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第7話

窓から差し込む暖かな朝日。周りからは、小鳥の囀りが聞こえてくる。

今日も、プラナスに新しい朝がやって来た。

今日で、私がこの街にやってきて五日が経とうとしていた。この世界の暦で、そろそろ一週間経つことになる。一応、宿の料金は十日分払っているので、あと五日は払わなくてもいいことになっているのだが、これからの事を考えれば飛空艇が使えればそこを拠点にした方がいいだろう。少なくとも自炊に必要なものは揃っているし、謎素材で作られた飛空艇は、ホラアクの中ではどんなことがあっても破損することなくつかえていたので、ルネティアールでも破損することなくつかえるはずだ。

そう考えた私は、今日は依頼を受けずに南の草原地帯で飛空艇が召喚できるかどうかを試すことにした。


昨夜、私の銀級昇格おめでとう会の後、自室に戻った私はアイテムボックスの中身をHAOと同じようにインベントリ欄として実際にチェックできることを発見した。使い方は、アイテムボックスを出した後、その入り口を指で触るだけ。中に入っている物の自動整理機能やアイテムのカテゴリごとに抽出して表示させる機能もホラアクの中そのままであった。

それを見つけた私は、まずは、今の自分の手持ちのアイテムを確認することにした。それを見ていると、常備アイテムとして持ってきていた物のほか、アイテム欄管理となっていたお金、何種類かのアバターアイテムがある中に、飛空艇召喚デバイスがあるのを発見したのである。


今日は街の外に行くために狩り用の装備を身につけた私は、朝食をとったあと、南門へと歩いて行った。南門で、冒険者ギルドカードを見せて街の外に出た私は、そのままのんびりと歩き始めた。

街の東側に広がる田園風景と同じような光景がしばらく続くと、まばらに木の生えている草原へと入った。魔物図鑑によると、この草原地帯ではココやホーンラビット、スライムといった低レベルの魔物や、それを捕食するゴブリンやグラスウルフといった魔物が出現するようである。万が一そういった魔物が出現しても、私の敵ではない。念のために周囲を警戒しながら、私は草原地帯へ足を踏み入れた。

しばらく草原地帯を歩くと、周囲に人影もない場所を見つけたため、私は早速飛空艇を召還することにした。アイテムボックスから飛空艇召喚デバイスを取り出し、何もない場所に向けてスイッチを押す。すると、地面に大型の光を放つ魔方陣が描かれて、その中からゆっくりと飛空艇が姿を現した。その光景に、私は大げさすぎると深いため息をついた。これではあまりにも仰々しすぎて、人のいるところでは使えない。まるで、太古の遺産か神々の創りし物のようではないか。間違いなくトラブルの種になるなと思い、召喚するときは人の目がない場所だけでするようにしようと心に決めた。

飛空艇が完全にその姿を現すと、私は飛空艇に近寄りデバイスを飛空艇に触れさせる。すると、飛空艇のハッチが開き、中へ入るための入り口があらわれる。私がその中に入ると、自動的にハッチが閉まり、ロックがかかる音がした。


私は、まずデッキに上がり飛空艇の状態を確認することにした。入口は飛空艇の船底部分にあるため、基本的に階層間の移動は謎技術で作られたポータルを使用して移動する。ここは、ホラアクの中と全く同じであった。

私はポータルを操作してデッキへ移動する。デッキのコントロールパネルの前に立った私は、操舵輪の奥にあるコントロールパネルの各種スイッチを入れる。すると、飛空艇の主機である魔導エンジンが低い音を立てて稼働し始める。それとともに、私の目の前に半透明の画面がいくつも出現して、船内の状況をチェックし始めた。


