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「女生徒」 2024/04/13

著◆太宰治


 青空文庫でも読めますが、私は乙女の本棚シリーズで買いました。太宰治はこれまでに「駆け込み訴え」と「人間失格」を読みました。人間失格は明日レビューをします。


 まず「女生徒」はおすすめされて読みました。

 読んでみて思ったのが、ものすごい完成度だなあと。

 太宰治は本当に才能のある作家なのだなあと尊敬します。


 女生徒の語り口がきちんと女性らしく違和感がなく、素晴らしいです。


 私が好きだなと思ったのが、


”私たちみんなの苦しみを、ほんとに誰も知らないのだもの。いまに大人になってしまえば、私たちの苦しさ侘びしさは、可笑しなものだった、となんでもなく追憶できるようになるかも知れないのだけれど、けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を、どうして暮していったらいいのだろう。誰も教えて呉れないのだ。ほって置くよりしようのない、ハシカみたいな病気なのかしら。でも、ハシカで死ぬる人もあるし、ハシカで目のつぶれる人だってあるのだ。放って置くのは、いけないことだ。私たち、こんなに毎日、鬱々したり、かっとなったり、そのうちには、踏みはずし、うんと堕落して取りかえしのつかないからだになってしまって一生をめちゃめちゃに送る人だってあるのだ。また、ひと思いに自殺してしまう人だってあるのだ。そうなってしまってから、世の中のひとたちが、ああ、もう少し生きていたらわかることなのに、もう少し大人になったら、自然とわかって来ることなのにと、どんなに口惜しがったって、その当人にしてみれば、苦しくて苦しくて、それでも、やっとそこまで堪えて、何か世の中から聞こう聞こうと懸命に耳をすましていても、やっぱり、何かあたりさわりのない教訓を繰り返して、まあ、まあと、なだめるばかりで、私たち、いつまでも、恥ずかしいスッポカシをくっているのだ。私たちは、決して刹那主義せつなしゅぎではないけれども、あんまり遠くの山を指さして、あそこまで行けば見はらしがいい、と、それは、きっとその通りで、みじんも嘘うそのないことは、わかっているのだけれど、現在こんな烈しい腹痛を起しているのに、その腹痛に対しては、見て見ぬふりをして、ただ、さあさあ、もう少しのがまんだ、あの山の山頂まで行けば、しめたものだ、とただ、そのことばかり教えている。きっと、誰かが間違っている。わるいのは、あなただ。”


太宰治『女生徒』https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/275_13903.htmlより引用


 少女の鬱屈と、淡い夢を、上手に表現している小説だと思います。


 いつかこのような丁寧な語り口の小説を書いてみたいです。

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