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◤書籍化&コミカライズ配信中!(検索!) ◢極悪令嬢の勘違い救国記 ~奴隷買ったら『氷の王子様』だった……~  作者: 馬路まんじ@サイン受付中~~~~
第四部:学園の聖女扁

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138/155

138:勝負! レイテちゃんは悪女か、聖女か!?(※敗色99%!)

挿絵(By みてみん)

おまえらこんなに顔がよかったのか・・・!

新刊ぜひーーー!!!

マンガ含め、Twitterでつぶやきましたら見つけに行きます!(´;ω;`)



 ――季節は夏真っ盛り。

 夏と言えばアレ。

 格式高い『聖アリスフィア学園』も、この時期ばかりは堅苦しさをかなぐり捨てて――、



『海だぁああああ~~~~~~!』



 と、いうわけで。

 このレイテ様を含めた学園生たちは、一学期の終わりに『臨海学校』へと出たのでした!


 わーーー海でっかーーーい。

 砂浜きれ~~~~~~~。

 そしてーーーー、



「――エルザ兄さん……じゃなくてエリィ嬢! 俺と一緒に、泳ごうな!」


「ちょっ、待てよセラフィム。今の自分とおまえは、メイドと王子でだな……!」


「泳ごうな!!!!!!!?!?!?!?!?!?!?!」


「ぴーーっ!?」



 お嬢たすけてーーー! と喚いてくる水着メイド。

 はぁー夏ねー。バカップルがうるさい季節だわー。



「知らないわよエリィ。兄弟なんだから、仲良くよろしくやってなさい」


「兄弟なんだからよろしくやったらダメでしょうがよッ!?」



 そうして会長に抱えられ、「うわーー!?」とか喚きながらどっか拉致されるエリィを見捨て、わたしが砂浜を散策していた――そのとき。



「ふふふ……ご機嫌麗しゅう、レイテ様」


「うわ出たっ!?」



 現れたのは、ラッシュガード姿の好青年・生徒会庶務のハロルドだ。

 この野郎。相変わらずむかつく笑顔してるわねぇ~。



「レイテ様、いよいよ臨海学校が始まりましたねぇ。数週間前の私の宣言、覚えていますか?」



 ……ええ。忘れたくても忘れられないわよ。



「さぁ、勝負の時間です! 『悪女として君臨したいレイテ様』VS『レイテ様には、聖女としてさらに伝説になってもらいたい私』とねぇ!」



 く、く、くそーーー! どうしてこんな厄介なことになったあああ~~~!?



 ◆ ◇ ◆



 数週間前。

 聖国のセラフィム王子が『地獄狼』残党と暴露し、エリィが第一王子だとわかった後のこと――。



「――仲良くしよう、エルザ兄さん……! 昼も夜も!!!!!!」


「夜ってなんだフィムッ!?」



 なんて言い合うセラフィム会長とエリィ。

 仲睦まじいようで何よりだ(※エリィはガチ拒否してるが)。

 これにてハッピーエンド――って空気だけど、



「で、あんたは結局なんなのよ?」


「おぉっと?」



 マイペースに紅茶を入れている男。生徒会庶務で、『地獄狼』残党なハロルド・シンプソンに向き直った。



「わたしの魔眼が効かない変な奴……。あんたはどういう異能で、どんなポジションしてるわけ?」



 見れば見るほど『ありがちな貴族生まれの、品ある好青年』って感じのハロルド。

 学園を歩けば似たような者はちょいちょいいるわね。イケメンの部類ではあるけど地味だ。



「ふふふ。秘密というわけにはいきませんか?」


「いかないわよ馬鹿。そもそも残党な時点で、調査してヴァイスくんに報告しなきゃだし」



 ……ハロルド・シンプソンという男。考えてみれば名前まで地味でありがちね。

 特筆する点があるとすれば、紫っぽい髪くらいか。

 まぁ貴族は異能の原動力『アリスフィア放射光』の影響を受けて髪色もカラフルになるから、さほど珍しくは――、いや。



「……紫系の髪って、わたしのエリィと同じじゃないの。そんなやつがセラフィム会長の遣いをしている点、魔眼で正体がわからない点から……!」


「おおレイテ様っ、気付かれましたか! その洞察力、よほど多くのトラブルに巻き込まれてきたと見える!」


「うるせーーーっ!」



 好きで巻き込まれてきてないわ~!



