2話 《夢向点》
『夢』と聞くと皆はどういう意味を思い浮かべるだろうか。一般的には将来実現したいこととか、睡眠時に見る幻想世界とかだろう。
しかし、僕の場合は少し違っている。まず、将来実現したいことなどない。だから、僕は幻想世界のイメージの方がしっくりくる。だが、それがほかの人とは違っている。
強いて言うなら、僕が見るのは幻想なんかじゃない。現実なのだ。
時刻は10時半頃。いつもならそろそろ寝ようとしている頃であろう。
しかし、僕はいま、とても目が冴えている。言い換えると、とても興奮している。いや、性の方じゃないからな。
それもそのはず、
第一に僕はメールなんてしないのに、とても熱中してやったこと。
第二にその相手が女性だということ。
そして、第三に会えるという可能性があったからだ。
第一と第二は至って普通である。男子ならこうなるはず。
しかし、第三は特別な理由だし、確率も極わずかだ。僕はその数パーセントにかけているというわけだ。
そう、その特別な理由とは夢の中にある。僕はメールの最後に一通、普通なら不思議がられる質問を彼女にした。
「何時に寝ますか?」
僕の勘が正しければこの質問がキモがられることはないだろう。そして、その勘が当たったかのように返信が帰ってきた。
「12時ぐらいかなー?(。ρω-。)」
な、なんと!!遅くない?え?12時!?お肌に悪いし病気になっちゃうよ!?少ししか寝てないのにあの可愛さ。恐るべし。就寝時間が普通な僕は彼女の就寝時刻に驚いた。
まぁ、それで、現在に至るわけだが。すまぬ、もう、眠さは限界だ。もう、ねむすぎる、寝落ちしてしまいそうだ。
だが、彼女に会うために、、、
僕は頭の中で葛藤した。
そして、どうやら寝落ちしてしまったらしい。くそう!いい夢、見れるといいな、、、、、、、
いや、創る、か。
仮想フィールドに転移したかのような感覚だ。例えるとしたら、体の重さが0になって、頭の頂点から魂を引っこ抜かれる感じだ。
そして、ほんとに仮想フィールドにつく。
辺り一面白い正方形が敷き詰められ上も横も下もどこを見ても白に黒い線が入っているように見える。
そう。これこそが僕の抱く『夢』のイメージ。《夢の世界》なのだ。
さらに、ここに着くだけではないのである。ここでは、なんでも創れる。自分の知っているデータを想像するだけでそれが構成され自由に使える。
まさに夢のようである。
そして、最大のとっておきがあるのだが、それは後ででいい、それより今は。
僕は彼女がここにいると考えた。
はっきり言って僕のこの夢は特殊だ。彼女にあの言葉を言われるまで自分ひとりの能力だと思っていた。
だが、これはもしかしたら、他の人もそうかもしれないと思ってしまったのだ。
その時、僕のラノベ智識で考えた。いや、考えてしまった。どんだけ好きなんだよ。
仮にこれが仮想フィールドだとしたら僕と同じようにこの世界に来れる人間はこのフィールドに全員集められるのではないかと。
少し違うがVRMMOみたいなことだ。前に仮想フィールドということで空中に巨大浮遊城を作ってしまったぐらいだ。
ちなみに僕は心がドス《黒の剣士》である。
まぁ、だから可能性はあるわけだ。だが、まぁ、早く来すぎたよな。けど、実際さっさと寝てこっちに来て、ここで来るのを待っているのも手だった。
興奮しすぎて考えられなかったわ。
一応時間が知りたいな。12時になったら来るかもしれないし。
(時計)
すぐさま僕が想う時計が出てきた。安っぽい腕時計だ。時刻は11時。
物語進んでねぇーのに、30分もたったわけねぇーだろ。って思った人。
大丈夫だ。この《夢の世界》での時間の概念は現実の3倍と考えてもらうのがわかりやすいだろうか?
