ナマケモノ殿下と油断ダメ絶対
シンセイの想定
王城南部と隣接するフォーグラム領よりユリウス軍5000
これを迎え撃つのがシンセイ軍1000(+3人娘)
王城南東部より進軍してくる予想のガイエス軍1000
これを迎え撃つのがテンセイ軍1000(+アール)
現段階では軍としての練度、先日のクリスによる問答で士気の下がったユリウス軍は兵数は多いもののそこまで脅威ではない。それよりも練度、士気、そして率いる将の質が高いガイエス軍が脅威という判断でこの分け方となっている。
シンセイとテンセイは念入りな調査と事前の打ち合わせで兵数と脅威度、軍の侵攻スピードを考え、配置決めを行った。
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「はぁ〜、めんどくさい」
「そんなこと言わずにさ、ちゃんと城をでて野戦で戦ってよ!」
出陣前、俺とテンはいつものお茶会をしていた。場合によっては最後のお茶会にもなりかねないしね。
「わかってるよ、城の方が守りは硬いけど、城下町に影響がでるし、舗装された道や民家にも酷い影響がでる。勝っても負けてもいいことなんてないさ。だから無理に野戦なんでしょ?」
「ごめんごめんシン、民のためもあるんだけど、ガイエス兄さんと参謀のリュートさんを騙すにはこれぐらいしないとだからさ。」
いつものように軽い言葉をかわす。内容は重いけどこれが俺達の距離感なんだ。
「まぁちゃっちゃとユリウス倒してそっちに行くから、それまで負けないでね」
「それはいいけど大丈夫?指揮官も少ないし、兵数差がありすぎてあんまりこっちにはこれないんじゃない?」
「実はクイル様がとっておきの援軍を送ってくれるらしい、恥ずかしい話それをあてにしてるんだ。」
2人が紅茶を飲み終わった瞬間、しめし合わせたように出陣の準備が整う。
「シン、ピンチになったら助けにきてね」
「テン、こっちは最初からピンチなんだよね」
2人で笑い合いながらそれぞれ席をたつ
テンをエーミィが迎えにきて、三人娘が俺を迎えてくれる。
「シン様、よかったんですか?これが最後かもしれませんよ?」
馬車に向かう途中、クリスが心配そうに顔を覗き込む
「最後にはならないからね、それに、伝えたいことはいつもちゃんと伝えてるよ」
「クリスとアキナは大丈夫?今から戦うのは人だよ?」
レイがクリスとアキナを心配する。
クリスは戦に関係のない公爵家のご令嬢、アキナに至っては戦争とは縁のない平和な国にいた人物だ。
「ええ、フォーグラム領は私の領でもあります、私が止めなくては」
「大丈夫だと思うよ、こっちに急にきて言葉が繋がらなくてモンスターに囲まれた時より全然へーき」
半分は強がりと言ったところかもしれない、でもそれでいい、戦争においては強がりも大切だからね。
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フォーグラム街道 フォーグラム領と王都を結ぶ街道である
非常に整備された街道であり、出現するモンスターもほぼおらず、出たとしても初級モンスターだけ。治安も非常によく王国が誇る平和の象徴ともいえる街道だった。
街道は広い平原の中にあり、見渡す限りの草原、そして東部にジンゴの丘と呼ばれる少しだけモンスターの出る緩やかな丘があるだけだった。
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「大軍を相手に小数の軍が勝つためには、っていうのは王都学校でくさるほど聞いた話なんだ。」
フォーグラム領軍との仮想戦場であるフォーグラム街道を目指す馬車の中で、クリスからのどうやって不利を覆すつもりなのかという質問に対して答える。
「1つに敵の補給戦を断つ、もう1つ大軍側が慢心していた場合に奇襲による混乱を誘発する攻撃、もう1つ火線に誘い出しての包囲殲滅、最後に一点突破による敵司令官の撃破」
「王都学校で習っているということは、もちろんお兄様もご存知ということですよね?」
王都学校は8歳〜14歳までの貴族の子供や優秀な平民が通うため、当然敵であるユリウスも通っている。
「そうなんだよね、多分通用しないんだ。」
「えっ、そうなの?じゃあダメじゃん!あれ、でもレイさんは冷静な顔だよね、何々?愛する旦那さんを信じてるってかんじー?」
アキナが大袈裟に絶望的な顔をして、1人だけ表情の変わらないレイに冗談半分で話をふる。
「シンが私たちを連れてくるってことは作戦がある。シンは心配性だからダメそうなら多分実家に疎開させると思う。」
「むむむむむ、さすが第一正妻、ポッと出の私たちとは信頼度が違う。」
「ん、大丈夫、シンはアキナのことも大好きだし、クリスも大好き、これくらいじゃ嫌いにならない。」
いや、そうだけどね、3人とも大好きだけどね、それをレイが言わなくてもいいよね、顔真っ赤になっちゃうよ。
「それでシン様、どんな作戦なんですか?」
クリスの冷静な質問で俺たちを引き戻す。
「そうだね、とりあえず内緒かな、そっちの方が面白いでしょ?」
立てた人差し指を口元にもっていき、しーっとする。
内緒の方が面白い。
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俺は主力部隊をフォーグラム街道西部に配置、ジンゴの丘のあるちょうど反対に配置した。
そして俺と三人娘、数人の護衛はジンゴの丘についた。
「私達だけでジンゴの丘にきて、シン様は何をなさるつもりですか?今お兄様がくるととってもピンチですけど。」
ジンゴの丘についた俺のゆったりとした作業に心配になったクリスが痺れを切らして質問してくる。
「もー、クリスさんは心配性だなー、私はもう何しようとしてるか考えるのを諦めたよ。」
「クリスの相手は反乱したとはいえ実の兄、優秀とも聞いてるし心配なのはわかる」
心配するクリスを両脇から2人がイジる。
心配ももっともだし少しだけ教えてあげよう。
「んー、今日は多分ユリウスはこないよ、昨日の奇襲とクリスの説得で今は大変だよ、騎士団や領民の説得に忙しいだろうね。それに多分ユリウスは油断してない。今日は夜襲に備えたりしっかりと準備をすると思う。急いで軍を動かしても奇襲されて混乱するかもだし、戦力の逐次投入はほとんどの場合下策、油断してないからこそ、明日しっかりと軍を率いて、ここにくるよ。」
「昨日の行動にそんな意味があったんですね。でもこういう時はなるべく油断させた方がいいのに、いいのですか?」
「油断してないってことは、ちゃんとしてくれるってこと。油断して変な動きする相手の方が組みにくいよ。今回みたいにちゃんと勝ち筋がある時は特にね。それにちゃんと油断してくれてるよ。油断せずにちゃんと軍をまとめて動かせば負けないっていう油断をね。」
そういう言って俺はアキナの力も借りてジンゴの丘にある仕掛けを作り、主力部隊が陣をはる西部へ移動する。
さてさて、ユリウスがくるのは明日かな?せいぜい油断せずにちゃんときてくれよ、勝ち筋はいっぱいあるのに、1つしかないって考えくれよ。
場所のイメージです
王 王都
フ フォーグラム領
丘 ジンゴの丘
道 街道
シ シンセイ達の陣
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王
道道
道道
道道
道道
丘 丘 道道
丘 丘 道道 シ
丘 丘 道道
道道
道道
道道
道道
フ