『エインヘリル製ヴァルキュリア型飛空艇14番艦、艦名ヒルド。メインシステム起動……艦内システムチェックを開始します……デバイス所持者を照合中……艦長トーカ・モチヅキと確認いたしました……これより艦内システムチェックを継続いたします……艦内警備防衛システムチェック……三十%……七十%……オールグリーン……艦内生命維持システムおよび慣性制御・防御システム稼働状況チェック……二十%……五十%……八十%……オールグリーン……艦内各設備のチェックを並行して行っております……設備チェック中……設備チェック中……設備のチェック完了いたしました……全設備オールグリーン……主機および副機……超大型魔導エンジン稼働状況チェック中……十%……三十%……六十%……八十%……超大型魔導エンジンオールグリーン……只今の稼働率は百%です……操舵システムチェック中……三十%……七十%……オールグリーン……魔導広域バリア稼働状況チェック中……魔導バリアオールグリーン……百%の出力で使用可能……光学魔導ステルスバリア機能チェック中……光学魔導ステルスバリア問題なく使用可能です……武装システムチェック中……主砲・副砲・対空砲・対艦ミサイルすべて異常なし……自動修復システムチェック……自動修復システムオールグリーン……全艦内システムオールグリーン……これにてシステムチェックを終了いたします』


艦内に備え付けられたパーツが音を立てて駆動していく。抑揚のない機械的なシステム音声が飛空艇の状態をチェックしていく。ゲームの中では何の意味もなく、ただ見た目を変えるためのお遊びでつけた艦砲アイテムが、異世界に転生した際に本物の艦砲になってしまったのかと呆れつつ、飛空艇の艦内管理用の人工知能がシステムチェックをしているのを聞いていると、目の前に開いていた半透明のパネルは消えてシステムチェックは終了したようであった。

ちなみに、ホラアクでは、飛空艇の名前をプレイヤーが自由につけることができたが、飛空艇を所有した順番で、一番最初に所有したプレイヤーから四十一番目までに所有したプレイヤーには固有の名前がついている飛空艇が贈られた。もともとのネタは戦乙女ヴァルキュリアの名前で、私は十四番目に所有したので、この名前がついている。まあ、廃人の証としてのものでしかないのだが、一度名前を付けると変更は不可能だったため、システム上変えることもできずにこのままになっていた。


「ヒルド、久しぶり。早速で悪いけど、艦内データの諸元を見せてくれる?」

『艦長、お久しぶりです。ただいま艦内データの諸元を表示いたします』


私は、目の前に現れた艦内データの諸元を確認する。装甲がオリハルコン・アダマンタイト・ヒヒイロカネ複合積層材、主砲と副砲、対空砲は魔導エネルギー砲、対艦ミサイルはオリハルコン・アダマンタイト複合弾、自己修復システム完備、エンシェントドラゴンの神竜玉をコアに使った超大型魔導エンジン三基の出力は最高速度マッハ二、魔導広域バリアと光学魔導ステルスバリア完備とかおかしいんじゃないのと頭を抱えた。どうやら、この世界に転生した際にチートになったのは私だけではなく、私の所有物である飛空艇もチートになっていたようだった。


「ヒルド、もしドラゴンと1対1で戦った場合どのくらいの損害が出ると予測される?」

『通常の竜種であれば損傷は軽微。自己修復システムでの修復可能範囲内です。副砲もしくは対艦ミサイルにて迎撃可能と推測されます。古竜種ですと中破ですが、自己修復システムの全面稼働により七日後には完全復旧すると推測されます。主砲及び副砲、対艦ミサイルの使用により迎撃可能と推測されます』

「そう……ありがと」


私の飛空艇は古竜種とやりあっても迎撃できるそうです。もうやだ何このチート……。


「ヒルド、私は自室と倉庫や生産施設の確認に行ってくる。着陸状態で維持していて」

『了解いたしました』


私はそう言うと、デッキを後にして自室と倉庫、生産施設の確認に行った。生産施設のある区画は、船体の第二階層にある。そこには、鍛冶や木工、裁縫を行う工房と製薬を行う製薬室、料理を行うためのキッチンが備え付けられていた。私は、まずそれが使えるかどうかを確認しようと思ったのだ。


