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一角ネズミ  作者: 晴彦
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中央連山

 しばらく休んでそれから歩き出し、やがて遠景だった山々がだんだんと近づいてみえてきた。雲海のかかる高い山もあるが、目指す目的の山である中央山は高山でもなければその連山の中央にあるわけでもない。しかしそびえ立つ山々の中で一際小さい山が目立ち、中心にあるかのように見えるのでそう呼ばれていた。

 空はいつの間にか晴れていて、それにカルエが気付く頃に中央山にたどり着いた。

「この中央連山は勿論山越えに利用されるが……中でも中央山は魔の住む山と言われているよ。頂上にはやはり魔女がいるという噂がある」

二千メートル越えの山が続く中央連山は厳しい山々である。しかし中央山は千メートルにも満たず、カルエはそれほど覚悟もせず木に囲まれた緩やかな坂道を登り始めた。

 それから木々は次第に増え、道も急に細くなった。鬱蒼と木々が生い茂る獣道を二人は進んで行く。難儀なことに道は入り組んでいて、そして素直に進んでも傾斜がないので上にはいかなかった。埒があかないとヨマが道をそれ、道なき道を上がって行った。

 カルエは必死でヨマの後を追った。ヨマも何か焦っているのか道なき道を進んで行く。しばらく進むと人が作ったと思われる道にでた。長い草が周りを覆うが、少なくとも道には生えていないのでなんとか通れそうだった。

 二人は進み、そして休み、そして進むことを繰り返し、だいぶ登ってくるころには夕暮れになっていた。

「曇ってきたな」

 カルエはヨマの言葉に空の天気が崩れていることに気付いた。いまにと雨が降り出しそうな曇天だ。

「雨が降ったら、どうするの?」

「携帯傘はあるけど、降り出したら境結界を張って待機したほうがいい」

「身動きが取れなくなるわね」

「雨の中の山をうろつくのは危険だよ」

 カルエが明らかにその案を好んでいなさうな顔をするとヨマはそういった。

「まあ、降り出すまでは歩けばいい。頂上を目指すんだろ? そうはかからないさ。魔女に会えればいいが」

 カルエは歩きながらも地面に小動物の気配がないか探っていた。占いでは魔女を訪れろとあったが、その前に一角鼠を見つけて捕えれれば、それに越したことはない。

 カルエはこの山に一角鼠がいるかもしれないと思っていたのだ。

 突如、大きな熊が現れてカルエを襲った。唐突なことだったのでカルエは悲鳴すらあげれず、熊の襲撃に身を縮ませることしかできなかった。

 ヨマはすぐに剣を抜き、カルエの前に立ちはだかると熊を切りつけた。巨大な熊は大きく、激しくヨマに攻撃を仕掛けてくる。ヨマは熊の勢いを剣で防いでいる。

 大型の熊の登場でカルエは混乱し、戦っているヨマを置いてその場から逃げだしてしまった。

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