表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/82

第三十話(中編②):【絶体絶命】隠密潜入、秒でバレた件

いつもお読みいただきありがとうございます!

潜入、解錠、そして形見の回収。


完璧なステルス・ミッションが成功するかに見えたその瞬間……白雪の

「咆哮」がすべてをぶち壊します(笑)。


「静」から「動」へ一気に加速する、絶体絶命の後半戦をどうぞ!

三人は建物の陰に身を潜めた。

湿った石畳の匂いと、腐敗したゴミの臭いが鼻を突く。

薄暗い扉の奥、布袋を抱えたセレナが、まるで氷点下の冷気に晒されているかのように、小刻みに震えているのが見えた。


悪党たちが周囲を固め、獲物を品定めするような低い声で脅している。

距離は十数メートル――まだ安全圏だが、一度でも気づかれたら即座に死が襲う距離だ。


桃太郎は杖を握りしめ、頭の中で補助線を描く。

(……距離も角度も最悪だ。息一つ、足音一つでもアウトだぞ)


白雪は木刀を握り直し、影に身を寄せる。その鼓動は、隣にいる桃太郎の耳にまで響くほど激しい。


「……行くのだ、セレナを守るのだ!」

囁くような声。だが、その裏で膝の震えを隠せないのが桃太郎には分かった。


カリンは杖を掲げ、微かに風を操る。

足音を吸い込むように風の膜を三人の周りに張りながら、低く呟いた。


「ももっち、落ち着いて……でも白雪ちゃん、無茶しないでね……」


(いや、無茶ってレベルじゃねぇ……完全に二人に引っ張られてるし……)


桃太郎は自分の「隠居計画」が音を立てて崩れていくのを感じながら、胃のあたりが焼けるような緊張を覚えた。


セレナの小さな肩が震え、息が浅く速い。

布袋を握る手は白く、力が入るたびに指先が小刻みに跳ねる。

それを見た桃太郎の胸が、鋭い痛みと共に締め付けられた。


(……でも、ここで動かないわけにはいかない……!)


悪党の低い声、金属の触れ合う音、衣服の擦れる音――すべてが耳に突き刺さる。

三人は息をひそめ、互いの小さな動きさえ確認しながら、慎重に扉の方向へと踏み出した。


白雪が小石に足を取られ、思わず膝をかすめる。


「うわっ!」


カリンが瞬時に手を伸ばして支えた。


「大丈夫?」


「……くっ、問題ないのだ!」


白雪は顔を真っ赤にして立ち上がるが、その鼓動はさらに速度を増していく。


桃太郎は小声で、自分に言い聞かせるように呟いた。


「まだ気づかれていない……慎重に……」


補助線で動線を確認し、影の濃い場所を選んで進む。


そして――悪党たちがセレナたちを地下へと連れ去った。

重い鉄扉が閉まり、桃太郎の視界から彼らの姿が消える。


(……消えた。ここからは、俺たちだけだ……)


白雪が小さく、だが覚悟を決めた息を呑む。


「……さあ、行くのだ!」


カリンは杖を握り直し、力強く頷いた。


「ええ、待たせてはダメ……!」


三人は扉を押し開け、階段を下りる。

カリンの魔法で消されたはずの足音が、心臓の鼓動と混ざり合って爆音のように響く。


「くっ……暗い……。でも、行くしかない……!」


階段の先、薄暗い地下室。

ランプの光に照らされて、布袋を抱えたセレナと孤児たちの姿が浮かび上がった。


「セ、セレナ……!」


白雪の声は震えながらも、深い怒りと共に力強く響く。

カリンが杖を握りしめ、驚きと安堵で目を見開いた。


「やっと……見つけたわ……!」


桃太郎は深呼吸をひとつ。

脳内の補助線を、震える手で再構築する。


(……よし、ここからだ。一歩間違えれば全員に気づかれる……カリンに任せるしかない)


カリンがそっと扉の鍵に手をかけ、低く、祈るように呟いた。


「開け、解錠の魔法よ……!」


淡い光が杖先に集まり、鍵穴を包み込む。

金属が軋む小さな音が、静寂の中で鋭く響く。


桃太郎は補助線を再調整し、一歩、また一歩と慎重に進路を確認した。


鍵がゆっくりと回り、扉が小さく軋む。

カリンがそっと扉を押すと、薄暗い地下室の影が広がり、怯えた孤児たちのざわめきがかすかに聞こえた。


セレナは布袋を抱えたまま、震える肩を小さく揺らしている。

桃太郎は息をひそめ、補助線を頼りに音もなく進む。


(……大丈夫だ、俺たちが来た……落ち着け……)


カリンが少し下がり、二人に合図を送る。


「静かに……皆、動かないで……」


桃太郎は補助線を頼りに死角を抜け、そっとセレナの手から、あの布袋を受け取った。


(……よし! これでお守りも、孤児たちも安全だ……!)


三人は地下室の奥、悪党の気配に目を配りつつ、静かに撤収に移ろうとした――

緊張感の中、息一つ、足音一つも許されない完璧な「正解」まで、あと数歩。


しかし。


白雪の正義感が、その静寂を真っ向から引き裂いた。


「お、お守りは返すのだぁああ!!」


その咆哮が地下室に響き渡った瞬間、世界が反転した。


桃太郎の頭の中で、完璧だった補助線がガラスのように砕け散る。


足音、息遣い、低くうなる声――すべてが、一斉にこちらを向いて動き出す。


セレナは布袋を抱えたまま(いや、今はもう桃太郎の手にあるはずの感覚に戸惑いながら)、目を見開いて固まった。

孤児たちは小さな悲鳴をあげ、一塊になって身を縮める。


桃太郎は杖を握りしめ、心臓が喉を打つのを感じる。


(……ヤバい、完全にバレた……一瞬でも気を抜いたら、ここで終わる……!)


地下室の暗がりで、三人の呼吸が凍りつく。

闇の向こうで、無数の影が、飢えた獣のような気配が、容赦なく彼らを包囲し、締め上げていく――。


止まらない鼓動と、冷たい戦慄。

だが、誰も、何も、まだ動けない。


次の一歩が、破滅か、それとも――。


ブックマーク&評価お願いします!

「白雪ちゃん、叫ぶタイミングww」「モモ、どう逆転するの!?」と思った方は応援の☆☆☆☆☆で!

あなたの一票が、絶体絶命のモモを救います!


スクロールしてくれたアナタだけの特権!

次回は――桃太郎の計算力、白雪の正義感、カリンの風魔法が大暴れ!

そしてセレナ、ついに……!?


「いや待て、ここからどうするんだモモ!?」

絶体絶命の地下室、三人のチームワークが試される――!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