1/6
あらすじ
二十八歳、久世透。
剣術経験なし。
魔法の知識なし。
料理人でも医者でも発明家でもない。
そんな平凡な会社員だった透が、突然放り込まれた異世界で手に入れた能力は――《検索》。
頭の中で知りたいことを問いかければ、答えが返ってくる。
ただ、それだけ。
身体能力は上がらない。
炎も出せない。
魔物一匹倒せない。
この世界の神官からさえ「何に使うのか分からない」と首を傾げられた、前代未聞のハズレスキルだった。
だが透は気づく。
「俺自身が知らなくてもいい。必要なときに、答えだけ分かればいいんじゃないか?」
価値を見落とされた鉱石。
忘れられた薬草の使い方。
これから値上がりする商品。
誰も知らない製法。
失われた技術。
そして、金貨を積んでも欲しがる者がいる秘密。
物を作れなくてもいい。
戦えなくてもいい。
――答えそのものを、売ればいい。
わずかな銅貨から始まった透の商売は、やがて一つの市場を、一つの都市を、そして王国さえ動かす巨大な富へと変わっていく。
これは、何も持たない男が「知ること」だけを武器に、世界一の商人へ成り上がる物語。
ただし。
透はまだ知らない。
自分の目の前に現れる《検索結果》が――
いったい、どこからやって来ているのかを。