「さすが、カバン一つ見て未亡人の素性を見抜くとされるレイテ様。ハンガリア領発行の漫画化で知ってます」



 わたし漫画化してんの!?



「ここは素直に、私も正体を明かしましょう――」



 指を鳴らすハロルド。瞬間、ボッと。彼の全身から『モザイク色』の放射光がにじみ出た……!

 その中で、ハロルドの姿が揺らいでいく。



「っ、それは」


「私の異能は『箱の中の蛙(ジャンプスケア)』。見た目はもちろん、観測しえない魂と精神(なかみ)の情報まで、自在に偽装できる力です」


「!?」



 モザイクの中、ハロルドの見た目が老人・女性・子供にと移り変わっていく。

 恐ろしいのは、説明しながら『なんとなくの印象』まで変異していくことだ。



「変身能力……! それも、内面情報まで偽れるですって……!?」



 まさに変身系の最上位だ。

 どんな人間にもなれるし、読心とかそういうのも効かないってことじゃないの。



「厄介すぎるわ。戦闘系よりよっぽど怖いわね」


「そんなことはないですよ。『実在の人物』に変身すると、やはりどこかで違和感が出るんですよね~」



 あんまり他人には興味ないせいですかね――なんて舐めたことを言いながら、ハロルドの姿は好青年の学生に落ち着いた。

 


「立場としては、『地獄狼』からセラフィム王子に遣わされたメッセンジャー兼お手伝い係になります」


「……髪色については?」


「想像通りですよ。〝王子サマはエリィが大好きらしいなぁ? なら愛着もってもらえるようサービスだ♡〟と、ザクス総帥の指令で」


「なるほど。ザクス・ロアが悪趣味なこと含め、色々わかったわ」



 セラフィム会長は王子様。

 そんな立場の人間が、国際的に警戒されてる『地獄狼』と、ほいほい直接やりとりできないもんね。


 それに暗殺も絶えないお国柄だ。おもりをつけてあげたほうがいいと判断したのね。



「エリィは知ってた?」


「知るわけないでしょうがッ! ザ、ザクスの旦那……内緒で弟を『地獄狼』入りさせて変なサービスしてたとかふざけんなっ! あいつクソじゃないです!?」


「あんたはそいつの手下だったでしょうが」


「あ、そうでした……。結構、仲良かったです」



 でしょうね。

 たまにエリィ、殺人鬼(ブルーノ)とか同僚の話してるし、カス職場なりに癒しになってたんでしょうね。



「ふふ、ザクス総帥は強欲な方。裏切らない限りは、部下――所有物は良く扱ってくれますからねぇ」


「語ってんじゃないわよハロルド。――今よ、ジャックくん」


「むっ!?」



 刹那、好青年の首筋にヒタリと、『影の刃』が押し当てられた。

 わたしの弟子(※一回破門にしたけど、なんか泣きついてきて哀れだったから復縁)のジャックくんが、背後に忍び寄っていたのだ。



「これはこれは……ジャックさん、いつのまに」


「レ、レイテ様に目配せで指示をもらってたんですよ。あなたが、〝他人にあまり興味がない〟と言った瞬間に」


「……なるほど。それはやられましたねぇ」



 墓穴晒すから悪いのよ。

 他人に興味がないってことは、小さな所作を見逃しやすいってこと。

 そこを利用しない極悪令嬢(わたし)じゃないわよ。



「セラフィム会長の事情はわかったわ。聖国ぶっ壊し計画なんて好きにやればいいし、てかしなくても、すでに『最低限の望み』は叶えたでしょ? ねぇ会長」


「フッ、ああ。全ては聖女殿のおかげでな」



 ウチのメイドへと親愛の眼差しを送る会長。



「おかげで、兄の心を取り戻すことができた……!」



 いつのまにやらエリィの横に移動してきており、その手を絡めるように取ったのだった。

 うわこっっわ。エリィも「ヒエッ」とか言ってるし、この弟めちゃくちゃヤバくない……!?



