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ナマケモノ殿下と辺境伯

そろそろストックがなくなるので、3章から更新が遅くなるかもしれませんが、エタはせずに完結させるのでよろしくお願いします。

 霊峰リンドブルム フォーグラム王国、そしてこの大陸の最北西に位置するこの山は、この大陸でも数少ない未踏破のSランクのダンジョンとされている。


 ブルメシア領 霊峰リンドブルムに隣接するこの領は、元はいくつかの都市国家であったが、フォーグラム王国に併合された際に一つの領となった。

 霊峰リンドブルムから際限なく湧くワイバーンに対抗するため、背の高い建物に多くのバリスタや投擲網が設置されており、多くの冒険者がいる。

 冒険者にとってブルメシアとは、100%稼げるけど命の危険が物凄くある場所。


---


「ということは、シンさんとテンさんが後継者争いに負けたらブルメシア領主になるの?」

 ブルメシア領へ向かう馬車の中で、クリス先生からブルメシア領の説明を受けたアキナはとてもデリケートな質問を当たり前のように飛ばしてくる。

 

「テンは多分人気だから他所の国に婚姻かな、だからまぁ、俺がなるんじゃないかな。まぁレイとならそんなに不便ないし、実際脳筋兄には兄貴が王になったら俺はここがいいって相談してるしね。」

「そう、シンは防御結界が得意だし、婚約者も私でエヴァンス家とも縁が深い、適任」

 負けた時のことを冷静に話したからか俺たちにクリスとアキナが少し赤い顔をしてドン引きして固まっている。

 知らん僻地に飛ばされるよりはエヴァンス領から指示してればいいこっちの方が楽ではある、困ったらロバート様もクイル様も助けてくれるしね。


「ッハ、脳筋兄、ガイエス様ですね、やっぱりガイエス様が優勢なのですか?」

 ドン引きしていたクリスが気を取り戻し話を続ける。


「ガイエス様ってたまに遊びにくる人ですよね?仲良いですよね?」

「そうだね、普通に何もなかったら脳筋兄が次期王だし、俺もテンも脳筋兄が王なら特に文句ないしね、俺はブルメシア領でゆっくり過ごすし、テンは多分帝国あたりに飛ばされるだけかな、テンは帝国のお姫様と両思いだし本望でしょ」

 テンは小さい頃に会った敵国である帝国のお姫様に一目惚れしてしまって色々な騒動のあとに婚約まではいかなかったが将来を約束することになった。

 それからもちょくちょくお忍びで遊びに行ったりきたりしている。今も多分会ってるんだろう、テンがエイセイを使うってことはそういうことだ。


「ねぇシン、大丈夫?」

 すごく真剣な顔でレイがこちらを見る、無表情じゃない顔が凄く凛々しい。

 この話はかなり秘匿性の高い話で、兄弟でもガイエス兄だけしか知らない話である。何せ帝国は敵国、その帝国のお姫様と王子が想い人なんて、中々の問題である


「大丈夫だよ、2人とも俺の味方だから。」

 俺はクリスとアキナの2人をしっかりとみて話す。

 

「なるほど、わかった、なら2人とも、シンの側室にならない?クリスは正室かな?少なくとも私は2人が好き、だからシンと私はいつでもいいよ」

 突然の爆弾発言に俺とアキナは完全に理解が追いついていなかった。そもそも俺はいついいって言ったんだ。


「お誘いありがとうございます!もしそうなったら私も側室で大丈夫です!家のこともあるからまだ決めてないですけど、レイ様に認められたみたいで嬉しいです。」

 俺とアキナをよそに明るい笑顔でニコニコしながらクリスが話す。クリスはよく求婚されたりそう言う話が出るから対応が上手だ。


「あの、俺はレイがいればそれで」

「私が2人といたい、これからは女性陣で話す、シンは黙ってあっちいって」

 そういうとレイはクイル様を呼び出し俺は一時外で馬に乗るのだった。

 俺の馬車なんだけど、、、


「シンセイどうしたんだよ、誰か怒らせたのか?」

 馬を横につけ、クイル様が話を聞いてくれる。

 

