第十五話『マロンにゃんを助けるのにゃん!』のその②
第十五話『マロンにゃんを助けるのにゃん!』のその②
ことは急ぐのにゃ。
「ミクリにゃん!」「うん。判っているよ!」
ずぼぉっ!
ウチとミクリにゃんは一つの青き光弾とにゃって目的地へと飛ぶ。『出来るだけ速く』とにゃれば、これしかにゃい。脇目も振らず、休火山『亜矢華』へとまっしぐらにゃ。
(直ぐに行くからにゃ、マロンにゃん)
ふたり合わせた力はさすがに速い。あっという間に亜矢華が見えてきたのにゃ。『いよいよにゃ』と勢い込んにゃ矢先、一つの交信が心に届いたのにゃん。
「ミアン殿。申しわけありません。まずい事態が発生しました」
レミロにゃんに似つかわしくにゃい焦ったようにゃ声にゃ。
「まずいって、にゃにがにゃん?」
「詳しくは現地で。ミロネが教えてくれます」
胸騒ぎを覚える中、火口へと到着にゃ。穴の直ぐそばには、しゃがみ込んでいるミロネにゃんの姿が。今の今までレミロにゃんのそばに居たもんで、顔がそっくりにゃのに背丈がミーにゃんぐらいというその容姿を見た瞬間、『あれっ? ミロネにゃんの背が縮んでしまったのにゃん』と目を丸くしてしまったのは……内緒の話としとくにゃん。
「よぉっ。思ったよりも早かったな」
ずいぶんと疲れ切った様子にゃ。顔も『苦り切った』と、これまた『切った』との表現に相応しい、『行きつくところまで行った』感のある表情を浮かばせているのにゃ。
(にゃあんかミロネにゃんらしくにゃいのにゃけれども。一体どうしたのにゃろう?)
声をかけようとしたものの、『ねぇ、ミロネ君』と、ミクリにゃんのほうが先に口を開いてしまったのにゃ。
(はて? にゃんか喋り方がイラ立っているようにゃ……)
ちらり、と顔を見るに、ちょっと怒っているみたいにゃ。
「どうしてボクたちがここに来たのかは知っているんだよね?」
「ああ、知っている。レミロとの会話は全てこちらにも伝わっているからな」
「なら、どうしてこんなところで座っているのさ。友だちじゃないか。先に火口の中へ入ってくれてたって」
(ああ、にゃあるほどにゃ)
責めるようにゃミクリにゃんの口調。ウチも内心、『それもそうにゃん』とうなずいている。これに対し、ミロネにゃんが返した答えは、というと……。
「いうに及ばずさ。飛び込んだんだよ、ミクリ殿。でも……ダメだった」
首を横に振る友にゃちの姿を見て、呆然とした様子のミクリにゃん。
「ダメだったって……」
「手遅れにゃったってこと?」
レミロにゃんの交信を聴いた時から、そんにゃ気がしていた。でもにゃ。ミロネにゃんが口にしたのは、にゃんとも判りにくい一言にゃ。
「どうやら、ドジを踏んでしまったようだ」
「ドジった? どういうことにゃん?」
「実は今からほんの少し前に、また霊穴路の中へダマラをばらまいたんだ」
「ああ、それにゃら」
ウチは想い出したのにゃ。
「あそこを去る前にレミロにゃんからそのことは聴いたにゃよ」
「ボクも聴いた。でもそれはボクたちがマロン君の救助に向かうまでの時間稼ぎって奴で」
「そう。時間稼ぎの為だ。ところが……。
ふふっ。保守空間も地に落ちたもんだ。まさかこんなことに気がつかなかったとはなぁ」
自嘲気味の返事にゃ。にゃんとも気ににゃる。
「にゃあ、どういうことにゃのにゃん?」
「焦らさないで早く教えてくれよ」
もちろん、教えてくれたのにゃ。にゃんともまぁ意外で皮肉にゃ答えを。
「ヴィナ殿が放った霊力の速度を落とすのにダマラを使うのは確かに有効な手段ではある……が、しかし」
「しかし、なんなのさ?」
「それはオレたち霊体にとっても同じこと。飛び込んでみて判ったが、目的の場所に辿り着けないばかりか、ここへ戻ってくるのだってやっとのありさまなんだ」
「まさか」
「ミクリ殿。疑うなら自分でやってみればいい」
この先の展開は見え見えにゃ。『考えるより、先ずは行動を』が、ミーにゃん同盟のポリシーにゃもん。特にミーにゃんとミクリにゃんはそれを地でいく性格。当然、返事は。
「そうだね。それが手っ取り早い」
ミクリにゃんの動きは素早かった。返事のあと、直ぐに穴の中へと飛び込んにゃのにゃ。
そして……、結果は残念にゃがらミロネにゃんのいう通り。はぁはぁ、と息を切らして戻ってきたのにゃ。
「し、死ぬかと思った」
妖体とは思えにゃい言葉を吐いている。よっぽどの状況にゃったのに違いにゃい。現に地面に転がったミクリにゃんの息遣いはまにゃまにゃ荒いのにゃ。
