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その4 「五歳/この世界について調べる」

 一ヶ月程が経過した。何故か少しずつエレナの記憶も戻り、調べた事との整合性が取れてきた。

 それでも、頭の痛い悩みが尽きない。


 「エレナ様、また難しい事を考えておられますね?」


 私が頬杖をついて、悩んでいるとリリサが声をかけてくる。


 この私の専任メイド、リリサは十五歳、私に仕え出してまだ半年だ。

 リリサは女神の啓示を受けて、メイドとして我が家に勤めることになったそうだ。

 以前までどこで何してたのか素性はわからない。

 両親は知っている感じだが、秘密にされている。

 でも、彼女の私に対する優しさは本物だと感じる。

 いつも側に居てくれて、何をしようにも頷いてくれて話を聞いてくれる。実の姉二人とはあまり顔を合わさないから、実の姉以上の存在だ。

 リリサは非常に美しくて、仲間のメイド達も彼女の所作に見惚れる事がある。それは、彼女の外見の良さだけでは無く、生まれ持ったモノなのではないだろうか。


 実の姉が二人いるけれど、ほとんど顔を合わせない。二人とも王都の学舎に通っているため、家にいるのは週末や休暇の時くらい。顔を合わせるのは夕食の席くらいで、それも形式的な挨拶だけだった。

 長兄のヘンリース兄様は王都で騎士団副団長だ。年に一度顔を見るかどうか。

 次兄エドワード兄様は屋敷に居るものの、研究所に篭もりきりで、今までに会ったのは二、三度。

 三兄――ギルバート兄様だけは別だ。屋敷でよく顔を合わせるし、気さくに話しかけてくれる。

ときには使用人の目を盗んで、何やら悪巧みの相談まで持ちかけてくる始末で……正直、この兄様こそが、一番“兄らしい”存在で気が合う。


 この世界についても本を読んで勉強した。

 この世界はアルファスト大陸という名前らしい。

 女神アルカナ様が創造されたという伝説が残っており、我々ヒューマンと言われる種族は、十五歳で"女神の啓示"という儀式を受ける。そこで今後生きていくための道が示されて、成人という事になる。

 神様がその人の人生を決める。なんともつまらない世界に転生したなと最初に思った。

 啓示を受けても何も示されない者も存在する。

 啓示で道が示されるのは十人に一人くらい。

 王族や貴族への啓示はほぼ百%下る。

 世界の重要人物にだけ確実に啓示が下るというのも変な話だ。

 啓示を受けられなかったとしても、成人できないという訳ではないそうだ。


 (それって私も受けるのかな?嫌だなぁ)


 啓示に逆らって自分の好きな事をする人もいるそうだが、啓示の内容を偽るとどこも雇ってくれず、冒険者となるか、最悪は放浪者や山賊になるかしかないそうだ。


 (人は運命に抗うものだよなぁ)

 

 この世界について、屋敷にある本で勉強しているが、たまに質問をリリサにぶつけている。

 この世界は本当にRPGのようなところだ。

 

 私が目覚めたこの世界は、戦王暦一〇二五年。

 魔王軍と五百年もの間戦争を続けている。

 魔族の領地は、今や世界の三割以上に広がっていて、私たち人族は残りの土地を必死に守っている。

 魔族は私たちとはまるで異なる存在で、彼らは大きな体躯で、その力は桁外れ。

 全ての魔族が言葉を理解し、知識を持っているわけではなく、意思疎通ができるのは、"魔将"と呼ばれる一部の者だけだと言われている。

 それ以外の魔族を"魔人"と呼ぶらしい。

 そして、魔族は『魔界』から来たという話なのだが、その魔界を見たことがある者は、誰一人としていない。魔界は地下世界に広がっており、地上のどこかに入り口があると言われている。