ポータルで第二階層に移動すると、私は生産施設のある区画へ入った。この隣には倉庫と食堂があり、倉庫の中には私が今まで貯めこんだ各種素材アイテムやお金、アバターアイテムや装備が入っている。

私は、生産区画の生産用装備を一つ一つ確かめていった。それぞれの生産施設の前に立つと、頭の中にレシピとその作り方が浮かび上がってくる。どうやら、問題なく生産施設は使えるようであった。次に、私は倉庫の中身を確認することにした。

倉庫の中に入ると、その中にはずらりと今まで貯めこんだお金や各種素材アイテムに消費アイテム、私が生産スキルを上げるために作り、売れ残った各ジョブの装備アイテムや、私が課金ガチャやオークションで入手したアバターアイテムが棚に整然と並んでいた。それを一つ一つ手にしながら確認していくと、どうやらこの倉庫の中では時間経過はなく生鮮食料品に分類される素材も含めて、すべて問題なく使えるようであった。私はそこから最高品質の鉄のナイフを一本取り出して、アイテムボックスの中に入れた。代わりに、冒険者ギルドで購入した剥ぎ取り用のナイフを取り出し、鉄のナイフが置いてあった場所に置く。すると、剥ぎ取り用ナイフは問題なくその場所に置くことができた。それ以外にも、ヒールポーションⅢとマナポーションⅢをそれぞれ三十本ずつとパナシアルタブレットⅢを三十個取り出し、アイテムボックスの中に入れた。まだ倉庫には余裕があり物を置けるようだったので、私は安心して倉庫を後にした。

第三階層に移動する前に、私は食堂を覗いた。食堂には大型のテーブルと、それに合わせた数のいすが置いてあり、食事をとれるようになっていた。キッチンシンクの水も問題なく出すことができ、食器を洗うことも問題なく行えるようだった。備え付けの冷蔵庫と冷凍庫を確認すると、中には何も入っていなかったが、きちんと冷えており、食物の保存も可能なようであった。私は、アイテムボックスから取り出したワイルドボアの水筒五本に、水道から水を入れて満たすと、しっかり栓をして再びアイテムボックスの中にしまった。

第三階層に移動した私は自室とお風呂、トイレと洗面所を確認することにした。それぞれ一つの部屋に分かれているため、私はそれを次々に覗いて行った。

自室に入ると、広いスペースに豪奢な天蓋付きのキングサイズベッドがおかれ、床は毛足の長い薄桃色のカーペットが敷かれている。そのほかにも豪華な装飾の施された大きなドレッサーや机といす、タンスや棚が備え付けられていた。

ベッドはふかふかで、上にかかっている羽根布団も柔らかく極上の物であった。まるで王家の一人娘のような部屋に、私は惜しげもなくレア素材をじゃぶじゃぶしてこの部屋とお風呂、トイレ、洗面所を作ったことを思い出した。

部屋を後にし、次はお風呂の確認である。お風呂も非常に広く作ってあり、大理石のタイルに、総世界樹造りの大きな湯舟。もちろん、シャワーとカランもついている。スイッチを入れると、適温のお湯が湯船に取り付けてある噴出口やシャワー、カランから出てきた。これならば、石鹸やタオルなどがあれば狩りが終わってからすぐにお風呂に入って汚れや汗を流すことができそうである。

次に、私は洗面所を確認することにした。ここも広く作ってありスペースには余裕があった。大きな鏡のついた深いシンクに、備え付けの棚。確認すると、しっかりと水が出た。洗面所の確認を終えたら、次はトイレである。トイレも非常に広く、余裕があった。明るい照明に、清潔感のある白でまとめられたスペースには、シャイニングドラゴンの最上質な鱗と甲殻で作られた洋式のトイレと普通のトイレットペーパー、小さなゴミ箱が備えつけられてあった。水もしっかりと出るようで、私は一安心した。

