48.聖夜 4
色々と煮詰まったような状態だった私達は、たくさんたくさん言葉を交わし、ひとつ、ひとつ絡まりをほどいていった。
ギルベルト様は、少年のようによく笑っていた。
ここがスタート地点。
マイナスだったわたしの立ち位置は、ギルベルト様が引っ張って、ここまで連れてきてくれた。
彼のバトンは受け取った。ここから先に進むか否か、そしてゴールに向かえるのか、今の私にはわからないけれど。
「とりあえず、待つには待つけど、飢えちゃうからご褒美はもらうからね」
ギルベルト様は、私のうなじを軽く噛む。
「噛まないでって言ったのに!」
「クリスティーナが悪いんだよ」
首からゆっくり胸の辺りを慈しむように舐められ、服の上から触れられ、何度も、何度も吸うように体中にキスを落とす。
「クリスティーナのバカ」
ちゅっ、ちゅっ、とリップ音が響く。
「クリスティーナの鈍感」
「うー······」
鈍感と言われて言い返せないし、さっきからずっと羞恥心で目が開けられない。
「そんな格好して。誘ってるでしょ」
そんな格好の服を選んだのはギルベルト様なのに。
開いた背中も、デコルテも、くまなく唇が触れてきて、あとからあとから降るキスの雨に、私の吐息が甘くなる。
「ずっと好きだと言っていたのに」
「······っ!」
我慢できずに仰け反って、背中に触れた唇が熱くて、涙が瞳に溜まる。
「好きなんだ」
スリットからあらわになった私の太股をギルベルト様の大きな手が繰り返し撫でてきて、堪らずまた声を漏らした。
「好き、大好き」
「もう、勘弁してください······っ······ひっ!」
耳朶をピチャリと舐められる。
「ほんと、堪らないよ、クリスティーナ」
「······っ」
「早く俺に恋してよ。もっともっと感じさせてあげるから」
しばらくの間、私達はお互いの熱だけを感じてその場から動かなかった。
窓の外には、ただ静かに雪が積もっていった。




