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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第百二十一話

緒方と寝室の布団でじゃれていたら、いつの間にか眠ってしまったらしい。気づけば周りがぼんやりと明るくなっている。神埼が目を覚まして最初に見たものは隣で一緒に寝ていた緒方の優しそうな笑顔だった。緒方は相変わらず神埼を見つめながら頭を優しく撫でていて悔しいがとても心地よい。すぐそばにある緒方の優しく穏やかな目を神埼は見つめていた。寝室のドアを軽く叩く音がする。不思議に思って体を動かしてみた。「お邪魔しまーす。。緒方、神埼、起きてるか?もうすぐ昼だぞ。どんな感じだ?」ドアを開けてこっそりとこちらを伺っている大塚がいた。緒方と目が合ったようで、あーと安心したような声がしてゆっくりと近づいてくる。大丈夫か?と神埼の顔を覗き込んできた。目が覚めたばかりの神埼は眠そうな視線を大塚に向ける。緒方も大塚も楽しそうに笑っていた。「昨日、川に行って疲れが一気に出たみたいだな。帰ってきてからすぐ料理も作ってくれたし。。ゆっくり寝てろよ」穏やかで労るような声に神埼は嬉しくなってかすかに笑った。どういう訳か体が重く言うことを聞かない。隣では緒方が神埼の頭を何度も撫でている。今日は緒方の好きなハンバーグを作る予定だったのにな。。強烈な睡魔の中でぼんやりと思った。緒方の温かさに安心しているのか、体がとてつもなく怠い。時々、こうして動かなくなる。昨日緒方と話していて、自分の心の中にずっと幸せへの罪悪感と恐怖心があることがわかった。緒方と出会って一緒に過ごして、幸せだと実感すればするほど何枚も重なった幹のように次から次へとそれは現れてくる。限界を外して温かさを受け入れて、しばらくするとまたやって来る。心の中の深層心理というやつだと緒方は言っていた。長い間傷ついてきた心を癒すのはこんなに時間がかかるのだなぁと神埼は思う。表面では罪悪感や恐怖心なんて表れてこないし、普段の生活はとても楽しい。温かくて優しい穏やかな日々だ。大塚や林という友人にも恵まれ宝物のような時間がゆっくりと過ぎていく。それでもふとした瞬間に得たいの知れない不安がやってきて苦しくなる。小さい頃から積み重なってきた悲しみや痛みはすぐには癒えてくれないのだなと思う。時に睡魔として、時に涙として、胸の痛みが表れては癒されて解放されていく。長い時間をかけてゆっくりと温かさを受け入れながら、外へと溢れ出し悲しみが癒されていく。こうやって体が動かなくなるのは一つの心の重荷を下ろしたサインなのかもしれない。心の何かが満たされた時、いつも深い眠りについていた。「緒方。お腹が空いてたらおにぎりあるぜ。持ってこようか?林って本当に器用だよなぁ。。具に鮭が入ってたけど、これがまた、美味しくて」大塚が緒方に話しかける声が聞こえた。もうすぐ昼だし緒方は腹が減っているだろう。神埼は睡魔と戦いながら何か食べてこいと伝えようとした。隣の緒方に顔を向ける。「お願いします。私は神埼くんのそばにいたいです。うふふ。神埼くんの寝顔を見ていたいですから」だよなー。待ってろ。楽しそうな大塚の声がしてドアが閉まった音がした。急に強く抱き締められて緒方の吐息がおでこにかかる。眠い。。きっと大塚がおにぎりを持ってきてくれて緒方は食べるだろう。ほっとしたら睡魔で意識が朦朧としてきた。おやすみ。緒方。神埼はそのまま意識を手放した。「神埼くんはがんばり屋さんですからね。こうしてぐっすりと眠っている姿を見ると、とても安心します。どうか頑張り過ぎないで。。そう言って見守っていたいのですが、言っても聞く人ではないですからねぇ」安心しきったように身を委せあどけない顔で眠っている神埼は可愛い。辛い状況を経験しているからこそ、神埼は緒方の思わぬ所で頑なになる。もうその硬い甲羅のような警戒心を手放してもいいのだと何度叫びそうになったことか。傷ついた心に伝えていたい。温かさを受け入れてもいいのだ、もう悲しい出来事は終わったのだと。「私はずっと伝えていきます。心の傷が癒えて本当の笑顔が神埼くんに戻ってもずっと。。この命がある限り。あなたに、私のありったけの愛を捧げます」捧げるなんて神埼が聞いたら大袈裟だと笑うだろう。声を立てて笑う神埼の無邪気な笑顔が浮かんでくる。神埼自身、もう心の傷はほとんど癒えていると思っているようだが、温かな家庭で育った緒方にはそうは思えなかった。まだまだ奥深い所で傷が疼いている。傷の黒い池のようなものが神埼の心の奥底に根付いている。その黒い液体のようにドロドロとした悲しみを少しずつ引っ張り上げて外へと解き放したい。とても時間がかかるだろうが、地道にゆっくりと神埼のペースに沿ってやっていきたい。家庭環境での悲しみがこんなに心を痛めつけ傷つけるなんて思わなかった。傷の深さに愕然とする。「神埼くん。温かな家庭で育った私があなたのために泣くなんて、失礼なことかもしれません。。私には到底わからない悲しい状況を生きてきたのですから。。でも。。ごめんなさい。私はあなたを想うと涙が溢れてくるんですよ。。欲を言えば。。あなたにはたくさんの愛で包まれていて欲しいんです。。私の家族からも、大塚くんや林くんからも」いろんな愛があることを知ってほしい。この世界は温かなものがあるのだと知ってほしい。そばにいても時々神埼は諦めたような目をする。今は幸せだが、いつかはその幸せがなくなるのだと冷めている。「大切なものや温かなものができてしまったら、失う恐怖も出てきますよね。。信じて失って、傷つくことが恐ろしいことはよくわかりますよ。。一度信頼していた人たちに捨てられたのですから。。でも、あなたには勇気を持って信じることを選んでほしいんです。この世界は温かくて優しい。たとえ温かい幸せを失っても、自分はそのすべてを乗り越えて愛することができるんだと。信じてほしいんです」神埼はぐっすりと眠っている。溢れる涙を拭きながら緒方は神埼の寝顔をいつまでも見守っていた。

皆様、おはようございます(*^^*)いかがお過ごしでしょうか?

昨日そのまま爆睡してしまって。。お花屋さんが書けませんでしたー!オーノー!!今日もとても眠いので投稿できるかわかりませんが、できたらアップしますね(*^^*)

ではでは皆様、これからも素敵な時間をお過ごしくださいね(*^^*)

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