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次なるクエスト

「ちょっと待っててね」


アリスさんがすぐにギルドの奥へ移動して書類を漁り始めた。

恐らくあそこに俺達向けのクエストを置いてあるのだろう。


「よし、あったあった、今回用意したクエストは3つね。


 1つは採取クエスト、報酬100森の奥地にあるバルドの実を3つ採取。

 バルドの実は前、スライム討伐に行った場所の木に成ってるわ。

 結構高いから、木登りが出来ないと木を蹴る必要があるかもね。

 まぁ、セイナちゃんが木を蹴れば簡単に落ちてくるでしょうけどね。

 落下してきた実を落とさないようにキャッチしないと駄目よ?


 次は討伐クエスト、報酬5000、森の奥地でワイルドハントが発見されたの。

 ワイルドハントは狼男見たいな奴でね、狼だけど2足歩行なの。

 名前の通り、あらゆる種族を狙って行動してくる面倒な奴。

 家畜も殺されるし、果物も荒らされたり、人的被害も考えられるわ。

 見た目の通り、ワーウルフである私達が好物でね。

 好物と言うより、繁栄のために狙われるから、放って置くわけにも行かないの。

 今は被害報告は無いけど、何かあった後では困るし、出来れば討伐したいわ。

 まぁ、単体だから驚異的という程強くはないのが救いだけど。


 次に探索クエスト、報酬3000、勿論洞窟の探索クエストよ。

 やっぱりこの村は近くに森があるから、この探索クエストも森の洞窟になるわ。

 色々な噂がある洞窟だけど、お宝が眠ってるとも言われてるわ。

 とは言え、モンスターが居る可能性もある、しかも結構近いから

 子供達が興味本位で入る可能性も捨て置けない。

 まぁ、今現在そんな事をしそうな年齢の子供は居ないけどね」


居たとしても俺達位なんだろうな、そんな噂聞いてないけど。


「だから、洞窟探索クエストはそこまで優先順位が高いわけでも無いわ

 以上の3つがあなた達が選べるクエスト、どれを選ぶ?」


この3つだと、選ぶ物は大体決ってるよな。

優先順位も高く、村に被害が及んでいて、更に被害が発生する可能性のあるクエスト。

そんな物、1つしか無い。


「勿論、ワイルドハントの討伐を受けます」

「驚異的では無いにしても、危険度は高いわよ?

 それに、報酬も5000だしね、いやまぁ、無難だけど」


そこまで驚異的では無いと言うことなんだろうな。

となると、ケルベロスの報酬10万だったし、相当危険だったんだと分かる。

キングスライムも確か5000だっけ、あいつくらいの危険度か。


「ただ知性もあるから気を付けてね」

「分かりました」


ある程度の概要を聞き、俺達はギルドを後にしようとした。

その時、俺達はアリスさんに止められる。


「弓矢の支給は?」

「大丈夫だよ、今の私にはこれがあるから」


嬉しかったのだろう、マリスは俺が渡した千弓を取りだし

アリスさんのに見せ、ニッコリと笑った。

レベッカは少し羨ましそうな表情をしていたが

アリスさんは…少し、疑問を抱いたかのような表情だった。


「……」

「ど、どうしたの?」

「いえ、それは千弓・序よね、実際相当扱いやすい弓、でも…」

「で、でも?」

「何故、あなたがそれを持って居るの?」

「え?」


レベッカは弓にあまり詳しくないのかも知れない、だから羨ましがっただけ。

だが、アリスさんはギルドの人間、武具に関しての知識があった。

だから、この千弓をアリスさんに見せたのは失敗だっただろう。


「いえね、あなた達へ払った報酬は3万、買おうと思えば買えるはずよ。

 でもね、この村に千弓は売ってないわ」

「え!?」


不味いな…完全に把握してる…


「そう言えば、そんな弓は何処にも…」

「あ、え、えっと…」

「何か隠してる? 強奪とかしたの?」

「してないよ! そんな事!」

「まぁ、それは分かるんだけどね…じゃあ、何か隠し事でも?」

「うぅ……」

「……マリス、もう隠す必要は無いだろう、と言うかもう隠せない」

「でもお姉ちゃん!」

「大丈夫だって、アリスさんとレベッカしか居ないんだから…

 もう少し話すのは後にしたかったけど、その内話す事だし。

 えっとですね、実は俺には格闘(特大)以外にもスキルがあります。

 唯一型のユニークスキル、購買のスキルが」

「聞かないわね、そんなスキル」

「えぇ、唯一型ですし、俺しか持ってませんとも、まぁ、言ってしまえば

 このスキルを使えば、何でも自由に買うことが出来るんですよ」

「な!」


相当汎用性の高い万能型のスキルと言えるだろう。

しかも、何でも自由に買えるというのは凄いことだろうしな。


(何でも、と言えば何でもですが、一応私の許可が必要という制限がありますよ?)

