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第三十三話(後編):迷宮で双子と命がけのおにごっこをさせられた件

ここまで読んでいただきありがとうございます!


迷宮編、ついに動き始めました。

今回は白雪の「逆鱗」と、おじいちゃんとの記憶、そして半覚醒の感覚を書いてみました。


そして最後のカウントダウン。

書いている作者自身も「間に合え…!」と思いながら書いていました。


ここから迷宮の試験はさらに進んでいきます。

白雪の剣、桃太郎の数理魔法、双子の試験官……いろいろ伏線も動き出します。


もし少しでも

「続きが気になる」

「面白い」

と思っていただけたら、


ブックマークと下の☆☆☆☆☆評価(★★★★★にしてもらえると作者が泣いて喜びます)を押していただけると嬉しいです!


一つ一つの応援が、本当に執筆の励みになります!

青年の唇から漏れた蔑みが、白雪の心奥に眠る「逆鱗」を真っ向から踏み抜いた。


「おじいちゃんのやり方、ちょっと変だったんじゃないか? お前に戦わせて、育て方が悪かったんだな――」


白雪の体が硬直する。血の気が逆流し、胸の奥で何かが燃え上がる。


(やめろ!やめるんだ! おじいちゃんを馬鹿にするな……!)


怒りが全身に波のように押し寄せる。風の流れ、岩の揺れ、魔法の光まで微かに歪む感覚。白雪の目に、七歳のあの日、森で魔物と対峙した瞬間の光景がフラッシュバックする。


――五歳の冬。雪の浅い森。おじいちゃんの短い声。


「足音を消すんだ、白雪」


――七歳の節目の日。森の奥。剣が魔物の爪を受け止めた。地面が光り、体の奥で何かが“弾けた”。半覚醒の始まり。


そして、今――怒りと記憶が重なり、白雪の体が自然に動く。

岩を蹴り、跳躍。青年の背後に回り込むその動きは、半覚醒の時を思わせる精密さで、まるで空間を読むかのようだ。


「……クソ、やめろ……! おじいちゃんを侮辱するな!」


その瞬間、白雪 of 剣に微かな光が滲む。体が覚えていた動きの記憶が、理性を越えて瞬時に発動する。


桃太郎はすぐに状況を理解し、指示を出す。


「カリン、右の岩へ! セレナ、浮遊パターン解析を回せ! 俺は白雪と男を抑える!」


カリンは杖から光を強め、セレナも冷静に杖を構える。浮遊する岩の間で、二人の双子に向けて攻撃の準備が整う。


白雪は青年の背後に回り込む。剣を構え一瞬静止するその視線は、もはや獲物を逃さない捕食者のそれだ。


「……行くのだ!」


桃太郎と白雪の連携が始まった。


白雪は剣に魔法を垂らし込み、半覚醒の感覚で青年の動きを正確に読み取る。桃太郎は解析と指示で補助し、二人は見事に男の逃げ道を封じる。


青年は一瞬驚き、くすくす笑いながらも体勢を崩す。


「ふふ……なるほど、コレが半覚醒か……面白くなってきたな」


だが、岩の群れに翻弄される青年の動きは、すでに桃太郎と白雪の連携の前に制御されていた。


――捕獲開始。


白雪の瞳の中で、何かが弾けた。


「…絶対に侮らせない……!」


感情が爆発し、その叫びに呼応するように、彼女の持つ剣に青白い魔力の光が激しく滲み出す。理屈ではない、**「剣に魔法を垂らし込める」**感覚。


「白雪、行け! お前の先読みを俺が数式で補完する!」


桃太郎がアルカナ数理魔法を展開し、最短の接敵座標を指し示す。二人の完璧な連携が、逃げ回る男を逃げ場のない角へと追い詰めた。


「捕まえたのだ……!!」


白雪の光り輝く剣先が、男の喉元を正確に捉える。

だが。


20


突然、真っ白な迷宮の壁に、血のように赤い巨大な数字が浮かび上がった。


「……なんだ!? なんだこの数字は!」


桃太郎が戦慄する。


「……あはは。素晴らしい連携だ。でも、あれ、言ってなかったかな?」


剣を突きつけられているはずの男が、薄笑いを浮かべて首を傾げる。


19


数字が削れる。その瞬間、迷宮全体の魔圧が跳ね上がり、世界そのものが軋むような音を立てた。


「双子は常に一つ。つまり、『二人同時に捕まえる』……これ、この迷宮の常識だよ?」


「……はぁ!? 同時じゃなきゃダメなのかよ!!」

桃太郎が絶叫。男だけを捕まえても、女が逃げ続けていれば「捕獲」とは認められない。


18


「カリン、セレナ! 残りは18秒だ! その女を逃がすな、全力で追いかけろ!!」


桃太郎の指示で、二人が弾かれたように走り出す。


17

「わかったのだ! 今すぐ捕まえるのだー!」


カリンが光の尾を引いて跳躍する。


16


「……16秒。間に合わせる、絶対に!」


セレナが魔力を絞り出し、重力の檻を練り上げ、逃げる女を包囲し始める。


赤い数字が壁に浮かぶ。15秒。


カリンは杖を握りしめ、光の尾を女の方へ伸ばす。

「……あと少し、届くはず!」


しかし、岩に阻まれ、光は寸前で逸れる。


その絶望的な瞬間、青年が顔を歪めて嘲笑った。


「あ、もう一つ言い忘れてた! 時間切れの場合、この迷宮がお前たちを攻撃するぞ。急げ、急ぐんだ……ククク」


「……何だとッ!?」


桃太郎の顔が、恐怖で引き攣る。肺に吸い込む空気すら熱く、焦燥で思考が焼き切れそうだ。これはただの失敗ではない、文字通りの全滅が背後に迫っている。


10秒


「くそ、あとちょっと……動けぇぇッ!」


セレナが重力の檻を作り、女を捕縛しようとする。喉が枯れ、魔力の逆流で指先が痺れる。だが岩の隙間を軽やかに舞い、駆け抜ける女の身軽さに、あと一歩手が届かない。


「くっ……! 逃がすな!」桃太郎が叫ぶ。


5秒


迷宮全体の魔力が逆流を始め、牙を剥く。浮遊岩が激流の如く乱舞し、平衡感覚が消失するほどの振動が襲う。


カリンは杖を握り直し、魔法石をカチッと装着する。


ルーンが瞬く光を放ち、女に向けて光が伸びるが、やはり届かない。視界の端で、赤い数字が断末魔のように明滅した。


「……カハッ、頼む……間に合えッ!!」


3秒


壁の赤い数字は1。


迷宮の魔力が牙をむくように集まり、あらゆる存在を抹消する破滅的な魔法攻撃の兆しが走る。


1秒


セレナも血を吐くような思いで必死に手を伸ばすが、女は逃れる寸前。


0秒――


「やめろ、ここで……!」


カッチ!


今回の戦闘は、


白雪:感覚型(半覚醒)

桃太郎:理詰め(数理魔法)


この二人の「連携」を意識して書きました。


個人的にお気に入りなのは

0秒捕獲の瞬間です。


白雪の感覚 → 桃太郎の数式 → カリンの光

という流れで、チーム戦っぽく仕上げてみました。


そして最後に出てきた

「審問」


この迷宮、まだまだ終わりません。


次回は少しずつ

・迷宮の本当の試験

・双子の正体

・白雪の剣の違和感


このあたりが出てくる予定です。


よろしければ

ブックマーク・評価・感想などいただけると、とても励みになります!


それでは次回もよろしくお願いします!

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