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白夜国 白滝1





 日付が変わり、第一陣の撃破と街の確保に成功したとの知らせを会議中に受けたが、そのまま会議を続行する。


「第一陣を退け、白滝の街、白音を確保したららしい」

「それは朗報なの」

「にゃあ」

「なら、修理する為に準備をした方がいいでやがります。

 修理をするにも街に近かった方が便利でやがりますし」


 確かにそうなんだけど、現状はそうはいかないんだよね。


「それは危険だな。

 最優先すべきは監視を防ぐ事。

 今も千里眼か何かで監視されていると見ていい。

 少なくとも都市内部に関しては俺の力で防いでいるが、アルカディアの所在地はばれていると思っていい」

「それなら心当たりがあるなの」

「にゃあ。

 白滝を含めて白夜には守護結界を展開する設備が各街に備えられている」

「それを起動できれば千里眼は防げるなの」

「そういう事なら先ずはそれの起動か。

 起動方法は?」


 視線を防いでしまえば何処かに隠して修理するのがいい。

 第一陣と言ったように、第二陣、第三陣と続々と破壊の為にやって来るだろう。

 こちらの戦力からしたら攻めるだけならどうにかるだろうが、防衛するとしたら話は別だ。

 例え、一国が剣も魔法も聞きにくい鎧を着た部隊を持ち、国土を連戦連勝で広げたとする。

 国土が増えるという事はそれだけ防衛する場所が広がるという事。

 数に限りがあると如何に強力な精鋭部隊だろうと複数に絶え間なく攻められ、人体の弱点である関節部から攻撃されれば討ち取られて次第に劣勢に追い詰められる。

 俺達も少数精鋭で短期決戦なら国軍とだって十分に渡り合える。

 しかし、それが相手にイニシアチブを握られた防衛戦ともなれば国力、もっと言いかえればマンパワーが関わってくる。

 局地的に見れば防衛側の方が有利だが、それは増援や支援がある前提での話だ。

 包囲して戦わずに勝つ事などがいい例だ。

 色々と脱線したが、視界を封じてさっさとアルカディアを直して脱出手段と切り札を得るのがいいだろう。

 その為にも守護結界とやらは必要だ。


「起動方法は白滝を中心に東西南北に鳥居を設置し、力を循環させるだけ」

「神様である主様が居ればより強固にできるの」

「鳥居とやらは設置しねえと駄目なのでやがりますか?」

「壊されたから仕方ない」


 獅子族からしたら邪魔になるだけか。


「なら、ベアトリーチェの工兵部隊(研究部)の方から現地に何人か送って、作ってくれ」

「了解でやがります。詳しいデータを寄越しやがれです」

「わかった」

「それじゃあ、そっちは任せる。

 リン、そっちの準備は?」


 アルカディアに設置された通信機を使ってドラグーン、ドラゴンライダーを集めているリンに連絡をする。

 彼女達だけで部隊名を付けるといいかも知れない。

 親衛隊とか近衛隊とか。


『問題無いよ。

 ドラグーン、ドラゴンライダー合わせて87人。

 何時でもいける』

『『その通り~!』』


 元気な声が帰って来る。

 彼女達は猫族や妖狐族と一部を除いたメンバーで、言ってしまえば俺の愛人や妾達で構成されたハーレム部隊。

 聖人や聖女とまでいかなくても身体を重ねている分、他の者達よりも加護もスキルも圧倒的に強い。

 そもそもが、全員が竜殺しのドラゴンスレイヤーというとんでも部隊だしな。


「あっちも準備が出来たみたいだから守備を任せる」

「了解でやがります」

「いってらっしゃいなの」

「むぅ、ついて行きたいけど、我慢する」

「そうしてくれ。

 それと人手を増やす方法を考えておいてくれ」

「それならいくつか既に考えてあるので問題無いでやがりますよ」

「何?

