ゲシゲシと蹴られていた。
抵抗するなと固く言われているので我慢するが、肉体に痛みはなくとも心が痛い。
「オデ、ワルイハーレムキングジャナイ、オデ、ヒメサママモル」
風魔法を使って耳元で囁やいてくる双子エルフの演技指導通りに、悪くないハーレムキングだと必死に主張する。
そもそもハーレムキングではないけれども、何とか頑張って訴える
しかし、お子様たちには理解して貰えない。
「ハーレムキングのくせになまいきだ!」
「あたしたちの姫さまに手を出すな!じゃちぼうぎゃくのハーレムキングめ!」
よりいっそう激しく罵られる。
そんなヤンチャなお子様たちの中に7歳ぐらいの炎のような美しい赤髪の女の子がいて、脚を鞭のようにしならせながら、サトシの膝関節目掛けてローキックを黙々と叩き込んでくる。
ダメージはないがそれなりの威力がある事から、女の子の脚が痛まないように、師匠である宇部ジュリアに教わった氣という謎パワーを、ゴムのようにして脚にまとわせクッションの代わりにする。
女の子は何か感触がおかしいと思ったらしく、蹴るのをやめてサトシを睨みつけてくる。
可愛らしい小さな2本の角がある、びっくりするくらい顔立ちの整った子だ。
むぅと口をへの字にして、何かを考え込んだ後、ステージ下に飛び降り、保護者が集まっている一角に走り、お姉さんらしき美しい赤髪の華やかな美女に何かを訴えている。
その美女はサトシを大きな目で睨みつけ、女の子に長い脚をしならせるようなキックのお手本を見せた後、何かを耳打ちしていた。
それを聞いてふんふんと頷き、またステージ上に駆け登ってきた女の子は、サトシを指差し高らかに宣言する。
「やあやあ!我こそは『麗しき雷光』サリーが娘!ふとう……あれ?お母ちゃん!何だか忘れた!」
ステージ下に向けて叫ぶ女の子。
「マーヤ!『不撓不屈と共に征く者』だよ!」
叫び返すお姉さんと思っていた赤髪の美女は、女の子の母親らしい。
ものすごく若く見えるなぁと思っていたら、何見てんだという風に睨まれた怖い。
「そうそれ!『不撓不屈と共に征く者』マーヤがハーレムキングに決闘を申し込む!いざ、ジンジャーに勝負勝負!」
女の子と母親が日本語を使ったのでサトシは驚く。
異世界の大半の人は、言語変換の魔道具を持っているか言語魔法を使うのに、2人は流暢な日本語だった。
「マーヤ!ジンジャーじゃなく尋常だよ!ジンジャーだと生姜だよ!」
「分かった!お母ちゃん!やい!ハーレムキング!マーヤと尋常に勝負しろ!」
女の子と母親のやり取りに、ステージの下ではドッと笑いが起こり、お子様たちはマーヤちゃんがんばえー!と応援を始める。
サトシはそのやり取りで色々と察した。
このマーヤという名前らしい女の子と母親は、この温泉郷のタレント的な存在なのだろう。
なにせキラキラと輝くような美人親子であるし。
つまり、これは台本ありの余興なのだ。
温泉郷の人気タレントである可愛い女の子が、異世界から来た悪のハーレムキングに挑戦状を叩きつけて倒す、王道ヒーローショーなのだろう。
台本はあるがサトシにだけは渡されていないという状態なのだろう。
学生時代はよくあった。
卒業式前のお祝いを、クラスの皆んなで河川敷でやろうとなったらしかったが、サトシにだけ知らされなかった。
翌日、体調でも悪かったの?と、ちょっとだけ気になっていた委員長に聞かれ知ることになった。
似たような事は稀によくあったし別に傷ついてないし平気です。
なにはともあれ、挑戦状を叩きつけられたからにはハーレムキングとして応えなければならない。
「オデ、タタカイスキジャナイ、オデ、オハナダイスキ、オデ、ワルイハーレムキングジャナイ」
しかし、このような小さな子と戦うわけにはいかないので、サトシは花を愛でる優しきハーレムキングという事にして、この場を乗り切ろうといや待てハーレムキングを受け入れてどうする。そもそもハーレムキングではないというのに。
「ええ!?ハーレムキングはお花が好きなの?マーヤもお花大好き!お母ちゃんとお庭でお花育ててるんだよ!」
花が咲くような笑顔になるマーヤに、やはり花は良いとサトシも頷く。
道端に咲く花の美しさにふと気付く。それが愛と平和を知るきっかけなのかもしれない。
「マーヤちゃん!騙されちゃだめ!」「マーヤ!あぶないぞ!それがハーレムキングのひれつなやり方だ!」「マーヤちゃんがんばえー!」「マーヤ!ゆだんするな!」
