ぷろろろろろろろろろろるろろろーぐ
今日こそ名留さんに話しかけるんだと明日香は決心した。
須浦 明日香、13歳女子中学生、あずき色の髪。彼女は今とても友達になりたい人がいた。その子はいつも教室の隅で本を読んでいる。教室ではあまりしゃべっているイメージがないのだが、明日香の親友が仲がいいらしいので一度仲良くなってみようと思ったのだ。
「二人一組になれ」
体育の時間。そういえばあの子はいつも余っていた。いた茶髪の三つ編み、名留 亜依あの子である。
「なーとめさん、一緒にやろー」
突然の背後からの声に亜依は驚いた。三つ編みを揺らしながら振り向く。どうせ余ると思っていたからか、そんなに仲良くない人に話しかけられたからか驚きでオレンジの瞳が固まっている。
「えっ……私でいいのなら……」
亜依は静かな声で言った。明日香はにっこり笑った。
「あすかー!そんな陰キャとペア組むのw?」
遠くで明日香の親友が言った。周りからはクスクスと笑い声が聞こえる。明日香は親友であれ怒った。
「なんか悪い?ってかなんでそんなひどいこと言うの?」
「陰キャって悪口なん?ただ聞いただけなんだけどw」
亜依がうつむくのを見て明日香は親友を睨む。親友は取り巻きとひそひそ話し始めた。少し間があり、親友は申し訳なさそうな顔で言った。
「……ごめん」
「……うん。名留さんに謝ってよ。」
「……違う。名留さんとペア組みたくて、でも明日香に奪われるのが嫌だったから言ったの。ごめん。」
急な態度の変化に明日香は驚く。しかし先に狙っていた名留さんを渡したくないと明日香は思う。でも名留さんの好きな方にしてあげたいと思う。
「名留さんは……どっちと組む?」
取り巻きの誰かが言った。その顔は少し笑っていて、なにか企んでそうだと明日香は思った。しかし気のせいということにしてしまった。
「須浦さん、私仲いい人とやりたい。」
「そっか、ばいばい。」
そう言って亜依たちは遠くへと行ってしまった。始めて余った一人になった。いつもは誰かと組んでいたけどその子たちももうペアになっていた。話したことのない名留さんと離ればなれになって何かを感じた。はなればなれ……
あれ?
……なんで親友なんだっけ
親友は私より身近な取り巻きがいる。私をグループに入れてくれないし……。ただ昔仲良かっただけ、ただよく話すだけ、自分は錯覚していたんじゃないかと気づく。実はぼっちだったんだって。
「おいw須浦さん余りw?」
後ろから笑う低い声がした。射馬 敬朗―ケイだ。こいつとは幼馴染である。
「あまっちゃった」
明日香はてへっと言ってみる。だけど今の自分には痛々しく感じた。
「余るって……お前あんなに友達いたのに珍しいな。」
「えっ…?」
「それと、今日の女子の数は偶数だ。どっかにもう一人余りがいるはずだぜ?もっかいなとめ……だっけ?に会いに行ったらどうだ?」
そう言われて親友たちが言った方向へと走った。正直ケイの言っていたことが嬉しかった。
しかし彼女らはいなかった。グラウンドのどこを探してもいなかった。あんなに大人数がどこに行ったのだろうと探す。
………もしかして……
「ねぇねぇなんで明日香と話してんの?」
「……」
「明日香にはこのこと伝えてないんだよ?わかってんのかって?!」
亜依に強烈なパンチが当たった。取り巻きが笑う。蹴る。煽る。そしてまた殴る。亜依は無理をした顔で笑う。
「あはは………」
「名留さん!!」
明日香が亜依の元に来た時には手遅れだった。亜依の体はあざだらけで、傷だらけだった。亜依はその傷をそっと隠す。
「……名留さん?」
名留亜依を笑う者は誰もいない。床には彼女たちが転がっていた。
亜依の背後に黒い影が現れる。
「須浦さん、今日は声かけてくれてありがとう。私、もっと早く須浦さんと話したかったな。」
「え……」
黒い影は実体となり、亜依の後ろに立つ。その影は角や翼が生えていてまるで悪魔のような見た目だった。
「これは私達のためなの。私の味方はこの子だけ。また会える日はないかもしれないけど、ばいばい。」




