犠牲者2,400名の報復は、ジャップ百万人を殺戮しても足りない。
Tokyoに原子爆弾を投下することは、まずい。
彼は、直感で思った。
大規模空爆の繰り返しで多くが焼かれたとはいえ、Tokyoエリアには民間人中心にまだ数百万人近い人間が居住している。このままでは犠牲者が百万人を越えてしまう可能性がある。
更には、ミカド(天皇)が死んだ上に、首都が放射能汚染されたら日本国の再興など夢のまた夢だ。
海軍の作戦立案感覚はやはり完全に麻痺している。
この暴走を止めなくては、
「待て!Tokyoは、すでに焼け野原だ。そんな所に新型の爆弾(原子爆弾)を投下しても戦果が上がらないだろう。折角の新型爆弾なんだ。日本国にはまだ、手付かずのエリアも在る筈だ。」
彼は、謂ってから機と気づいた。
「ほほーっ。確かに。腰抜け役人もたまには良い事言うじゃないか。」
海軍大将は、彼を斜に睨み、舌なめずりしながら台詞を続けた。
「広島、長崎、新潟、函館・・・、確かに手付かずのエリアは、まだまだ在るな。」
「手足を捥ぐように順番に毎日、新型爆弾を投下してやろう。」
仕舞った!これでは、Tokyoと日本国の未来を救うため、他のエリアの日本国民を生贄に差し出したようなものではないか。
彼は、この自分の発言が意味することを完全に理解した。