素直なマーヤちゃんを言いくるめられる寸前だったのに、ひねくれたクソガ……お子様たちが騒ぎ出す。
危機管理に対する教育が為されている余計な事を。
「みんなー!大変だよー!わるいわるいハーレムキングがマーヤちゃんを騙そうとしているわ!みんなでマーヤちゃんを応援よ!」
このイベントのMCを担当しているのは、サトシが所属する部隊の部隊長である絵崎エリナだ。そのエリナが会場のお子様たちを煽り出した。
会場中のお子様たちとその保護者たちまでが、大歓声をあげてマーヤちゃんを応援し出した。
毎週、金曜日のお昼に作ると決まったカレーを出す際、エリナが苦手なニンジンをお皿に入れないようしようと思っていたが、特盛にしてやろうとサトシは誓う。ついでに、サラダにはキャロットドレッシングをかけてやる。
「マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!マーヤ!」
やがてその応援のボルテージがあがり、声を揃えてのマーヤコールとなり響き渡る。
サトシとお子様たちを交互に見て、どうしようと困惑していたマーヤちゃんも、リズミカルなコールに体を委ねてぴょんぴょん飛び跳ね出す。
「うむ、マーヤちゃんハーレムキングを倒してしまうと良い」
「そうよ!マーヤちゃん頑張って!」
「マーヤちゃん〜がんばれ〜」
何故か同じ部隊の3人がサトシを倒すよう、さらにマーヤちゃんを煽る。
仲間なのにどうしてどうして。
「おうたのおねいさん!しかいのおねいさん!セイラさま!マーヤ頑張る!よーし!イコンはないがあ!イコンあった!マーヤの嫁のマリーちゃんに手を出すハーレムキングめ!マーヤの必殺技をくらえ!」
会場の大歓声を背負い構えるマーヤちゃんは、今日から介護士として、サトシたちと同じドーリーに搭乗する事になるマリーの知り合いらしい。
可愛らしい2本の角の間で雷みたいなのがバチバチと弾けて、小さな体が淡く光りだし、赤髪がふわりと浮いている。
「必殺!ビリビリマーヤキック!」
目を離したつもりはなかったのに、いきなり目の前にショートパンツから伸びた脚が迫っていた。
必殺技を叫んでくれたから気がついたが、そうじゃなかったらまともにくらっていただろう。
怪我をさせないように、受け止めずに受け流そうとしたら、静電気みたいな衝撃がサトシの体を貫く。
「あ、ちょっと痛い」
ピリッとして驚いてしまい、小さな体を跳ね上げてしまう。
「うわー!?すごい!マーヤお空飛んでる!」
10メートル近く空中に投げ出されたマーヤちゃんはすごく喜んでいるみたいだが、怪我をさせないよう慌てて落下地点に駆け寄る。
「サトシ、受け止めたらそのまま倒れろ」
「グワーッ!と叫んで倒れるの」
耳元で双子エルフが風魔法を使い囁く声がする。
小さな体を受け止め、落下の勢いを消す為に転がり、そのまま倒れ込む。
「グ、グワーッ!……マーヤさん大丈夫?怪我してない?」
言われた通り叫んでから、体の上に座っているマーヤちゃんに小声で尋ねる。
「あれ?ハーレムキングがマーヤを受け止めてくれたの?ありがとう!ハーレムキング!」
ニコッと笑顔でお礼を言われる。すごく素直で可愛い子だなと思う。
「みんなー!マーヤちゃんがハーレムキングを倒したよ!マーヤちゃんに拍手ー!」
エリナが会場に語りかけ、サキとセイラがマーヤちゃんの両手を持ち高々と掲げる。
大団円に会場中が暖かな拍手で満たされ、マーヤコールが木霊する。
無事イベントは終わったようで、観客たちが笑顔で賑やかに去っていく。
サトシは左足をエリナに、右足をセイラに持ち上げられてバックステージまで引きずられて来た。
途中、段差で頭を打ちそうになったので、必死にガードした酷い。
「とんでもない目にあった……酷いよ皆んな」
お子様たちの夢を壊すなと双子から言われて、動かないようにしていたサトシはバックステージでようやく立ち上がる事が出来た。
「まあよいではないかサトシ。昨日の防衛戦で負傷した兵士や義勇団、その家族への見舞い金を調達するイベントらしいからな。わたしの歌も小さなお菓子程度で買えるが、1ダウンロードに付き複数企業が寄付をしているそうだ」
「王家からもきちんとお手当てが出るそうですが、住民の皆さんがこういうイベントを開いて、それで集まったお金を渡すのが習慣らしいのです。温泉郷でお世話になった方も多いですし、ご助力出来たのは誇らしい事ですわ」
サキとエリナが教えてくれた、イベントを開催した理由を聞いて、単なる悪ノリだと思っていたサトシは恥ずかしくなる。
