VOL.30 太陽の峰、月の洞
太陽の峰はアルペンディー大山脈にある万世の秘法の道場。
月の洞は地下世界で、万世の秘法の道場もありますが、同時に呪界法信奉者もアジトにしています。
万世の秘法側が表現するときは、二つ並べて言い表すことが多いので対句になっていますね。
呪界法信奉者は月の洞では優位を保っていますが、太陽の峰には手も足も出ません。
太陽があるところと地下では事情が違うんです。
太陽の峰における修法行は山岳修業で、そこで修行することを入峰と言います。
表も裏も修法行した修法者たちは、ここを最終関門として試練を受けます。
――と言っても、白装束を身につけて、ある一定期間山で過ごすだけです。
ただ食料などは用意しません……山にあるものを食します。
だから比較的春夏秋は食べ物がありますが、冬が一番過酷だと言われる所以です。
ここで峰々を踏破する修法行をすると、神足といって常軌を逸した速度を授かります。
中にはサクシードのように持ち前の能力で真似できてしまう奇特な人間もいるにはいますが、ごく少数です。きっと何かが乗り移るんでしょう。
それに山のものを見分ける能力はサバイバルにも有効ですから、太陽の峰を体得した修法者はどこでも生きていけます。全方向的な人間になれるんですね。
一方、月の洞はというと、地下世界に穿たれた巨大な洞穴で太陽の光は差し込みません。
この世界の光源は紫月といって、創世紀に消失した魔法宮の魔術師たちが中空にかけた沈まない月で、紫色の光を地下世界に満遍なく投げかけています。
紫月を頼りに位階者たちは戦闘技術を磨くんですね。
呪界法信奉者は、位階者の誘拐を目的に道場に入り込むことがあるので、非常に危険なところなんです。
その勢力が強いカピトリヌス・エスクリヌス、カエリウスの東側、それにウィミナリスの東側は最前線になっています。
ここを五回踏破しているサクシードが、P-TEAMリーダーに推されるのは当然の流れです。
悪運の強さは並じゃないですね。




