男爵家の晩餐
その日の夜、我が家に並んだのは私達にとってはご馳走だ。
「今日はメリーナちゃんのお祝いの日だから腕によりをかけちゃったわ♪」
「おぉっ! シチューに肉が沢山入ってるじゃないか! パンも焼きたてでホカホカだし」
お父様は感動で泣きそうな顔をしている。
シチューにサラダにパンという傍から見れば『どこがご馳走なんだ?』と思う人もいるだろう。
普段はシチューは野菜中心だしパンは保存して固くなってるし、変わらないのはサラダぐらいで。
だから私達にとってはこれは『ご馳走』なのだ。
「それにしても守護獣がモグラとはねぇ……、神様も我が家の事を見てくださっているのね」
母、フリーネ・ハーズベルが言った。
「お母様はもっと令嬢らしい物が良かった、とは思わないんですか?」
「思わないわよ、なんであろうとその人に必要だから守護獣になったんだから、それで子供を否定するなんて親として失格よ」
「そういえば噂で聞いたんだがネズリー公爵家の令嬢のカセフィーヌ様、守護獣が理由で勘当されたらしい」
「えぇ〜……」
「上位貴族はプライドが高いからなぁ、カセフィーヌ様についた守護獣がどうも公爵家には合わなかったらしい」
「ネズリー公爵家て確か王子様と婚約の話が出ていたわね」
「うん、カセフィーヌ様は王子の婚約者だったがその話も無かった事になったらしい、可哀想だな」
「守護獣で評価するのはどうかと思うわね、守護獣が理由で捨てるなんて賜った物じゃないわ」
両親はそう言って憤っていた。
(こんな価値観を持っているのは貴族の中では少ないだろうなぁ)
両親はどちらかと言うと平民よりの思考を持っている、だから自ら働く事に抵抗が無い。
私は2人の元に生まれて幸せだと思う。




