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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第六十七話

ホワイトデーがやってきた。緒方は昨日からそわそわしていたのだが、そのそわそわがわくわくに変わっていくのを感じた。神埼のことはいつも一番に考えているつもりだ。しかし、つもり、では物足ず自分は本当に神埼のことを愛することができているのか、緒方は知りたかった。心や意識ではもちろん、愛している。大好きだ、大切にしたい、という神埼への気持ちが溢れてきて緒方自身を満たしてくれる。神埼のことを考えたり思い描いたりするとぽかぽかと温かくなってきて体中から力が溢れてくる。軽くなり愛のためならば何でもできるような気がする。不思議な心地よさだ。「しかし、私の気持ちばかりが前に進みすぎているような気がします。いくら相手のためだからといって、気持ちが伝わらないでは意味がありません。」相手が心から喜んでくれるように、助かったよとほっと心を休めるように。緒方は神埼の心を包み込むような、神埼が帰ってきたいと思えるような存在でありたいと思っていた。「神埼くんの帰る場所です。家族であり恋人であり安心できる温かい場所です。私は神埼くんのそのような存在になりたいです。」緒方は自分の気持ちをもう一度確かめた。神埼に見つからないようにホワイトデーの情報を集めていたが、その緒方の目標に叶ったものは見つからなかった。私の贈りたいものは、物ではないのでしょうか。。。緒方は考える。「神埼くんの好きなもの、欲しそうなもの、いくら探してもどれもピンときません。。」うーん。と緒方は唸った。神埼は意外と長風呂だ。さらにこの頃は部屋に籠って晩御飯の時まで居間にはやってこない。緒方にとって一人の時間が増えたことはとても幸運なことだった。「。。。!!これは!!!」先程、神埼に一言入れてからコンビニに行ってきた。そこで何となく買ってきた雑誌に緒方の神埼を愛したいセンサーが反応した。「これですよ!これなら神埼くんも気軽に快適感が味わえるのではないでしょうか。アロマも心と体をリラックスさせると言いますし。」緒方が見つけたのは首から肩にかけてすっぽりと包み込む柔らかいものだった。電子レンジでチンすれば温かくなり、冷蔵庫で冷やせばひんやりと気持ちがいい。脊髄部分はすべての血管が集まっているのでここを温かくすれば体全体の血液が温かくなり効果的だ。さらにアロマも使うことができ、心地よい時間を過ごせるように計算されている。緒方は素晴らしいと思った。「これです!これを何としても手に入れなければ!!」こうしてはいられない。緒方はすばやく寝室に向かうと外出用の服に着替えた。大型のショッピングセンターにならあるかもしれない。そういえば木村が、あそこの一階の雑貨店は女子のなかでも人気だと教えてくれた。「緒方くん、神埼くんへのプレゼント決まったの?もし、迷ってるのならこのお店がお薦めよ。」ふんわりと優しく笑っている。緒方は部屋に籠っている神埼に声をかけた。「何かほしいものはないですか?これから出掛けるのですが。」緒方の問いかけに神埼はしばらく考えて、牛乳ほしいなー、と呟いた。ホワイトデーだろ。お前の好きな甘いもの作ってやるよ。穏やかに笑っている。何を作ってくれるのだろう。緒方は照れ臭いような温かい気持ちになった。神埼と話をして、外へと出掛ける。今日はいつもよりも少し寒い。マフラーを巻くほどではなかったが、風が冷たかった。道端を見ると雑草が生えていてよく見ると蕾が顔を覗かせている。もうすぐ春がやってくるのだなと緒方は思った。ショッピングセンターに着いてお目当てのお店に行ってみる。ホワイトデーだからだろうか。たくさんの人だ。カップルの姿もちらちら見られる。みんな愛する人がいるのだなと緒方は嬉しくなる。神埼へのプレゼントはすぐに見つかった。あまり知られていないのだろう。お店の隅に置いてある。「雑誌でもとても小さく書かれてありましたから。人気がないのかもしれませんが、私はあなたのお陰で神埼くんにプレゼントができますよ。ありがとうございます。さあ、一緒に帰りましょうね。」緒方は商品を手に取るとレジに並ぶ。お店はとても繁盛していて、混んでいた。その間も緒方は神埼へのプレゼントを持ちながらわくわくとした温かい気持ちに溢れていた。「このプレゼントと神埼くんの感動の出会いがすぐそこに迫っています。わくわくしますねぇ。」人混みのざわめきは緒方の独り言を掻き消していく。もうすっかり独り言が多くなった緒方と神埼へのプレゼントとして選ばれた商品は、のんびりと神埼のいるアパートへと帰っていった。

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