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暗殺者1

今回は飲み会です。私も友達をそういうことをしてみたい!

 私は今、ガルドさん、タリナちゃんと飲みにきている。



 暗殺者が夜空いているなんて珍しい話だが、今日は組織全体が休みなので、組織内でNo.5までの人たちで飲み会をしている。



 ボスは仕事があるので遅れて。もう一人の人はこういう場には来ない。



 というより来れないのだ。



 何故かと聞かれれば、暗殺者を辞めているため。もしかしたらどこかで亡くなっている可能性もある。



 そんな人だが、一年前までは組織内で新人教育を担当しており、ここにいる三人もお世話になった。ボスの元同期の人でもある。



「ノーティングせんぱーい!なんで次期公爵なんか好きになったんですか〜!?」



「こいつ、べろべろに酔ってんな〜」



「ガルドさんも飲み過ぎです」



 ガルドさんはお酒に強い方だが、今回はすぐに顔が赤くなってしまっている。隣を見るとお酒が入っていただろう樽が。



「すみません、お水を二つ」



「かしこまりました」



 二人用に水を頼む。この店は店主が情報屋を兼任をしていることから裏社会の人間が集まる。何か任務でトラブルがあればここに来れば、組織と連絡が取れる。



 あと、店主が作る冷奴が絶品。



「二人とも、水飲んでください」



「う〜〜〜〜、わかりました」



「俺は酔ってねぇぞ」



 タリナちゃんは不服な顔をしながらも、素直に飲んでくれた。が、ガルドさんはさらに酒を飲もうとしている。



 すると、タリナちゃんがガルドさんに無理やり水を飲ませている。



「は〜い、ガルド先輩、ノーティング先輩に迷惑かけないで飲んでください」



「お前、ガボッ、やり、ゴボッ、すぎ……」



 ガルドさんは溺れそうな状態になっている。元衛兵なのでこれぐらいでは死なないだろうが、-恐らく-念のためタリナちゃんを押さえつける。



「大丈夫ですか?」



「だいじょ、ゴホッ、ぶだ、ゴフッ……」



「これはどういう状況だ?」



 タリナちゃんを押さえつけながらガルドさんの背をさすっていると、ボスが入ってきた。



 私たちを奇異の目で見ながらも、店長に挨拶している。



「タリナちゃんが酔ってガルドさんを溺れさせようとしてたので押さえています」



「どういう状況だ……」



 ボスは「よっこらせ」と私たちの向かい側に座る。いつのまにか私たち全員の好物である冷奴が、ボスの前に置かれている。



「先輩〜!私、そこまでしてませんよ〜」



「酔ってはいるのか?」



「はい!」



 タリナちゃんはボスの問いに、元気よく返事している。よく見たら顔が少し赤い。少し酔いが残っているみたいだ。



 ガルドさんは落ち着いたのか、新しくお酒を頼もうとしているので、力づくで止める。



「ちょっ、ノーティングストップ」



「これ以上お酒飲まないでくださいね」



「そういえばシエーラさんは?」



「死んでたよ」



 さっきタリナちゃんが言ったシエーラは組織No.4の人。予想はしていたが、亡くなっていたか。



「そんな顔するなノーティング。暗殺者らしい死に様だった」



「はい……」



 こういう時のボスは優しい。



 みんな、こういうことには私よりも一歩先をいっていて、自分は暗殺者に向いていないと感じてしまう。



「やっぱ、お前は『優しい暗殺者』だな」



「大丈夫ですか先輩?元気出してください!」



「大丈夫。タリナちゃん」



 そうはいっても、少しだけ体が震えている。昔から誰かが亡くなったらこうだ。



 この感情が恐怖なのか、それ以外の感情なのかはわからない。



「そういえば、先輩の本名ってなんですか?」



「私の本名は誰も、私も知らないよ。ボスとガルドさん以外は」



「なんでこの二人は知ってるんですか?」



「俺たちは昔からの付き合いだからな」



 正確には、ボスがガルドさんに私の本名を教えてもらっている。



 私の記憶はないが、ガルドさんは昔、出会っていたみたいだ。



「へ〜。てっきり先輩がガルド先輩のことをお兄さんみたいに思ってるからかと」



「いや、俺が衛兵だったら実際にこいつの兄だったかもしれないぞ」



「暗殺者と衛兵がなんで兄妹になるんですか」



 ガルドさんが衛兵だったとしても、私は暗殺者になっているだろうから、知り合うことはないと思うが。



「こいつはノーティングと少し特別な関係だからな。ありえん話ではない」



「ま、この話は俺が死ぬまで教えてやらねぇけどな」



「おりゃっ!」



 タリナちゃんがガルドさんに無理やりお酒を飲ませた。そんなに気になるのか。



 ボスは止めずにガルドさんよりも大量にお酒を飲んでいる。



「ま〜、今教えてもいいか」



 お酒を飲んだ時のガルドさんは口が軽くなるが、軽くなりすぎだと毎回思う。



「俺はな、ノーティングの姉と付き合ってたんだよ!な?兄になってもおかしくないだろ?」



「…………………え」



 ガルドさんが何をいったのか、理解できない。



 私に姉がいた記憶なんてないし、ガルドさんが私の姉と付き合っていた?公爵家で言った彼女さんが銀髪なのは私の姉だから?



「あいつが殺された時、ノーティングはまだ10歳だったんだよ。目の前で姉が殺されて、それから…………」



 ガルドさんはそう言って眠ってしまったが、私はその話の続きを聞いていいのか。



 タリナちゃんは眠ってしまっているので聞いていないだろう。



 ボスは少しだけ顔を顰めている。



「セリナさん………」



「ボスかコードネームで呼べ。…………これからどうするかはお前の好きにしろ。ここは私が払っておくから、早く帰れ」



 ボスはそう言って店を出て行ったが、私の目の前には好物の冷奴が置いてある。



 私は半泣きのまま冷奴を食べて、ガルドさんとタリナちゃんを店の人に任せ、帰って行った。



『私は、誰なんだろう。』



という疑問を抱えながら。

〜小ネタ〜

今回出てきたお店の名前は「青翠」と言って、お酒が美味しいお店です。明らかに日本の居酒屋ですが、この世界では結構親しまれています。支店が世界各国にあり全てがナイト・フューナーに協力しています。

今回のお店が本店です。

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