第四階層は応接室と客室である。ここは非常にシンプルな造りで、客間には最初に備え付けられてあった二段ベッドが二個と机、いすが置いてあるだけである。応接室も全く手をつけておらず、最初から備え付けられてあった大型の机とソファー、ランプが置いてあるだけであった。壁に取り付けてある棚にも、何も置いてはいなかった。

第五階層は、出入り口と艦内警備・防衛システム、機関室である。こちらのチェックはヒルドがしてくれており全く問題はなかったので、私はそのまま外に出ることにした。


外に出ると、私は最初と同じように飛空艇に向けてデバイスを向けてスイッチを押した。すると、召喚した時と同じような大型の光輝く魔法陣があらわれて、その中にゆっくりと飛空艇が姿を消していく。しばらくして飛空艇が姿を消すと、魔法陣が光の粒になって消えると、あたりにはそよそよと風が草原を渡る音と、のどかな小鳥の鳴き声しかしなかった。

空を見上げると、太陽は中天に差し掛かって少し西に傾いたようである。私は、街道に出るとアイテムボックスからおにぎりを出してそれを食べながらプラナスへ向けて歩き始めた。

目の前に現れたスライムを倒して後に残った核をアイテムボックスに入れつつ歩いていると、プラナス周辺に広がる田園地帯に入った。田園地帯を抜けると、プラナスの南門に到着した。私は冒険者ギルドカードを見せて街の中に入ると、南通りに店を構えている露店を覗いていった。

露店を覗いていると、ビンに入った、リプルという地球のリンゴに似た、果物のジュースを桶で冷やしている店があったため、そこでリプルジュースを十本購入した。値段は一本三十フラウだった。ビンはコルクで栓がしてあり、なるべくビンは返してほしいと店主から言われた。聞くと、飲料や酒類を入れるビンを作ることができるのはドワーフだけで、ドワーフの国から離れてしまうと、途端にビンの値段が高くなってしまうからとのことであった。

私はアイテムボックスの中にビン入りのリプルジュースを入れると、その足で冒険者ギルドへ向かった。


冒険者ギルドで、倒したスライムの核の買い取りを依頼すると、スライムの核は一個で十フラウになった。それが十個あったので、合計百フラウ。核を一瞬でスライム本体から引き抜くと後に残るスライムゼリーの方が高価で、そちらは一体あたり三百フラウになるとのこと。私は一つ賢くなったと思いつつ、お金をアイテムボックスの中に入れた。

冒険者ギルドを出ようとすると、私は受付のところにいたお姉さんに引き留められた。


「トーカさん、一昨日の件でギルドマスターがお待ちです。一緒に来ていただけますか?」

「ん」


私はあまり気乗りはしなかったのだが、お姉さんの後について行った。


冒険者ギルドの二階にある部屋の前に立つと、お姉さんはドアを数回ノックした。


「ギルドマスター、トーカさんをお連れいたしました」

「ああ、開いているから入ってくれたまえ」

「はい。では失礼いたします」


お姉さんがドアを開けると、中に入る。私はそれに続いて部屋の中に入った。

部屋の中は応接室のようになっており、その中に置いてある一人掛けのソファーの一つにギルドマスターが座っていた。


「ライラ君、ご苦労だったね。ああ、トーカ君は好きな場所に座ってくれたまえ」

「ん」


私は、机を挟んでギルドマスターの対面にあるソファーに腰を掛けた。

ライラと呼ばれたお姉さんが扉を閉めて部屋の片隅に控えると、ギルドマスターは革袋を机の上において口を開いた。


「さて、トーカ君。君にご足労願ったのは他でもない。一昨日の件についての報告があったからなのだよ」

「ん。私の中ではもう忘れ去られているからどうでもいい」

「どうやら君は、他人に関してあまり興味のない性格のようだ。自分に敵対するものは何であろうと排除し、自分の味方はどんなことがあろうと守ろうとする。自由気ままで気まぐれ、猫型獣人の典型的な性格のようだね。まあ、それはいいとして。この中に、アルトンたちの全財産と警備隊に通報、捕縛してもらった時に得られた報酬の全てが入っている。どうやら彼らは街でも騒ぎを多数起こしていて街の人々より警備隊の方に苦情が寄せられていたようだ。冒険者ということもあり、明確な犯罪行為はしていなかったから、警備隊の方でも動けなかったようだね。全く困ったものだよ」

