活発少女
数十分で樹の根元部分についた。
根元の周りには草原が広がっている。
俺は、草原に出る一歩手前で様子をうかがっていた。するとまたもや頭に声が響く。
「早く出てきて。お家に案内するよ。」
いや、怪しすぎる。これはどういう仕組みなんだ?
頭に響く声が気になりすぎて、動かずに思考を巡らせていると、
「警戒しすぎだよ。ちゃんと説明するから。」
「思考が読み取られている?」
俺はすぐさま距離をおこうとする。
「待って待って! 姿を見せるから攻撃しないでね!」
草原の中心に光が集まりだし、それが人の形を成していく。
光が収まると、一人の活発そうな少女がそこに立っていた。
「こんにちは!」
「…」
「こんにちは!!!」
「………」
「あの、あいさつぐらい返してくれると嬉しいんだけど…。」
少女の泣きそうな声が頭に響く。
「こんにちは。」
話が進みそうにないため、挨拶を返す。すると、少女の顔に笑顔が咲いた。
「こんにちは!!!! あなたは迷子?」
「迷子ではない。」
元々家もないため、嘘は言っていない。
「じゃあ、なにしに来たの?冒険とか?」
「そんなところだ。」
嘘は言っていない。俺がそうと言えばそういう事になるのだ。
「ところで、こんな素晴らしい場所があるとはな。入れてくれてありがとうな。」
こちらから話題を振ってみる。
「えへへへ。どういたしまして。」
活発少女は頬を弛ませ、まんざらでも無さそうだ。
「こんな素敵な場所に人は滅多に来ないだろう?」
俺は、思考を挟まずに質問をした。
「うん!あ、でもさっき初めてお客さんが二人も来たんだよ!」
「そうなんだ、さっき言ってたお家にいるのか?きっといいところなんだろうな。」
「そうなの! あなたも案内してあげるね!一緒に行こう!」
「では、お言葉に甘えて。」
俺は、草むらから進み出て、活発少女に姿を見せた。
瞬間、少女の顔の血の気が引いた。
「え、何で……」
「やはり、俺を人間だと思っていたか。」
活発少女は逃げ出そうとするが、足がおぼつかない。恐怖に支配されているのだろう。俺は、すぐに活発少女を捕まえた。
「お願い、食べないで。私たぶん美味しくないから。」
少女の涙と震えが止まらない。
「おい。」
「ひうっ。 何でも…、何でもするから、痛いのは止めて。」
もはや、かわいそうになってきた。そこで提案を出す。
「ペットはほしくないか?」




