元公爵令嬢、来たる
叔父様が来た翌日、馬車に乗ってセフィ様がやって来た。
「は、はじめまして……、セフィ・コーディアルと申します……」
「ようこそ、ハーズベル男爵領へ、私は当主のライジス、こちらは妻のフリーネ、娘のメリーナだ」
セフィ様は流石は公爵令嬢、ウェーブのかかった金髪で美人である。
茶髪ショートの私とはえらい違いだ。
ただ、表情は暗い感じがする。
セフィ様の部屋は私の部屋の隣を使用してもらう事になり荷物を持って案内した。
「この部屋がセフィ様の部屋だよ」
「……ここが私の部屋」
「もしかして、不満?」
「い、いいえ! 前の家では屋根裏にいたので……」
はい?
公爵家だよね?
公爵令嬢が屋根裏部屋、てあり?
セフィ様がポツポツと言うには公爵家ではセフィ様は娘として扱われていなかったらしい。
使用人と同じ扱いを受けメイドも付けられず、食事抜きは当たり前、躾と言う名の暴力を受けていたらしい。
セフィ様には一つ下に妹がいるらしいんだけど公爵家は妹中心らしくて家族や周囲の人々の溺愛は妹に全て注がれているらしい。
「それってなんかおかしくない? 普通は親って分け隔て無く子供に愛情を注ぐものじゃないかな?」
「そうなんでしょうか? でも我が家が歪だったのは確かだったかもしれません……」
「ところでセフィ様の守護獣はなんだったの?」
「……『クモ』です」
「クモって虫の?」
「はい……、『公爵家に相応しくない!』て言われて教会に置いていかれて……」
「いやいやっ!? クモって凄いよっ!!」
「え……」
「クモはね『家の守り神』と呼ばれてるんだよっ! 他の害虫を食べてくれるんだよ!」
「そうなんですか?」
「そう! だからセフィ様はもっと自信を持ってもいいんだよっ!」
別に励まそうとしている訳じゃない。
本に書いてあるからそう言っただけ。
それでもセフィ様にとっては救いになったんだろうか。
私達は初日から仲良くなった。




