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始龍の賢者  作者: みんと
ローゼンベルク 編

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40/65

第40話 ドラゴン強襲


 俺は、おおきくいきをすいこんだ――!

 そして、ドラゴンブレスを思い切り、ゴーレムたちに向けて吐き出した……!!!!


 ――ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 ――ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 ――ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 ――ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 ――ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 ――キュィイイイイイイイイイイイイイイン!!!!

 ――ズギャアアアアアアアアアアアアアアン!!!!


 相手は人間じゃないし、手加減はいらない。

 一息で、ほぼすべてのゴーレムたちを塵も残さず葬り去る。


「す、すごい……これがレルギア殿のドラゴンブレス……」

「アイリのはこんなもんじゃないぜ?」


 さて、これでゴーレムは片付いたことだし、次はこっちから攻め入る番かな。

 そう思った矢先、今度はまた別のアホが現れた。


「戦じゃ戦じゃ! 戦いじゃあああああああああ!!!!」


 アホな叫び声とともに俺の頭を踏みつけたのは、魔王カンナだった。

 ライゼたち全員、危ないから森の家に待機していたはずだが……。


「おいなんでお前ここに……!?」

「血の匂いがしたからじゃ! 私にも戦わせろ……!」

「いや、それはマジで面倒なことになりかねんから、お願いだからやめてくれ……」


 ただでさえ、俺が魔王扱いされているから、こんな事態になっているんだ。

 ここで本物の魔王まで出てきたら、マジでややこしい。


「えー……つまらんのー」

「いいから。家に帰れ……。帰ったらなんでもいうこときいてやるから……」

「ん? 今なんでもって言ったの? 言ったからな……! 約束じゃぞ……!」

「あ、おい……!」


 俺がなにか言う前に、カンナはまたどこかに行ってしまった。

 はぁ……嵐のようなやつだな……。

 っていうか、あいつ俺になにをさせる気なんだ……?

 まあ、おとなしくしててくれるならなんでもいいか。

 よし、じゃあ気を取り直して、俺も敵陣に向かうかな。


「トカゲ……!」


 俺はトカゲを呼び出した。


「うお……!? ドラゴン……!? じゃないんでしたっけ……?」


 トカゲの登場に、将軍がひどく驚く。

 前にもこいつはみたことあるのにな?


「そうだぞ? どっからどう見てもトカゲだろ」

「いやぁ……慣れませんねぇ……」

「じゃあ、俺は適当に敵軍蹴散らしてくるから、防衛よろしく」

「は、はいレルギア殿……! よろしくたのみます!」


 俺は単身、アルテミス王国へ向かった。




◆◆◆




 アルテミス王国の大臣ドドンパスは混乱していた。

 完璧なはずの作戦が、こうも見事に失敗するとは、思ってもみなかったのだ。

 目の前の水晶に映し出された映像が、本物のこととは思えなかった。


「そんな……禁術まで使用したのに……!? どういうことなんだ……! それに、タイタンたちも一瞬で……!」


 絶望の表情を浮かべるドドンパスに、さらなる悪い知らせが届く。


「ドドンパス様! 報告いたします!」

「な、なんじゃ……!」

「そ、それが……我がアルテミス王国の上空に……!」

「じょ、上空に……!?」

「ど、どどどどどど、ドラゴンの大群が……!!!!」

「な、なにいいいいいい!??!?! ドラゴンの大群じゃと……!??!?!? そ、そんなこと……ありえるわけが――」


 言いながら、ドドンパスは映写水晶の映像を、アルテミス王国の上空に切り替える。

 するとそこには、確かに映っていたのである――。

 ――普通、ドラゴンというものは、群れない。

 単体のドラゴンでさえ、人間の目の前に姿を現すなど稀だ。

 ドラゴン単体で、国を亡ぼせるほどの力を持つともいわれている。

 そんなドラゴンが、大群で押し寄せるなど、あり得るはずのないことだった。

 しかもただの大群じゃない。空を埋め尽くすほどの大群だった。


「こんな大量のドラゴン……いったいどうやって従えているというのだ……!?」


 そもそも、普通ドラゴンは決して人に従ったりなどはしない。なぜなら、種として、ドラゴンのほうが人間よりもはるかに上位だからだ。

 そのため、鑑定もきかなければ、魔法もほとんど効果がない。

 ドラゴンからすれば人間などはそのくらいとるに足りない存在で、滅ぼす価値すらも感じないものだった。

 ではそんなドラゴンが、なぜこんな大群で人間を襲おうとしているのか――。


「あ、あれは……!? 上に人がのっている……!?」


 ドラゴン軍の中央にいる、ひときわ大きいドラゴン。

 その上に、一人の男が乗っていた。

 そう、レルギアである。

 竜王であるレルギアに従わないドラゴンなど、いない。


「あ、あれが大魔境から連れ帰ったという大賢者……なのか……!? ば、化物め……! 本当にこれじゃあ魔王じゃないか……!!!!」


 ドドンパスは、もはやこれまでと覚悟を決め、匙を投げた。


「ドドンパス様、ご命令を……! って……なにをしているのですか!?」

「逃げるに決まっておるだろう! こんな後のない国と心中する気はない……!」


 逃げる支度をし始めたドドンパス。

 しかし、その部屋に、突如として大きな穴が開く。


 ――ズドーン!!!!


「なんだ……!?」

「お、ここが悪い奴の部屋か……?」


 そこから顔を出したのは、一匹のドラゴンと、それを従える大賢者だった。


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