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ダイヤモンドを取り返せ!  作者: 不定音高ふたつ


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9/9

第9話 うらなりのハッピーエンド

タク:水野拓(( )みずの・たく)。男。30歳代前半。東海林商事のアクティブな御曹司で、重役。


メイ:久米郁葉(( )くめ・いくは)。女。20歳代後半。タクの彼女。小柄な手品師で、手品と同様、楽しむことに貪欲。


うらなり:成浦なすび(( )なりうら・なすび)。おっさん。ギャング会社である「エッグ・プラント」の輸入課の課長。ドジ。



第1話[キャンプしてたらダイヤモンドを見つけちゃった]

第2話[東海林商事の笑って死ねる拷問]

第3話[空港で歩きスマホと8の字転倒]

第4話[抱き合って? エッグ・プラントに潜入]

第5話[盗んだ飛行機で孤島に向かったら銃撃を受けた]

第6話[エッグ・プラントの社長の温情はウソ]

第7話[わたくし、素敵なワインが飲みたい気分ですの]

第8話[エッグ・プラントの社長が捕まる]

第9話[うらなりのハッピーエンド]


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▼ 第9話[うらなりのハッピーエンド]


時刻は、もう夕方になっていた。


パーティーが始まり、タクと乾杯したメイが言う。


「長い一日だったねー」


「本当に長い一日だったぞ。キャンプから帰って来て、うらなりと逢って、それから……」


「一日は24時間でしょ。あっ」


メイは気付いた。


「時差だ。日本時間なら、今は何時かな?」


タクは微笑むだけ。


うらなりが、喜びと困惑の表情で近寄る。エッグ・プラントがギャングの会社だとわかり、社長が捕まった。ここで喜んだが、よく考えれば、会社が無くなるのだから、これからは無職だ。住宅ローンも残っている。


「どうしよう……」


「心配はいらないよ、ミスターなすび」


「どういうことだ? はっ、そうか。日本からの飛行機の中で約束した、東海林商事に再就職か?」


タクがニヤリと笑う。


「エッグ・プラントは、これから、東海林商事の傘下に入る」


「あぁー、タクちゃん。やっぱり、そういうことだったんだ」


日本からカクー国に来る飛行機の中で、うらなりに「東海林商事に転職しないか?」と言った時には、エッグ・プラントを傘下にすることが決まっていた。


それは、笑える拷問でエッグ・プラントの名を知った後のオンライン会議で決まったのだろう。タクがスパイ映画のような行動を、嬉々としてやっていた理由は、エッグ・プラントを手に入れるためだったのだ。


メイも満足そうな笑顔で、いたずらっぽく、うらなりを見る。


うらなりは、まだわからない。


「傘下に?」


「エッグ・プラントはギャングの会社だが、上層部の人間を入れ替えれば、合法的な会社に変われる。実際、社長の逮捕を喜ぶ社員ばかりだ。社員の働きぶりの良さは、最初からわかっていた。ホワイト企業になれば、もっと楽しく働けるだろう」


うらなりの驚きの顔に、メイが補足する。


「会社の社員の能力と、持っている資産、取引先など、エッグ・プラントは魅力的ってこと。ギャング関連が無くなることで、これから発展することも期待できるってこと」


「もちろん、会社を大改造するから、大変なことではある。会社名のエッグ・プラントを残すか、社名変更をするかは、今後のことだ」


誰かが、ロビーのピアノで演奏を始めた。ノリの良いロックンロールだ。


近くにいた人が踊り始める。程なくして、踊る人が増えて行く。


「海だー! 山だー! かーわだー! たーまやー! スキーだー!」


メイも踊る、タクも踊る。


「キャンプから始まった、今回の騒動は、メイの手品が効いたな。さすがだ。俺からも礼を言う。ありがとう」


「うん? どういうこと?」


料理の皿を持ったまま、メイが笑顔で小首をかしげる。


「うらなりの胸の赤いバラには、発信機と盗聴器が仕掛けてあったが、結局は出番が無かったな。メイが場数を踏んだ手品師だからこそ、「念のため」ができたんだ」


メイは気恥ずかしい顔で、謙遜を言う。


「念のためが多いってのは、使わなかった種が多いんだけどね」


「それから、手品は種も大切だが、演出の工夫も大切だ」


「ああ、あれね。100の演出と1つの種なら、手品師になれる。1つの演出と100の種なら、インチキ超能力者になれるって……」


タクとメイの会話に割り込むように、うらなりの嬌声が聞こえる。


「タクちゃん、見て。うらなりのおじさま、とっても嬉しそう」


うらなりは、喜びの笑顔と涙で、無残な醜さで踊る。不格好でハチャメチャな踊りだが、ハッピーエンドには違いない。


【終わり】




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