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◤書籍化&コミカライズ配信中!(検索!) ◢極悪令嬢の勘違い救国記 ~奴隷買ったら『氷の王子様』だった……~  作者: 馬路まんじ@サイン受付中~~~~
第四部:学園の聖女扁

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145 出会うヤツだいたい王子か犯罪者、レイテちゃん!



「ふ、ふふふふふ……。やはりレイテ様は面白い。あなたの側に居ると、予想外のことばかりを起こしてくれる」


「面白くないわよ!」



 というわけで臨海学校二日目。

 人間に戻ったハロルドパイセンと共に、わたしは再びビーチに出た。



「聖国の女王になるとか、まるでわたしが聖女みたいじゃないの! どうせなら暗黒王国の王にしろー!」


「そんな王国があるわけないでしょう。それよりも困りましたね」



 困った、というのは、かつて壊滅した海賊団『奈落鮫』の宝と異能具が、二日そこらじゃ見つからなさそうな件についてね。

 ドクター・ラインハートは昨日の内に〝まぁ無理だネ〟と答えを出してたけど。



「いずれあなたが聖国の女王になるにしろ、それまでに経歴を盛っておくと面白い。海運国を助けた過去があれば、国際関係もよくなります」


「面白くないしならなくてもいい!」



 女王なんてなる気ないしぃー! 田舎でおとなしく民衆いびらせろ!



「ああ、ところでレイテ様。あなたの騎士様方は?」



 騎士って。あー、ヴァイスくんにアシュレイにケーネ、それとドクターのことね。



「ドクターはなんかわたしにお風呂入れて貰ってた件で父親に拉致られて、消息不明で」


「か、可哀そうに……ッ!」


「残るメンバーについては、ちょっとわたしが直訴したのよ。『マジで聖女になりたくないから、ちゃんとお宝探して』って」



 本人たちはわたしから離れることを渋ってたけどね。異能具がいつ暴発して、何が起きるかわからない状況だから。

 ま、〝いざというときはハロルドパイセンを盾にするから大丈夫〟と説得したけど。



「浜辺は一応探し回ったからね。けどこれまでに変なモン拾ったって生徒もいないみたいだし、望み薄。そこでみんなには船を手配しにいかせたのよ」


「船ですか?」


「そう。実はここからちょっと離れたところに、孤島があってね。人呼んで『幽霊島』という場所ヨ」



 

 猫撫でてる時に寄ってきた地元のキッズどもに聞いたわ。

 曰く、潮の加減でほとんど沈むこともあるような小島があるとか。

 地元民しか知らない場所で、今日はたぶん上陸できそうらしい。



「なるほど……。その幽霊島に引っかかってるかもしれませんね、海賊の宝や異能具」


「そうなのよ。島には地下に向かうような鍾乳洞があって、もしかしたら満潮時、そこに流れ込んじゃったかもしれないわ」



 と、いうわけで。



「決着を付けましょう、ハロルドパイセン! 幽霊島を探索して、お宝を見つけたらわたしの勝ちよ~~~~!」



 不労所得で無駄遣いしまくって、極悪令嬢の名を世にとどろかせてやるわーーーーー!

 おーーーーーーほっほっほぉーーーーー!!!

 

 と言ったら、

 


「レイテ様の悪のスケールって、しょぼいですよね」

 


 ってうっさいわ!!!



 ◆ ◇ ◆



 その後。ヴァイスくんらがやってきて、「地元の漁師長殿と交渉して、船を出してくれることになったぞ」と伝えてくれた。

 うむごくろう。って、



「船でっっか!?」



 ブォーーーッという駆動音と共に現れたのは、二十メートル近くはあるだろう大型船だった。

 いやいやいや。漁師船にしてはご立派すぎるでしょ。

 でっかい蒸気エンジンまでついてるし、なんぞこれ。



「――おうっ! 嬢ちゃんがレイテ様とやらか! ちっちぇえな!」


「むむ!?」



 驚いているわたしに、船の上から失礼な胴間声が響いた。



「って、なによあんた。これまたデカいやつが出たわね」



 操舵席を見上げれば、そこには身長二メートル以上にもなるだろう、日焼けしたオッサンが立っていた。

 うわぁイカつっ。筋肉バキバキで入れ墨だらけな上半身をおっぴろげてるし。



「おうおう。俺ぁこの船の主のクックってもんだ。このへんを縄張りに漁師長やってんぜ」



 よろしくなーロリっ子! と手を振ってくるクックさんとやら。

 って誰がロリっ子じゃい!!!



「……ちょっとヴァイスくん~~~? なんでこんな失礼なオッサン連れてきたのよ!?」


「す、すまんレイテ嬢。滅ぼすか?」


「いやそこまではしなくていいから!?!?!?」



 日帰り旅行で聖国滅ぼしてきた男が冗談じゃないわよ!



「曰く、例の幽霊島の周囲には渦潮がいくつもあってな。それらを乗り越えられる腕と船を持つ男といえば、このクックしかいないらしい」


「へえ。渦潮が周囲に」



 それは期待感が高まるわね。渦に巻き込まれたモノは、中心部のその島に向かいやすいわけで。



「……わかったけど、わたしをちびロリ呼ばわりは許せないわ! アシュレイにケーネッ、やっておしまい!」


「お嬢様の願いとあらばッ!」「仕方ないなぁもうっ!」



 悪役っぽく出した命令に、怪人よろしく変態眼鏡とちび幼馴染が飛んでいく。

 こいつらはハンガリア領の実力者。変なおっさんの一匹や二匹、簡単にわからせてやれる――と思ったのだけど。



「がははっ! イキがいい兄ちゃんたちだなぁ~~!?」


「「ぐえーーー!?」」



 !?

 オッサンが太い腕を伸ばすや、一瞬で変態眼鏡と幼馴染が締め上げられた!?



「元気な若ぇやつは大歓迎だ! こいつら、石炭補給に使わせてもらうぜぇ?」



 ……なんなのよこいつ。

 ニヤリと笑う日焼け面に、わたしは困惑してしまう。

 ガチで戦う気はないだろうとはいえ、アシュレイとケーネをあっさりと鎮圧するなんて。



「この人はいったい……」


「レ……レイテ様……!」



 と、そこで。ずっと黙っていたハロルド先輩が、無駄にいい顔をわたしの耳元に寄せ、こそこそと囁いてきた。なによなによ?



「フ、フフフ。レイテ様のトラブル体質は、本当に私に驚きの体験ばかりをさせてくれますね……!」


「は、はぁ!? あんた喧嘩売ってんのぉ!?」


「お静かにっ! ……よく聞いてくださいね?」



 と、ハロルド先輩は珍しく、硬い声で前置きし……。



「かつて、あらゆる海洋国家を荒らした最恐の海賊団、『奈落鮫』……」



 ――あの人、そこの船長ですよ……と、彼はわたしに伝えるのだった。


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