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五.暴走車

 死んだ人間より生きている人間の方がよっぽど怖い。生霊の話をするとよく言われる事である。

 アクセルとブレーキを踏み間違えてしまった――後になって報道メディアは世界に向けてそう発信した。だが詳細まで踏み込めたのはほんのひと握りである。A病院でも起こった事は、明らかに常識から逸脱していた。午前八時〇分、金曜日。

 白い車は暴走して、正面玄関から突っ込んでいった。途中に机や椅子、台、花瓶、額、診察機など、人以外に破壊を続けて暴走は止まらず、奥の診察室に入って壁際の体重計に乗りかかった形になってやっと止まった。

 室内では医者が患者を診ている所であった。内科である。何かないか。

 一瞬の事でただ茫然とするしかない医者と咄嗟に無事避けられた患者であったが、止まった車の中からフラリと覚束ない足で出てきたのは初老の男性であった。「薬をもらいに……」

 後の事情聴取で彼は病院が混むので早く来ようと家を出た、と言っていた。

 新聞や雑誌には死傷者ゼロを「奇跡」と掲げていた。

 了。



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