 「リリサは、魔族見た事あるの?」


 「えぇ、遠くから見た事があります。旦那様と奥様が魔族と戦った事があるはずですよ」


 「お父様とお母様が!?」


 「お二人の出会いはこのイグニス王国内では有名ですからね。今度、お二人にお聞きになられては如何でしょうか」


 「両親の出会いか…それは気になるね」


 「魔物も魔族が地下世界から連れてきたと言われておりますが、実際どうなのか誰もわかりません」


 違法なペットを放し飼いして自然に増えたような話だなと感じる。

 ちなみに魔王については詳しい記述はなかった。


 人族は、私達ヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人など地上で生活する者の事を総称してそう呼ぶそうだ。生きている間に、エルフやドワーフと会う事はほとんどないらしい。彼らは森や渓谷の奥深くに住んでおり、独自の国家を築いているそうだ。

 獣人はごく稀にヒューマンの街に現れ、物物交換で取引を行う事があるそうだ。この街にも数年前に取引に現れた事があるらしい。木の実や果物をたくさん持ってきてくれたそうだ。


 「エルフとかドワーフに会うにはどうしたらいいのかな?」


 「そうですね、エルフやドワーフの国は、私達ヒューマンとは関わりを持つ事を避けます。でも、冒険者として旅に出れば、いつか会えるかもしれませんね」


 「この世界には、冒険者がいるの?」


 「はい、冒険者ギルドという物がございまして、そちらに登録すれば誰でも冒険者になれます。冒険者達は、依頼をこなして普段生活をしていますが、危険も多いので、私は、エレナ様にオススメしません」


 「そっかー!楽しそうなのにな!」


 「エレナ様いけません。旦那様に叱られますよ」


 リリサにお叱りを受けてしまった。


 (私は、冒険者になり、自由気ままにこの世界を生きてみたいとこの時思った。なんだかこう、ワクワクする)


 この五百年続く魔族との戦争は、"人魔大戦"と呼ばれている。二百年前に人族側に勇者が現れて、魔王や魔族を地下の魔界に一度追いやったという事があったらしい。

 しかし、その平和も勇者が亡くなるまでの六十六年間続いただけで、勇者不在を知った魔王軍は地上に再侵攻してきたようだ。


 「リリサ、勇者様はヒューマンだったの?」


 「そうですね、ヒューマンだったと言われておりますが、その外見は女神様と同じような白銀の髪色で、男性だったと伝えられております」


 「女神アルカナ様と同じって事は、神様の一族だった可能性があるってこと?」


 「そのようにも言われております」


 (なるほど、勇者はもしかしたら神の末裔…あり得そうだな)


 この世界の文明レベルは、前世でいうところの中世レベルの文化しか持ち合わせていない。

 移動や連絡手段は徒歩か馬が主流で、魔族と戦争中だが、剣や槍、弓などの武器が主流で、銃火器の類は存在しない。

 ただし、この世界には一つ大きな特徴がある。それは、魔法が実在することだ。魔法を扱う者は少なくはないが、その力を戦に使えるのは選ばれた者に限られている。


 「リリサは、魔法使えるの?」


 「多少ですが、使えます」


 「じゃあ今度私に教えて!」


 「旦那様のご許可があれば良いですよ」


 「えぇー、お父様、許可してくれるかなぁ」


 私のいるこのイグニス王国は、魔王軍の進行から最も遠い国だと言われている。

 但し、平穏に見えるが、それでもいつ何時、魔王軍の軍勢が迫ってくるか分からないし、魔族や魔物は時折り徘徊しているようだ。

 私たちの国は、魔王軍の脅威に備えて、日々警戒を強めている。


 そんな中、唯一の希望として語り継がれているのが「勇者」の存在だ。"この世界が最も闇に浸食される時に現れる"とされる。

 勇者は、魔王に立ち向かう力を持ち、世界を救うために戦うと言われている。人々は希望を捨てず、勇者の再臨を信じ続けている――いつか、勇者が現れ魔王を討伐してくれることを、、、、


 この世界の状況についてはなんとなくだが理解した。やはりRPGの世界だなと感じる。


 剣と魔法の世界。

 異世界転生の漫画を読んでおけばよかったなと少し後悔している。

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この世界の状況について、少しだけ説明させて頂きました。

 まだ謎が残りますが、これから徐々に明かしていけたらなと思います。

 少しでも「面白い」「続きが気になる」と思われましたら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けますと嬉しいです。

 "感想".ブックマーク"お気に入り"もよろしくお願い致します。

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