(流石にお前の存在まで明かせるかよ)

(まぁそうでしょうね、とは言え、私の正体を知らせないようにすれば良いだけで

 私の存在は公表しても問題はありませんよ、スキルの妖精という事にしましょう)

(知らせなくても…)

(いざ、土壇場で使うとなった時に、私の正体を知られていないと不便でしょう?

 今まで通り、隠れながらスキル購入というのもしんどいでしょうしね。

 と言う訳で、私を紹介することを勧めますよ、妖精という事にしますので)

(それで納得されるのか?)

(唯一型のユニークスキルは解明がほぼ不可能です、言われたことを受入れるしか

 相手には出来ないのですよ)

(……分かったよ)


少し不安はあるけど、まぁ実際、隠れながらスキルを買うというのもしんどいか。


「っとですね、スキルを購入するには、ほい、出て来い」

「はいはい、マスター、お呼びでしょうか」


服の中から蝶々状態のルアが姿を見せ、人型に変化した。


「え!? どうなってるの!?」

「お、お姉ちゃんの周りでよく飛んでる蝶々、人になるんだ…」

「何んですか、これ!」

「どうも、スキル購入のめ…妖精です」

(おいルア! いきなり墓穴掘ろうとするな! 馬鹿か!)

(つ、つい口が滑りかけただけです! 滑ってないので問題ありません!)

「な、なんで2人して冷や汗かいてるの?」

「いえ、な、何でもありませんとも!」

「えぇえぇ、問題ありません、え、えっと、その…ど、道具を購入しますか!?」

「あ、いや、そうじゃ無くて今は自己紹介をして欲しくて」

「あぁ、そう言う、では、私は購買スキルに宿る妖精、ルアと申します。

 とは言え、マスター以外からは購買は受け付けておりませんが」

「こんなユニークスキルがあったとは…なる程、隠してた理由が理解できたわ。

 それもそうよね、こんなの知られたら、最悪悪事に利用されかねないし

 セイナちゃん以外からの購買は受け付けてないそうだけど

 セイナちゃんを脅したり、騙したり、調教したりすれば実質購入は可能だし」

「調教って恐いことを…」

「いやいや、例えじゃ無くて調教師ってのが居るから、そう言うのあるのよ」


さ、流石リョナ系エロRPGの世界…何でもありだな。

と言うか、そんなのがいるとすれば余計にこのスキル危険だな。


「だ、だから、この事は出来れば…」

「分かってるわ、内緒にしておくわね、ギルドにも話は通さない。

 ギルドで話が広がると、拡散の危険性が跳ね上がるし

 ここは私達だけの秘密にするわ、ただケミーには話して良い?

 あの子も大丈夫よ、私が保証するわ」

「お、お姉ちゃん…」

「はい、大丈夫です、信頼してますので」

「それはありがたいわ」

「私も誰にも話しませんね」

「あぁ、お願い」

「あらあらマスター、隠してたんですねー、便利なのに」

「便利すぎるから隠してるんだよ」

(おいこら、話を再燃させようとするな、と言うか堂々とからかうな)

(まぁまぁ、何か仲良い風を装いましょうよ)

(そ、そうか…はぁ、分かったよ)

「どうも少し反抗的な所があるみたいだけど、まぁ良いわ

 とにかく色々と理由も分かってスッキリしたわ、ありがとう話してくれて」

「話さないといけない状況に追い込んだんでしょう?」

「う、そ、それは…まぁ…て言うか、そのルアって子、結構容赦ないわね…」

「私は常にマスターの味方ですので、あなたの味方ではありません」

「わ、分かってるわ、何か調子狂うわね…」


ルア…結構容赦ないな、性格悪いっての。


(牽制というのは大事なのですよ? そんな事も分からないのですか?)

(くぅ、そう言うところが性格悪いんだよ…)


はぁ…下手な事を考えられないというのは困るな。

く、発言の自由所か、想像の自由さえ奪われるというのは正直きついぜ。

でも、妄想の自由はあるんですかねぇ。


(ありません)

(畜生! 圧政反対! ボイスイズフリーダムを要求する!)

(却下です、邪な妄想など無意味というか、寿命を縮めるだけです)

(くぅ…制約きつすぎる…)


うぅ…監視されているというのは中々に辛いぜ。

まぁとりあえず、俺達はアリスさんに挨拶をしてクエストの地点へ移動を開始した。

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