また、起こされたり、大きな音を立てたりしない限り目覚める事はない。
僕が知っているここの知識はこんなものだ。あと、飛べる。
なんか、あっさりすごいことしてるよな。
とはいうもののの、知識が浅いのは僕はつい最近ここに来れるようになったからだ。
いつごろだろうか、去年のクリスマス辺り。かな?そこら辺から寝ると嫌でも、毎日来れるになった。
最初きた時はかなり戸惑った。寝れなかったのかと思ったし、死んだのか?とも思った。
さらには《あの能力》を知った時にはほんとにびっくりした。
僕は自分の能力と合わせて考えてみることにした。例えば、過去に行ける人間がいるとしたら、もう1人は、、、
「どこに行けるのか。」
ラノベの読みすぎだ。そもそもあんな能力こそ持っていないはずで、、、
「未来だよ。」
「やっぱり!未来?!嘘だろ、こんな偶然って!。。。うわぁ!」
頭が痛い。回らない。頭が熱くなっている。なんだ、誰か前にいた。いや、誰かじゃない、数パーセントの可能性だ。
「うれしいな。やっと、やっと会えた!」
回らない頭の中では、自分の視界に映る人物を認識するので精一杯だった。
そこにはパジャマ姿の鳥海さんがいた。いやいやいや、これはなしだろ可愛すぎるだろ(泣)
たぶんこれは僕がこのシチュを妄想しすぎたあまりに見える幻覚なのであろう。
いや、しかし、今までこの仮想フィールドで人を見たことがあったであろうか?
《あの能力》を使えば嫌というほど人は見るが。ということは、やはりこれは!
「え、と、びっくりしたよね、ごめんね!
私もさ、いるなんて全く考えてなかったんだよね。数日前かな?この《夢向点》で君に言われたんだ。魅力的なことを。それからずっと気になってたんだよ!それで、今日やっと声をかけれたってわけ!」
ははぁ。ごめん、内容ほぼ全部つかめてないんですけど。
けど、1個疑問に思ったことがあった。あと、まだ、僕セリフゼロだし。カラカラな口を必死に動けと念じ言う。
「えーと、どうも鳥海さん。これって本物だよね?君の夢の中でも僕が見えてるんだよね?」
僕がこういうとさっきまで笑顔だった彼女は急に真顔で表情や動きが停止した。僕はまずいことを言ったのか?
しかし、その行動の真意はすぐに分かった。黒目が泳いでいた。
まぁ、ようは僕がまずいこと言った感を感じてる表情を楽しんでたんだろ?だったら、こっちだって反撃して楽しんでもいいよな?
僕は躊躇なく、停止した彼女の首元に息を吹きかけた。さぁ、反応は。
「ぁぁぁはぁ!ぁは!」
いや、こいつ、弱すぎだろ。なに、Mなの?Sなの?おまけにうるさい。
「もー!!ずるいよ!厚史くん!」
いやいやいやいや、あなたからやり始めたし。なにがずるいんだろうか。
「あのさ、まぁ、今のはどうも腑に落ちないけど、まぁいいとして。質問いいかな?」
「来いや!」
「。。。あのさ、さっきの話の中で《むこーてん》?って言ってたじゃん?それってどういうこと?」
「あー、《夢向点》ね、ここのことそうやって呼んでるんだよ。だって、ほら、こっから向かうじゃん?本当の夢に。」
「なるほどね、納得だ。じゃあ、もう1個いいかな?」
「来いや!」
いちいちうるさいな。
「どさくさに紛れて言ってたけど、君は《未来》の行けるの?」
実際ここが一番の謎だ。これで、ほんとに行けるとしたら、僕と、、、
「行けるよ!見に行くこともできるし、変えることもできる。あ!じゃあ、こっちのターンね!」
なんだよ、遊○王かよ。
「さっきの独り言かもしれないけどさ。あれだよ、どこに行けるのかって言ってたじゃん?この言葉が出てくるって事はさ、ここからどこかに行けることを知ってるってことでしょ?それを踏まえて聞くけど、君はどこに行けるの?なんの《能力》を持っているの?」
ものすごく会話慣れしてるな、俺とは段違いだ。
こんなことを考えていて質問への答えを待たせるのは失礼ってもんか。教えてやるよ。てか言ってなかったんだな。脳内でしか言ってなかったのか。
「あぁ、そうだよ。俺は、過去に行ける《能力》を持ってる。」
この瞬間から、始まった。
お互いに事実を伝えあった。
運命の歯車が今、回り出した。