「俺の知らないところで俺の側室の話が出てるらしいです。」

「なんだそれ、どうせレイチェルがあの2人気に入ったんだろ、全く、うちの家はみんな女好きだな」

 ロバート様はもとより、クイル様もかなりの女好きで有名だった。

 

「クイル様も刺されないように気をつけてくださいね。」

「大丈夫だ、この前刺された時はナイフのほうを欠けさせたよ。」

 ロバート様はもちろんだが、クイル様もやっぱり化け物だな。


 そうこうしているとブルメシア領の街へ到着した。


 ---


「シンセイ様ご一同様、初めまして、私ブルメシア領を治めるアルメイル=ブルメシアと申します。」

 クイル様に負けず劣らずの高身長で若干パーマがかった黒髪単発のイケメン細マッチョがしっかりとした礼をもって対応してくれる。

 ここには他の街のように表立って反対する人や力試しを挑む人はいないらしい。


 俺たちは挨拶もそこそこに屋敷の会議室にて後継者争いについて話を行なっていた。

 主にクリスが。


 辺境伯の言い分はこうだ。


「私達は誰が王になろうと関係ない、ワイバーン退治に文句を言わなければいい。だから誰も支援しないと決めている。」

 これに対してクリスが何故か自信満々でこう言っていた。


「ワイバーンぐらい第四皇子のシンセイ様がなんとかしてくれますよ。上手くいったら支援してください!」

 こちらを見てウインクを飛ばしてくる。

 以前フォーグラム領のモンスター問題を解決したから今回もいけると思っているのだろう。

 うーーーん、ちょっと難しいなぁ、どうしよう。


 ---


 


「で、クリスティーナ様はああ言ってたけど、できんのか?」

 辺境伯との打ち合わせが終わり、俺は辺境伯の屋敷の庭でクイル様と訓練で汗を流していた。


「ちょっと考え中なんですよね。一応ワイバーンを調べる事ができればワイバーンを誘き出す事はできるのですが、あんまりいっぱい出てくるとこっちが負けかねませんし、退治するだけなら根本的な解決にならないし。」

 物思いにふけながら、それでも集中を切らす事なくクイル様と訓練していると、屋敷よりアルメイル候が顔を出す。


「私も混ぜてくれないか?」

 訓練用の服の出立のアルメイル候は剣と盾を構えていた。


「ふぅ、これでクイル様の訓練から逃げられる」

「シンセイ、おまえが抜けていいわけないだろ、男同士、特に俺たちみたいな武辺者には、言葉をかわすよりも効率的な対話があるんだよ」

 そう言ってクイル様は剣をおろし庭の端の方へ向かう。


「アルメイル候、知ってるかわかりませんが、こいつは攻撃がてんで苦手だけど、防御に徹すれば俺でも崩せない、好きなように剣でも弓でも魔法でも打ち込んでいいですよ。もし勝てたら攻撃力は雷神に並べますよ」

「ほう、それは面白いですね、ワイバーン相手の戦闘がほとんどなのであまり対人の自身はないですが、攻撃力なら私も自身がありますよ」

 そういうとアルメイル候は剣を全力で打ち込んできた。

 隙こそ大きいものの威力自体はクイル様やテン並み、これがワイバーンと戦うということなのだろう。

 強力な初撃を剣で逸らしたあと、アルメイル候はこちらに盾を投げる


「くっ」

 盾を投擲して攻撃という対人ではあまりない選択に剣が少しだけ遅れる、がそれでも問題なく弾くと、アルメイル候ら両手で握った剣を大きく振りかぶりさらに手強い一撃を打ち込んでくる。