 軽く聞こうか」


 聞くと少し後悔した。

 ベアトリーチェが言った方法は生命の冒涜、生命倫理に違反する事だ。

 中には神の摂理に逆らうという者まで確実にいるだろう。

 ベアトリーチェの提案をまとめるとこんな感じだ。


 1.ホムンクルスという名のクローン生命体を作成する。

 2.産めよ増やせよで産まれてくる子を錬金術の秘術で急速成長させ、知識は学習装置で無理矢理植え付ける。

 3.獅子族を捕らえて奴隷にする。

 4.何処かから持ってくる。


 3がある意味現実的なんだろうけれど、獣人族と八咫烏の子達が激しい反発を行うのは分かりきっているので却下。

 彼女達の心情的に根絶やしにしたいみたいだし。

 1.は難しいし、クローンとかは気分的に嫌だ。

 僕達は唯一無二の存在だ。

 2.子供達に負担が大きすぎる。

 そうなると、4.の何処かから持ってくるになる訳だけれど、この何処かというのは異世界の事だ。

 つまり、ウエポンクリエイト・アナザーワールドで異世界の兵器、幻想兵器を呼び出してしまえという事だ。

 具体例をあげると自立稼働する殲滅兵器などだな。

 液体金属人間とか、アンドロイドとか、機械仕掛けの人造神とか、ヒューマノイドとか、戦略兵器満載のメイドロボットとかだ。

 なんにしても自己進化や武器製造などが欲しいから、反乱が起きないように眷属にした方が安全だろう。


「とりあえず、保留だ。

 先ずは邪魔者にご退場願おう」

「了解でやがります」


 ブリッジを出て甲板へと向かう。


 甲板の少し離れた場所には総勢87人の少女達と多数の巨大なドラゴン達が整列している。

 彼女達の下へと向かう途中で、和服姿のリンが合流して報告してくる。


「第二陣の場所は?」

「直線距離で18.68キロ南東にて布陣中との事。

 現在は一部が就寝中で、食事にお酒も出されたみたい。

 まだお酒を飲んでいるのもいるし、警戒もろくにしていない

 まともなのは一部だけだよ」

「舐められたものだな。

 連中にはその代価を支払わせねばならない」


 歩きながらコートを着てグローブを嵌める。

 これから飛ぶのだから防寒対策だ。

 あまり必要は無いが、一応な。

 皆の前に到着した俺は直ぐに全員に通達する。


「これより、直線距離で18.68キロ南東に存在する敵陣へ奇襲攻撃を仕掛ける。

 ドラゴンライダーはドラグーン達を乗せて現場へと向かう」

「敵に発見されないよう、最初の高度は4000メートルで移動するからね」

「「了解!」」

「では、殲滅しに行くぞ」


 皆が俺の声に従ってドラゴンに乗って次々と飛び立っていく。

 俺もリンが用意したドラゴンに乗って順番を待つ。

 管制室からアナウンスが流れてくる。

 今回は高度4000メートルなので電磁カタパルトを使用する。

 実際は違うが、似たようなものだ。


『リンちゃん、ご主人様、誘導します』


 リフィアの声が聞こえて来て誘導してくれる。

 その誘導に従って何機かある電磁カタパルトへと乗る。


「準備完了だよ」

「こちらも大丈夫だ」


 手綱を握るリンをしっかりと抱きしめ、落下防止用のベルトがしっかりと装着されているのを確認してそう伝える。


『分かりました。

 それでは怪我をせずにちゃんと戻って来てくださいね。

 いってらっしゃいませ』

「リン・パラディオン、行く!」

「レン・パラディオン、出る!」


 教え込んだネタを入れつつ、遊んでいると動き出した。

 直ぐに発射されて急激にGが掛かってくる。

 斜めになったレールの上を走り、直ぐに空高くへと打ち出される。

 ドラゴンは閉じていた翼を大きく広げて力強く羽ばたいて更に上昇する。

 直ぐに斜め上で旋回する子達と合流して全員の到着を待つ。


『こちら、27番。

 最後です』


 通信機から聞こえてきた声を確認して直ぐに行動に移る。


「よし、それでは戦場に向かう。

 気を引き締めろよ」

『『了解ヤー!』』


 滑空で移動をしながら少しずつ高度を下げて進んでいく。

 斜め下に向かって行くほうが負担が少なく、小さな労力で距離を稼げるからだ。

