接近!?
続きです☆
昨日の観覧車の中の“抱きしめ事件”後は、はっきり言って覚えていない……。
あまりに衝撃だったからだ。
それにしても王司があのように行動派だったのには驚いた。いつもは優しい紳士的雰囲気を装っているくせに後ろから抱きしめてくるとは……。それとも自分が驚き過ぎなのだろうか? イヤ、付き合っていれば普通のことなのかも……。
――そんなことを考えて、月曜日の放課後。
王司と美波は二人で、UFOキャッチャーをしていた。
「えいっ!」
美波が気に入ったぬいぐるみを狙い機械を操作する。
「よし!」
上手くぬいぐるみを掴んだ。
その瞬間、
『びよよよーん』
「「 えっ!! 」」
二人は固まる。
キャッチしたと思ったぬいぐるみが、挟み金具の上部にあるバネの弾みで落っこちてしまったのだ。
「うそー!!」
「あはははははっは」
美波はがっくり肩を落とすが、反対に王司は大うけだ。お腹に手を抱えて笑っている。
「ひどーい! なんなのこの機械……!」
「~~っくく、これは難しいね……くくっ」
王司は私の頭を「いい子いい子」して、笑いながら撫でてくれた。
「~~~~」
「O、K、……。よし、今度は僕が挑戦するよ」
「ええー、お金の無駄じゃない?」
「まあ、見てなって」
私が退けようとすると「美波はここでいいから」と言って、最初の定位置から動かしてもらえずに、王司の体にすっぽり収まった体勢になってしまった。そしてその体勢で王司の操作が始まってしまったのだ。いくら王司の体格が私より大きいから可能とは言え、すごく近くて、いかにもカップルですと言わんばかりの体勢で、恥ずかしい……。私が振り向けば唇が触れるほどの距離で、あまりに近すぎてまた胸の鼓動がどきどきと鳴り始めた。
(近い~~!!)
ふと、その時……。
「雅……」
声がした方に二人で振り向くと、王司と同じ学校の制服を着たかわいらしいふわふわ髪の女の子がこちらを見ていた。
「由紀も来てたんだ」
王司が屈んだ体勢からやっと元に戻って、自分も解放される。
「俺もいるっすよ、先輩」
ツンツン髪の、やはり同じ制服の男子が現れた。
(……あれ)
「なんだ二人で来てたのか」
「今日は部活、休みですからね……」
そう言ってこちらに目を向けてきた。
「王司先輩はデートですか……。久しぶりです、立花先輩」
(げっ!! 私の名前覚えてる)
王司があれ? といった表情でこちらを見た。
「…………久し、ぶり……かな?」
「太陽、雅の彼女と知り合いなの?」
由紀と呼ばれる少女が問う。
「前にちょっとね……」
(何!? その意味深な返答!?)
――――To be continued
読んでいただきありがとうございます。
この間やったUFOキャッチャーがまさに『びよよよーん』でした。
すごくむかついてハマってしまいました……(ー_ー)!!