 こちらの隙を狙う一撃だが威力重視のため振りかぶりが大きくすぐに対応し剣を逸らす。


「これもなんなく、さすがです、が、これなら、エアシュート」

 アルメイル候の放った魔法は見当違いな方向に、しかしそれは俺が弾いた盾を狙ってのものだった。

 風魔法が当たった盾はそのまま風魔法をおびる、その魔法をおびた盾は大きく孤を描き、俺目掛けて飛んでくる。


「なるほど、これは面白い!」

 俺の死角をつく盾と同時にアルメイル候が攻撃を仕掛けている。

 盾とアルメイル候による左右からの同時攻撃を右手の剣と左手の防御結界で対応する。

 盾を弾いてもまた弧を描いてこちらに攻撃を加えに戻り、その盾と逆からアルメイル候が仕掛けてくる。


「初見でよく対応しますね、だがこれなら」

 アルメイル候は大きく飛ぶと、風魔法を使って上空で風を蹴る。空中で急に方向を転換して上空からこちらに向かってくるアルメイル候と、今度は地を張ってこちらを攻撃してくる盾の二方面から攻撃であった。

 上空からの一撃は片手でいなすのがかなり苦労しそう、そして盾の対処に片手が必要な状況に追い込まれた。


「とった!」

 アルメイル候が渾身の一撃を決めようとするも、俺は指を弾き全方位結界を側面にだけ張ることで盾による攻撃から身を守り、上空から向かってくるアルメイル候の剣を両手でゆっくりと確実にいなし、結界に弾かれた盾をさらに結界で閉じ込めた。


「ほぅ、シンセイが初見で全方位結界使うのか、凄いな、好きが多いとはいえこれがワイバーンを狩ることに主をおいた技か!」

 興奮したクイル殿が身を乗り出している。


「素晴らしい、初見でこれが防がれるどころか盾の自由まで奪われるとは、シンセイ様、お見それ致しました。」

「いえ、こちらもちょっと卑怯な防御手段を使いました、お手合わせありがとうございます。」

 アルメイル候と握手をするとウキウキになったクイル様が乗り出してきた。


「アルメイル候、次は俺とどうだろうか!」

「ふふっ、申し訳ありません、明日以降に支障が出る恐れがあるため遠慮させてください。」

 断られたショックで固まったクイル様を置いてアルメイル候は俺を向き直す。


「素晴らしい、優しい剣、防御結界でした、守るための技ですね。技には言葉よりもハッキリとその人がでます。」

「いえ、そんなに褒められる事はないため少し恥ずかしいですね。」

 少し顔を赤くして照れてしまった、最近こんなのばかりだ。

 

「本当にありがとうございました。貴方の人となり、剣が気に入りました。明日以降のワイバーン退治の結果に関わらず、貴方を支持させていただきます。」

「宜しいんですか?」

 びっくりして聞き返してしまう。

 

「えぇ、クリスティーナ様の言葉より、クイル様の武力より、貴方の剣に先を見ました。でも、ワイバーン退治はよろしくお願いしますね、期待していますので。」

 そういうとアルメイル候は片膝をつき臣下の礼をとってくれる。


 男の対話という奴も捨てたものではないんだな、相変わらず攻撃は全然ダメだったけど。


 このあと模擬戦をねだるめんどくさいクイル様を説得して1日を終えた。


 さて、ワイバーン退治はどうするかなぁ

 

辺境伯は基本的に国境沿いの領主になります。

危険が伴うけど、貴族としての位は高く、武勇に優れた人が管理する土地になります。


辺境伯は他の土地に比べると異動が多めです。

さらに戦功あげて内部に移動を希望する貴族が多いためです。


ブルメシアは他国ではなくワイバーンの産地である霊峰リンドブルムと接地しています。他所の国と隣接するほどの脅威と認識されているからですね。

ブルメシア辺境伯はワイバーンへの恨みが強いため戦功をあげても内部にいったりせず、兵器や人員、恩賞のための金貨を望んでいます。


ブルメシア領はフォーグラム王国に併合されたばかりですが、特にフォーグラム王国からの圧力等はなく、支援が多いため関係はかなり良好です。

強いて言えば今回の後継者争い、王位継承戦が初めてですね。

色んなところから声はかかっています。強いし中央部に文句言わない扱いやすい貴族と見られているためです。

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