 電磁カタパルトで負担を敷いてもドラゴンは装備している魔導具のお陰で進んでいる間に回復してしまう。

 それに障壁で軽減はしているので殆どドラゴンには負担がないというのも大きい。





「お兄ちゃん、目的地に着くよ」

「アレか」


 高度600メートル。

 下を見れば遥か小さな光が真っ暗闇の中、見える。

 俺達は暗視があるから見えるが、連中には見えないだろう。


「ドラグーン部隊、降下して500メートルの位置で包囲。

 降下開始」

『『了解ヤー!』』


 ベルトを外して月明かり程度しかない真っ暗な世界へと飛び込んでいく彼女達。

 彼女達は落下の途中で魔力で形成された翼を広げて、各自の配置へと散っていく。


「それで、ここからはどうするの?」

「ナパーム弾を投下する。

 レベルアップをしないといけないからな」


 幻想兵器を手に入れるにはかなりの経験値が必要だ。

 その経験値が自ら来てくれるのだからありがたい限りかも知れないな。

 おっと、それはこちらが舐めすぎか。


「さて、ウエポンクリエイト・アナザーワールド」


 作り出すのは某国の空軍によって開発された、航空機投下用のナパーム弾。

 これは粘着性が低く、効果的に拡散するように作られた特殊焼夷弾用燃焼剤でて10分前後も燃え続ける代物だ。

 広範囲を900度から1300度という高温で焼き尽くす事から残酷で非人道的との批判が起き、公式に廃棄処分されている。

 もちろん、この世界では関係ないし、何よりもっとえげつないのが多数存在する。


「適当に落とすか。

 範囲には絶対に入るなよ。

 一応、防御用の結界を展開しておけ」

『『了解ヤー!』』


 地上に配置した子達が準備を完了したとの返事を待ってから投下する。

 投下されたナパーム弾は録に警戒もしていない敵陣へと着弾し、地上に花火を咲かせる。


「綺麗だね!」

「うん。

 特にあいつらのだと思うとね」

「ふふふふ」


 子供達も楽しそうに笑いながら見ている。

 獅子族はこの子達にとっても親の敵だ。

 目の前で食い殺された子達だっている。

 そんな子達にとって、この光景は待ちに待った光景でもあるだろう。

 この子達が人族と獣人族で問題も無くまとまっているのは獅子族という憎き滅ぼす敵がいるからだ。

 不破を招かない為にも獅子族には犠牲になってもらう。


「魂喰らい(ソウル・イーター)。

 存分に喰らえ」


 アテナが所持する大地と冥界を支配する地母神のうち、冥界を象徴する死神の大鎌を呼び出して死者の魂を喰らって糧とする。

 得られた糧は大地へと還元し、土地を活性化させる為の礎となって貰おう。

 今まで好き勝手にしてきたのだから、それぐらいはさせて頂こうか。


「逃げてくる者達は一人も逃がしたら駄目。

 殺っちゃえ」

『『了解ヤー!!』』


 下を強化した視界で見れば、ドラグーンの子達が両手に一つずつ素手でトリガーを引けるように改造されたアヴェンジャーを持ちながら飛びながら敵陣へと向かって銃弾をばら撒きだした。

 飛んでいるのフレンドリィファイアを避ける為に斜め下へと向かって撃つ為だ。


「ドラゴンライダー隊も、殲滅行動を開始する。

 絶対に高度を間違ったら駄目だから。

 フレンドリィファイアは駄目、絶対!」

「気をつけていっといで」


 360度から放たれるアヴェンジャーの銃撃に加えて上空からのブレス攻撃。

 ナパーム弾を耐えている敵でもこれで確実に終わるだろう。

 ナパーム弾の時点で終わっていそうだが、この世界には魔法などがあるから高温を防ぐなど簡単にできてしまうから、注意が必要だ。


「リンも行っておいで。

 俺は大丈夫だから」

「うん」


 八咫烏を呼び寄せ、融合して機械の翼を展開する。

 ドラゴンから離れて空中で大鎌を観察する。

 周りには地上から上がってくる青白い魂達が吸い寄せられている。

 地上の敵は皆に任せ、俺は俺にしか出来ない事を行うとしようか。

 先ずは導くべき今までに死んでいった者達と報いを受けさせる者達とで別けるとしよう。






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