「それはギルドマスターの仕事。上がきちんとした上司でないと、下の風紀も緩むし不満もたまる」

「全くその通りだ。耳が痛いね」


私が淡々というと、ギルドマスターは肩をすくめた。


「さて、私の用事はこれで終わりだ。わざわざ来てもらってすまなかったね」

「別にいい。今日は自由時間にしようと思っていたから」


机の上の革袋をアイテムボックスの中に入れると、ギルドマスターは苦笑しながら言った。


「やれやれ。もっと愛想よくした方が”氷の戦姫”と呼ばれなくていいと思うんだがね」

「なにそれ?」

「君の二つ名だよ。銀級冒険者の者に二つ名がつくことはあまりないのだがね。どうやら、あの一件はこの支部に所属する冒険者たちには衝撃的だったらしい。すぐに二つ名がついたようだよ?」

「別に気にしない。それに、この性格は昔からだから変えようとも思わない」


私が冷ややかな表情のまま言うと、困ったようにギルドマスターは苦笑しながら肩をすくめた。


「私はもう帰っていい?」

「ああ。こちらの用事はもう終わったからね。今日は時間を取らせてすまなかった」

「ん」

「じゃあ、ライラ君。トーカ君を送っていってくれたまえ」

「はい、承知いたしました。では、トーカさんこちらです」

「ん」


そばに控えていた、長い黒髪のメガネをかけたライラと呼ばれたお姉さんが扉を開けると、私はソファーから立ち上がった。

そして、そのまま部屋を後にした。


「ふう。どうやらあのお嬢さんを、この街に引き留めるのは至難の業のようだね」

「ギルドマスターはあの娘を、この街の冒険者ギルドの切り札にするおつもりですか?」

「まあ、ありていに言えばそうだね。この街はいまのところ平穏だけれど、大森林を起源とする魔物の大量発生や竜峰の火竜の件もあるからね。今のうちに、なるべく高ランクの冒険者を街に引き留めておきたいのさ。記録によると、大量発生の時にはオークキングやゴブリンキングといった、王種の発生も確認されているから、そうなると金級の冒険者数人では太刀打ちが効かなくなる。火竜の襲来を考えると、最低でも聖銀級から白金級の冒険者からなるパーティーが数パーティー街に常駐していることが望ましいね。冒険者の育成も急務だけど、腕利きの即戦力となる冒険者もほしいのさ。まあ、警備隊やルネティス教の援助は得られると思うが、それでも準備しておくに越したことはない」

「それで、彼女は動くと?」

「こちらが誠意を見せれば動いてくれるさ。だからこそ、わざわざあの件をこの街に常駐している冒険者たちに広めたのだけれどね。そうでもしなかったら、彼女は間違いなくこの街を後にして別の街に移動していただろう。ティリウス聖王国は亜人種排斥の動きが強い国家だから、メルキュール王国に行っていたかもしれない。あそこの近辺はダンジョンもあるし、彼女ほどの腕があればすぐに白金級になっていただろうね。そうなると、冒険者ギルド緊急指名依頼を出してもすぐに飛んではこれないだろう。メルキュール王国の王都からは、いくら馬を飛ばしても七日はかかるからね」

「なるほど、そうでしたか」

「ギルドマスターというのは因果な仕事だね。周りに常に気を配らなくてはいけないのだから。冒険者として過ごしていたころが懐かしいよ」


ギルドマスターはそう言うと、困ったような表情をして肩をすくめたのだった。

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