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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第六十五話

今日は三人で食卓を囲んでいる。去年の10月頃からこたつを出していたから、いつものようにこたつの上にご飯を並べて食べていた。温かくなったのでそろそろこのこたつも押し入れになおして、休ませる時期がきたなぁと神埼は思っていた。大塚と緒方と一緒に朝御飯を食べているのだが、緒方が大塚の方をちらちらと見ている。それに対し大塚は、たまにちらりと緒方を見て顔をしかめていた。「。。はぁ~。。神埼、頼むから緒方の相手をしてやれ。俺に遠慮するなよ。」遠慮。。その言葉に神埼はドキリとする。実を言えば朝はいつも緒方にわがままを言って、ちょっかいをよく出していたのだが今日は大塚がいる。さすがに大塚の前でやるのは気恥ずかしいのでやめていた。まるで見透かされたみたいだ。「。。遠慮なんてしてないって。おかずも食べてるし。」わざと話をそらしてみる。美味しそうなえのきのベーコン巻きを箸でとらえて口のなかに放り込む。よく噛みながら飲み込む前にまたご飯をほおばった。「いや、そういうことじゃなくてだな。。俺のことは気にせずにいつも通りの朝を迎えてくれってことだよ!」ほら、見ろ!あの緒方の顔!絶対満足してねぇって!スススと大塚が神埼の方に寄り添いながら目線を緒方へと向けている。顔に、いつもと違います、って書いてあるだろ!大塚が小声で神埼に伝えてくる。その伝え方が必死で、神埼は笑ってしまった。「な!神埼、お前な。。笑いごとじゃ。。「大塚くん。神埼くんに近づきすぎです。離れてください。」大塚の声を緒方が遮ってきた。若干目つきが悪いのは気のせいだろうか。普段、緒方の目は垂れ下がり神埼からすれば、だらけた顔になっている。珍しいなぁと神埼は思っていた。ほれきた!と大塚は神埼から飛びはねて離れる。「だいだい大塚くんは、神埼くんとの距離が近いです。目を離したらすぐ神埼くんに近寄るという。。私たちが恋人同士ということを知っていながらそのような行動をとられるなんて。私は大塚くんを見損ないました。そもそも、私と神埼くんはですね。。」緒方の説教が始まった。いつものことだ。神埼はさらりとかわしながらお味噌汁をすすった。味噌の温かくて優しい味が身体中に広がっていく。ほうと息を吐いた。「わかった。わかったから。勘弁してくれ。」くどくどと説教を続けている緒方に対して大塚が両手を挙げて降参している。その様子を神埼はのんびりと見守った。緒方の説教は一度始まれば、緒方が満足しないと終わらないし聞いていてもよくわからない。いつも神埼は素通りしている。大塚も慣れればいいなぁと思っていた。「神埼!助けろ!そこでのんびりするな!」「また!都合が悪くなったら、神埼くんに頼るのですか!大塚くん、あなたとはよくよく話さなければならないようですね。いいですか?神埼くんは今、朝御飯を楽しんでいるのですよ!それなのにあなたという人は。。」「ああ~!わかった!わかったから!」「いいえ!わかっていません!」二人してギャアギャアと騒いでいる。その姿はとても楽しそうだ。緒方はクラスメイトたちには優しいし、意見を言うよりは、聞き役になっている。いつものんびりと外から見ているイメージがあったが、こうやって言い合っているのはとても珍しいし、騒ぐことも珍しい。「仲良いなぁ。。二人とも。」何よりいつもの緒方と違っていて神埼はそれが新鮮でとても嬉しかった。大塚が緒方は周りと一線を引いていると言っていたが、この二人の様子を見ていると二人ともそのままで接している気がする。大人っぽくてみんなを引っ張っている大塚と、冷静で優しい緒方。それが今目の前にいるのは、子供のように激しくじゃれあっている何処にでもいるような高校一年生の子供だ。神埼はそれがとても嬉しかった。「二人とも人間だったんだね。」いつも冷静で優しい二人。同い年なのに、兄のような大塚と何でもこなし自分のことを大きく包み込んでしまう緒方。神埼にとって凄くて遠い存在だと思っていたが、こんなにも近い。神埼は嬉しくなった。「。。?」大塚と緒方がその意味がわからずに神埼の方を向いたのだが、神埼は気にせずご飯を食べている。柔らかく笑っている神埼を見て、緒方が固まっているのを大塚が呆れたように見ていた。「俺にとっちゃぁ、あのうるさかった緒方を黙らせる神埼がすげえよ。。」大塚がぼそっと言ったのだが二人には聞こえなかったらしい。咳払いをして朝御飯を食べ始めた緒方と嬉しそうにほおばる神埼を見ながら、こいつらはこれから二人でセットとして考えよう、などと決意していた。

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