「ま、まぁ会長については良し。なんかやらかすとしても、自業自得な聖国の連中と、エリィ以外に害はないし……」


「お嬢!?」


「それよりも!」



 びしっと指を突き付けてやる。

 目的が過激なやつよりも、不透明なやつのほうが怖いのよ。



「ハロルド・シンプソン。なんにでもなれるあなたは、一体なにをするつもり?」



 問いかけるわたし。

 即答は、ない。じっくりと数秒……大聖堂に沈黙が流れ、そして。



「……ふむ。私自身の目的なんて、正直言うとないんですよね」



 な、なんですって?



「レイテ様がおっしゃったように、たしかに私はなんにでもなれます。ですが――」



 再び、ハロルドの姿がぶれる。

 今度は人間どころか、猿や像や虎にまで。もはや変身範囲が異常だ。



「――なんにでもなれるがゆえに、叶えたいことがないんですよ。人間の夢って、わりと身体ひとつで叶っちゃいません?」



 それは……そうかもしれない。

 たとえばモデルなどだ。当然、所作の美しさも問われるが、そもそも美貌が圧倒的ならそれだけでデビューくらいは叶う。

 声や雰囲気まで変えられるなら、芸能系の仕事には大概なれるだろう。筋肉量まで増やせるならばスポーツ選手にもなれる。

 なるほど万能だ。夢なんて言葉が、ハロルドの前では安っぽくなってしまう。



「……冷めているわね。人生あまり楽しくない感じ?」


「ええ、熱くなれるのは漫画を読んでる時くらいです。そういう点では、ザクス総帥やレイテ様も対象なんですよねぇ。十把一絡げな他者と違って、現実離れた英傑の活躍は見てて楽しい」


「あぁそう」



 それがこいつが『地獄狼』にいた理由か。

 納得したわ。なにせ、なにかあっても他人になれば逃げられるしね。

 その万能ぶりからすれば、大犯罪組織に入るのも、大した覚悟もいらないわけだ。



「よくわかったわよ……あんたのことは」



 本当に、嫌というほどわかった。

 要はコイツ――世の中というものを舐めているのだ。

 なにせ万能なのだから。自分に不可能はないのだから。



「ああ、それなら――!」



 わたしは決めた! 極悪令嬢の矜持にかけてッ!



「勝負よ、ハロルド!」


「えっ、はっ?」


「わたしは『世界一の極悪令嬢』になりたいの! 誰もが聞いたら『ぴっ~!』って鳴いちゃう、恐怖の代名詞になりたいの!」


「えっ、えっ、えっ?」



 さぁハロルド。あんたが万能だというのなら――!



「このわたしを、『世界一の聖女』にしてみなさい!!! わたしの極悪パワーとあんたの万能パワーで、綱引きをするのよぉおおお~~~!」



 うおおおおおっ、この舐めた野郎に現実の厳しさを教えてやるーーー!

 わたしの怖さを心に刻み込んでくれるわぁあああ~~~!



「で、この勝負、受けるの!? 受けないの!?」


「え、えーーーとぉ……」



 おらおらどうしたぁ!? 臆したかぁああ~~!?

 わたしの極悪パワーの勝ちか~~~!?



「……明かした通り、私はとても万能です。私の能力を知って、勝負を挑んできた人間は……これまでいなかった……。まずそこに驚いてますが」



 ますが?



「そもそもレイテ様――もうかなり有名な聖女ですよね? あなたに勝ち目ってないのでは?」


「ガーーーーンッ!?」




 こ、こ、この舐めプ野郎が言いやがったなぁああああ~~~~!?






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― 新着の感想 ―
超絶美女の体になっているとはいえ、お兄ちゃんをいかがわしい感じで見ることができるのは……こう、なんというか、認知の歪みを感じてとてもえっちです。
本人の認識と現実の解離って、現実でもあるあるだから… かえって本人に聖女としての自分を認めさせる方が不可能な気がする。
始める前から負けてますよねレイテ様……w
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