第13話〜凄惨
第13話をお届けします。お読みになっていただけましたら幸せです。ちょっと難しい人間 関係 やっております。さて これからどのような展開を見せるんでしょうか?ご期待ください。
回想:銀座の夜、背伸びしたカウンター
「インター、お前のその頑なな執念は、一体どこで磨かれた?」
黒塗りの車中、傷口を雑に縛った銀が、ふと過去を呼び手繰るように呟いた。
燈の脳裏に、まだ何者でもなかった数年前の、銀座の路地裏がよみがえる。
当時、組織の末端で燻っていた燈は、とある任務の報酬として、銀座の最高級寿司店「鮨 十」の暖簾をくぐった。目的は食ではない。そこに客として現れる、国際刑事警察機構の若きエリートの懐に飛び込むためだった。
職人が握る完璧な一貫が白木の前に置かれる。
隣に座るその男――のちに燈が「インター」と呼ぶことになる宿敵は、若造の燈をただの迷い客と侮ることもなく、静かに酒杯を傾けていた。
「美しいものには、必ず緻密な計算と、それを形にする狂気が潜んでいる」
男は寿司を口に運び、淡々と言った。その眼光は、ただの美食家のものではなく、犯罪の裏に潜む「表現者」を追いつめる執念に満ちていた。燈はその瞬間、ゾクりとするほどの歓喜を覚えた。
(この男なら、私の描く凄惨なシンフォニーの、最高の観客になり得る)
燈が「主役」としての覚悟を決め、独自の美学に狂い始めたのは、あの銀座の夜、インターの放つ冷徹な正義の光に当てられてからのことだ。
「……ただの、懐かしい食事の話さ」
燈はバックミラーから視線を外し、冷たく微笑んだ。あの男との決着の舞台は、もうすぐ幕が上がる
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