「ガハハ!ミア、やはりちびっこ達から小銭を巻き上げるのはたまらんな」
「流石はシア、小銭稼ぎマスター」
ふとバックステージの端に目をやると、双子エルフのシアとミアが、テーブルの上に山のように積まれた銅貨を数えながら高笑いをしていた。
「……あの2人酷くない?」
サトシがそう呟くと、2人は気まずそうに目を逸らした。
「シアとミアは〜駄菓子を仕入れて売っていたらしいよ〜小銭を稼ぐの大好きらしくて〜」
苦笑いしながらセイラが教えてくれた、双子のお小遣い稼ぎはまあ良いと思う。
こちらの世界の銅貨は、日本円で15円程度であるし暴利を貪っているわけでもないだろう。
しかしだがしかしだ。
「2人とも、僕の服とパンツ返して!」
こんな恥ずかしいギラギラと輝く謎素材の腰蓑姿にされ、ステージに立たされた恨みは忘れない。一刻も早く着替えたい。なにせスースーするし、ブラブラして落ち着かない。
「デカいのをブラブラさせやがって」
「卑猥なの早く着替えるの。マニアに腰蓑売り飛ばすの」
シアがニチャァと笑いながら風魔法で腰蓑をめくる悪戯をしてきて、ミアが悪態を吐きながら服とパンツを投げつけてくる。
サトシは涙目になりながら、腰蓑を抑えつつ簡易な更衣室に逃げ込む。なんて奴らだ!あの双子は本当に酷い。
「サトシさんおるー?」
着替え終わり更衣室から出ると、撤去が進む大きなテントのバックヤードの奥にある出口から、マリーの呼びかける声がした。
「あ、ここにいるよマリーさん」
牛人族のマリーが、赤髪の美人親子を連れてやってきた。
「堪忍なサトシさん。うちがちゃんと説明してへんかったから、この子らが暴走してもうて。紹介するなぁ、うちの親友のサリーと娘のマーヤちゃん。2人ともこちらが大山サトシさんや」
マリーの親友だというサリーは、近くで見るととんでもない美女であった。
サトシが何人か会った事のある牛人族の女性は、皆んな小柄だったが、この人はすごく背が高い。
そして、細身なのに一部がすごくすごくてスタイルがすごい。
「何を物欲しそうに見てんだい!あたしはハーレムなんて入んないからね!あと、あたしの親友のマリーを泣かせたら蹴り飛ばしてやるからね!」
サリーに睨みつけられながら叱られてしまった。
美女が怖い顔をすると迫力が凄くて怖すぎる。体の一部がヒュンとなってしまう。
「ハーレムキング!ハーレムキングはサトシっていうお名前なの?マーヤはマーヤだよ!お花大好きなのはほんと?これあげる!あと、マーヤがお嫁さんになってあげてもいいよ?」
母親の背後からこちらを伺っていたマーヤちゃんが、駆け寄ってきて可愛らしい花束を渡してくれた。
小さなピンクの花弁が愛らしい花で、甘く柔らかな香りがする。
「わぁすごく可愛い花束だね。僕は大山サトシです。お花大好きだよ。この花束はマーヤさんが作ったの?ありがとう、すごく嬉しい」
そう言って受け取ると、顔を真っ赤にしながらはにかむマーヤちゃん。
「こら!大山サトシ!マーヤはまだ6歳だよ!成人まで嫁には出さないからね!」
「サトシさん……牛人族のプレゼントは告白みたいなもんやから、気軽に受け取ったらあかんで」
サリーに叱られ、マリーに呆れたようにそう言われるが、まだ子供ではないかと思う。
プレゼントが告白なら、サトシが入院していた時に、マリーが毎日のようにお花をプレゼントしてくれたのは何だったのか。
不思議に思いマリーを見ると、こちらも真っ赤になってしまった。
それを見たサリーの顔が険しくなる。
「やっぱり悪いハーレムキングみたいだね!あたしが蹴り飛ばしてやる!尻だしな!」
そう言って近付いてくるものだから、サトシは慌てて逃げ出した。
マーヤちゃんみたく2本の角の間で雷みたいなのがビリビリしていて、くらったら消し炭になりそうな嫌な感じがしたからだ。
そういえば、こんなイベントが好きそうなジュリアとユウキが居ないなと思う。
2人とも我先にと参加しそうなのになと考え、何だか嫌な予感がしてきた。
もうあと数時間で旅立つのだから、何事もありませんようにと願いながら、サトシは怒れる赤髪の美女から温泉郷を逃げ回り続けた。
「むっ!?強者の気配がする!ボクより強いヤツに会いにいく!」
「ジュリアさん、お昼ご飯までには帰ってきてくださいましね」
「はーい!行って来ますエリナ!サトシが悪いことしないよう見張ってるんだよ!ボクたちの何だからね!」




