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三.待合室のテレビ
朝と昼、夕方までA病院の一階玄関付近は、会計などで人は椅子に腰かけるなどして呼ばれるのを待っている。時折、看護師が忙しそうに早歩きで通過する。待合室とも呼ばれた空間にはテレビがあり、大概は点いていて待つ人はそれを視聴していた。日曜と土曜の午後が休みで夜の消灯は八時、入院患者は寝静まっていき、廊下の非常灯だけが明かりで用があれば看護師や警備員達が懐中電灯を持って出歩く。
皆がよく口にする体験談で、待合室のテレビが勝手に点くのだという。
リモコンでしか操作できないが、リモコンはテレビ台の下にある。そもそも、その場には誰もいない。照明の点いていない無人の空間で、それは突如として起こる。テレビは決まって一つのCMを流した。
袋に入った棒のお菓子で、新発売であった。
続く。