表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/41

2-8

 ヒルダが茉唯と出会って以降、二人はほとんどの時間を一緒に過ごした。

 茉唯は新しい友達を得られたことが嬉しかった。言葉をはじめ色々なことをヒルダに教えようとした。そして、すぐに物事を覚えるヒルダを頼もしく思っていた。

 ヒルダは努めて茉唯の期待に応えるようにした。年齢は遥かに若そうだが、その分組みしやすいと思っていた。知識量は少ないと思うが、今のヒルダよりこの星についての知識は持っている。ある程度の知識を得たら、茉唯を足がかりにして別の者から知識を得ても良い。例えば志津だ。

 茉唯と一緒に陶芸を教わったりもしているので、志津より宗和と接する時間の方が長い。しかし、知識を得るには宗和より志津の方が相応しく感じていた。

(言葉は何とかなるかもしれないが情報はどうするか……)

 ヒルダの心配はこの星での情報収集の手段だ。宗和の家にはスマートフォンはもちろん、タブレット端末やコンピューターもない。茉唯もスマートフォンは持っていない。あるのは固定電話だけだ。ヒルダも情報端末がないだろうということには気付いていた。情報端末については何らかの方法で入手する必要がある。

(情報端末の場所と使い方を知る必要があるな)

 茉唯が知っているかもしれないが、まだそれを伝える言葉がわからない。

 ヒルダはテレビを点けた。何かヒントが得られるかもしれない。

 チャンネルを変えていると、スマートフォンを使用している姿が映った。

 ヒルダは画面を指差して茉唯を見た。

「どうしたの?」

 茉唯が不思議そうにヒルダを見る。ヒルダはテレビに近づいて、スマートフォンを指差した。

「ああ、スマホ……じゃない、スマートフォン」

 ヒルダとの会話で、茉唯はできるだけ正確に話そうとしている。

「スマートフォン?」

「そう。どうしたの?」

 茉唯に問われて、ヒルダは茉唯を指差した。

「……あたし……あ、あたしは持っていない」

 言いながら茉唯は両手の人差し指でバツを作る。

「モッテイナイ?」

 バツが否定を意味することをヒルダは理解できていた。

「うん。ごめんね」

「ソウワサン、シヅサン」

 二人の名前も理解できているが訊き方がわからない。

「ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんも持っていない」

 茉唯は二回両手の人差し指でバツを作った。

(ここにはないか……)

 ヒルダは少し落胆したが表情には出さない。ヒルダの表情が曇ると茉唯は哀しげな表情をする。それを見たくなかった。

 茉唯は少し不思議に思っていた。ヒルダがなぜスマートフォンに興味を持ったのか。

(何か思い出したのかな?)

 スマートフォンがあれば翻訳ができる。もしかしたら会話できるかもと茉唯は思った。スマートフォンを持っていないことを悔やんだ。しかし、それは仕方がないことだ。茉唯はまだ小学校一年生だ。スマートフォンを持っている方が珍しい。

 茉唯が考え込んでいるので、ヒルダはじっと茉唯を見つめた。

「あ、ごめんね。何でもないよ」

 茉唯が笑顔になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