048 ロイド公爵の帰還
【コスカ海軍基地 合同司令部 海軍長官執務室】
ロアは、関連企業の担当者達と話をしていた。
「この座標に第102戦隊が敵艦の残骸を集積している。 撃破した56000隻の内、大きい方から3万隻程度を集めるように指示をしてあるので、戦艦と巡洋艦が集まっているだろう。
これらの敵艦は全て高性能タイプのBシリーズで、コア部分以外の損傷はほとんど無い状態だ。 諸君には作業船を出してもらって、この現場で改修作業をしてもらいたい。」
「それは・・・ やれと言われればやりますが、工場に運んだ方が良いのでは?」
「確かに本格的な改修をするならその方がいいが、今回実施する作業は簡単な物だ。 まず、戦艦1隻と巡洋艦2隻を艦底部分が中心に来るように円状に接続し、更にその3隻を纏めた物を前後に50個繋げる。
次にその150隻を纏めた物の外側にハリボテの軽量板を貼り付け形を整える。 従来の改修みたいに船体の装甲版を全て作り直すような事はしないので簡単に済むはずだ。 破壊されているコア部分についても、修理せずに損傷部分の接続を切り離すだけにする。」
「確かにそれなら・・・」 ロアの説明に企業の担当者達も納得する。
最終的に業者とは、150隻を繋げる作業×200を行う契約をおこない、完成品はその場で同行する海軍に引き渡す事で話が纏まった。
ロアは企業の担当者が帰った後、幕僚長を呼び出し人選は任せるので、試作補給艦で誰かを業者に同行させ改修工事の監督と完成検査するよう命じた。
【コスカ海軍基地 合同司令部 大講堂】
業者達も出発して数日した頃、ロイド公爵が艦隊を引き連れて地球に帰還した。
そこで、ロア海軍長官主催で感謝パーティーが行われる事になった。 参加者は救援に駆けつけたロイド公爵とリラ、王国宇宙軍の艦隊司令4名と随員。 増援艦隊の手配に関わったアリスティア王女と宰相に王国軍統合本部長、そしてお忍びの国王陛下・・・ 表向きは、ただのパーティーであった。
会場の一画に、国王陛下とアリスティア王女、宰相に統合本部長、ロイド公爵とロアの6名が集まり話合いをしていた。 暗黙の了解でそこには誰も近づかない・・・
陛下が、「ロイドに確認するのが最後になってしまったが・・・ アリスとロアを正式に婚約させたいと考えておるのだ。
三神公爵家との表向きの関係改善にも丁度良いと思うのだが、了承してもらえぬか?」
「・・・」 ロイド公爵が考え込む。
「問題があるのか?」 皆が見守る中、陛下が訊ねると、「アリスティア王女と、うちのロアの婚約に反対する気は無いのですが・・・ 」
「「「?」」」
「どうやら陛下達は気が付いてないようですな・・・ うちのリラとメイレリア王女が恋仲の様なのですが・・・」
「えっ、メイお姉さまが?」 思わずアリスティア王女が声を出す。
「それは本当か? 確かに仲が良いとは思っていたが・・・ メイの方が年上だぞ・・・」陛下が疑問を口に出す。
ロイド公爵が、「どうもうちのエリナが上手く周りを誤魔化しているようです。 逆に私はそれで2人の仲に気が付けたのですが・・・ 」
「そうか・・・ 公爵夫人が絡んでいるなら間違いなさそうだが・・・ 少々問題だな、王家と三神家で2組も婚約となれば権力バランスが傾きすぎる。 どうするか・・・ 」
陛下や宰相が考え込む中、ロアが「悩むよりもまず、メイレリア王女とリラに本当の所を確認するのが良いのでは? もしかしたら杞憂かも知れませんし・・・」
「 ・・・確かにそうだな。 この話の続きは2人に確認をとってからにしようかの・・・」
「リラだけならこの会場に居ますから、呼んできましょうか?」 ロアが言うが、陛下が「いや、2人が揃ている時に聞くこととする。 その方が口も軽くなろう。」 という事で先送りになった。
「さて、話は替わるが・・・ ロアよ、今回行われた王国宇宙軍と敵艦隊との戦況報告は読んだか?」
陛下に問われ「はい、作戦は失敗ですね。 しかし、どうしてその様な事に?」
陛下に目配せされ、統合本部長が、「では、私から説明をさせていただきます。 公式には、一部の艦隊が退き際を見誤り予定以上に敵艦を撃沈してしまい、敵艦隊を撤退に追いやってしまった事になっていますが、実際には腹田侯爵と黒田侯爵の息のかかった艦隊が故意に敵艦を必要以上に撃沈したと思われます。
腹田侯爵と黒田侯爵は、自身の資産を守るため宇宙軍の撤退作戦に以前から反対しておりました。
また、宇宙軍の方も最近の戦闘が有利に戦えていたため、一部の者が敵の脅威を軽視しており、撤退作戦などしなくても勝てると楽観視する者が出始めており、両者が手を組んだと思われます。」
「成程、先を見通す事も出来ない愚か者が居るようですね・・・ しかし、このままでは反攻作戦用の戦力をいたずらに消耗する事になってしまう。 既に当初の計画遂行は無理かも知れませんね。」 ロアが考えながら言うと陛下が、「次の敵戦力は60000から65000隻にもなるはず、王国軍だけでなく諸侯軍にも参戦させようかの?」
すかさず統合本部長が「では腹田、黒田両侯爵軍と反抗的な艦隊を前面に押し出す陣形でも考えますか・・・ 」
取り敢えずは、反抗的な連中の力を削ぐ方向に話が進むが、それ以外については何も決まらないまま時間だけが過ぎてゆく
結局その日は話がまとまらず、後日話合いをするという事で解散となった。