「だろう? どうだ? ミアン殿。貴殿も試してみたら?」
「遠慮するのにゃん」
ネコ一倍『タフ』と思われていたミクリにゃんがこれにゃもの。かよわい女の子のウチには到底無理にゃ話にゃん。
「原因は霊穴路にぶつかった際のダマラの反発力だ。実は、予備テストの段階から、こちらの想定よりも強いとは感じていたんだ。しかし、ダマラの追加前まではそれが特になにかを引き起こすとも思えず、従って、あまり注意も払っていなかった。というのが、いかんせん、本当のところだ。しかしながら……、追加した直後に問題が明るみに出た」
「ほぉ」「へえぇ」
「ダマラは霊穴路とぶつかる度に少しずつ反発力を、力と速さを高めていたんだ。しかし、数が少ないうちはなにも起きなかった。ところが、だ。追加分をばらまいたことで一気に状況が変わった。霊穴路のみならず、ダマラ同士のぶつかり合いも急激に増えてしまったんだ。比例して、なんて甘いもんじゃない。相乗的にだ。結果、ダマラの粒子群全体に大きなゆれを生じさせるまでに至ってしまい、延いてはこちらの予想をはるかに上回る抵抗力が生み出されることへと繋がった」
「ほぉ」「へえぇ」
「とまぁ以上が、オレの霊覚を通して霊穴路内部を見たマザーの出した答えなんだが……、
ちょっと尋ねるが、今の説明、理解しているか?」
ウチとミクリにゃんは揃って顔を、ぶんぶん、と振り回したのにゃん。
「いんにゃ。ちんぷんかんぷん」「ボクも右に同じ」
にゃんにも判らにゃかったから、ウチは、『ほぉ』というので精一杯にゃったのにゃ。ミクリにゃんの『へぇ』もおんにゃじ。ミロネにゃんが調子こいて話をしているさにゃか、ウチらは目配せにてお互いの心を読んでいたのにゃ。
ミロネにゃんのマジメ顔が一転、満面の笑みを浮かべてうなずいたのにゃ。
「だと思った。オレもそうだから」
「あのにゃあ」
(あんたがいってどうするのにゃん?)
そう続けたかったのにゃけれども、ミロネにゃんが『判っていないな』といわんばかりに首を横に振ったもんで、にゃんにもいえにゃくにゃってしまったのにゃ。
「しょうがないだろう。オレはマザーの小難しい説明を、『まぁこういうことをいいたいのかなぁ』って自分なりに解釈して喋っているだけだ。これなら頭を最小限にしか使わずに済む。話したことが、まるっきり間違っていなければ、それで『セーフ』だ。
……ということで、ふたりとも。あらためていうまでもないが、頼むからオレ自身にそれ以上の期待はしないでくれ」
思わず、『アウトにゃあ!』と叫びたくにゃるのを、『期待はしないで』の言葉が封印。「にゃんとも鮮やかにゃ弁明にゃ」と心がうち震え、『しょうがない』の理由も、
「ウチらの期待通りにゃ」と、『納得』の二字にゃ。
(うんにゃ。にゃからミーにゃん同盟の仲間にゃのにゃん)
ミクリにゃんも考えはおんにゃじみたい。ウチらはまたまた揃って、今度は、こくり、とうなずいたのにゃん。
「オレが判っていることといえば、最初にいった通り、『ドジを踏んだ』ってことだけだ。救助の為にばらまいたダマラが逆に救助を困難にしてしまったんだから、ドジ以外の何物でもない。
かえすがえすも残念だ。事前の調査をもっと綿密にやっていればこんなことにはならなかっただろうに」
後悔の念を滲ませ、ややうつむき加減とにゃったミロネにゃんの顔。『にゃんて言葉をかけたら』と戸惑うウチの心に、
「ミロネ。それは違います!」と、いささか興奮気味にゃレミロにゃんの声が。
「にゃあ。みんにゃにも聴きたいのにゃん」
『話したことがまるっきり間違っていなければ、それで「セーフ」だ』
「これ、どう思うのにゃ?
『セーフ』にゃのか? はたまた『アウト』にゃのか?
出来れば、理由つきで頼むにゃん」
「うぅぅんとぉ。アタシは『セーフ』でいいと思うわん。
厳しいことをいって、自分がいざその立場になったとしたら大変だもの。
降りかかる火の粉は最小限にしたいわん」
「そうね。ワタシも『セーフ』でいいと思うわ。
話を出来るだけグレーにしておいたほうがね。あとで追求された時、いいわけしやすいのよ。
『こうかもしれないけど、こうでもあるのよ』って反論の余地が残っていればそれで十分。 張り合っていれば、時間もしくは忍耐に限度がきて、いずれ相手は落ちてくれるわ」
「あのにゃあ」
「アタシに期待してはダメだわん」
「ワタシに期待しちゃダメよ」
「うっ……ミロネにゃんの真似真似にゃん」




