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今にも落ちてきそうな月の下で  作者: 秋辺野扉
12/14

エピソード11

「知らないだろ、僕は兎病で君を襲ったんだ」


「君を犯したんだ」


「無理矢理倒して、殴って、脅して、黙らせて」


「君を犯したんだ」


「犯された君は自分を守るためにおかしくなって」


「自分は月だって言い出したんだ」


「君は月なんかじゃない」


「君はただの女の子だ」


「友達と話して無邪気に笑う女の子だ」


「運動が得意な女の子だ」


「成績は普通の女の子だ」


「得意な科目は英語で、苦手な科目は数学の女の子だ」


「テニス部に入ってる女の子だ」


「カラオケが好きな女の子だ」


「絵はちょっと苦手な女の子だ」


「でも選択科目は美術の女の子だ」


「家族構成は両親と弟の女の子だ」


「バス通学の女の子だ」


「コンビニのハッシュドポテトが好きな女の子だ」


「将来は旅行代理店で働きたいって言ってる女の子だ」


「男に襲われて何も出来ない女の子だ」


「普通の女の子だ」


「月が落ちて来るのは君のせいじゃない」


「君のせいであるわけがない」


「君が気にする事なんてない」


「君が謝る事なんてない」


「何もない」


「何もないんだ」


「君が悪い事なんて」


「何一つない」


「ただ歩いてただけなのに」


「ただそこにいただけなのに」


「たった一人の馬鹿のせいで」


「君はおかしくなったのに」


「たった一人の馬鹿を好きになるくらい」


「おかしくなったのに」


「悪いのは僕だ」


「悪いのは僕だ」


「悪いのは僕なんだ」


「君が僕を好きになろうと」


「僕が君を好きになっちゃいけないんだ」


「絶対に」


「駄目なんだ」


「そんな資格ないんだ」


「月が落ちてこようと」


「地球に落ちようと」


「絶対に」


「僕は君を好きにならない」


「僕は君を好きになれない」

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