第十三話『霊華作戦開始にゃん!』のその⑥
第十三話『霊華作戦開始にゃん!』のその⑥
「さてと。それじゃあ、ここから先は『本番でなにをするか?』の説明に入るわん。
二の一.ネコダマを火口の先っぽに乗せるわん。
二の二.ヴィナの力でマグマにかかっている霊圧を霊力へと変換してもらうわん。でもって、あらかじめ決めておいた量毎に通り道へと逃がしてもらうわん。
ええと……、そうね。本番でアタシたちがやらなきゃならないことっていったら、これくらいかも。一連の流れは次のようになると思うわん。
ヴィナが放った霊力は通り道を通過して火口へと到達。既にセットしてあるネコダマへと注入されるわん。一回分の霊力が溜め込まれたら、自動的に打ち上げられ、はるか上空にて破裂。内部の霊力は星となって四方へと飛散。暗い夜空をキャンパスに、華のような拡がりを描く。でもってそのあとは……空に満ちている霊力の一部となるわん。
二の一と二の二を繰り返すわん。マグマにかかっている霊圧が正常値になれば終了。ヴィナを元のお務めに戻すことが出来るわん。
とまぁこんな感じなんだけどぉ、やっぱ問題は準備ね。さらり、と口ではいってみたけど、難易度が高いのは判っているわん。でもやるしかないわん」
ここで議長は一呼吸。ややあって、きっ、と睨みを利かせるようにゃ感じのまなざしをこちらに向け、右手の拳を震わせにゃがら喋り出したのにゃ。
「みんなぁ、どうしてやらなければならないか判る?
ヴィナの為? それだけじゃないわん。
じゃあ、村の為? そうには違いないけど、なんか対象が漠然としすぎているわん。
ってことで、とどのつまりが……、
アタシたちみんなの為よ。これまで通りの楽しい日々をすごしていきたい。平和な日常を壊してなるもんか。だからやるの。そうよね? 違うわん?」
漲る決意に全員がうなずいたのにゃ。それを目にしたミーにゃんの嬉しそうにゃことっていったら。ちゃぶ台の上へと降り立ってから、『右手に拳を造ったまま、両足を踏ん張って』とにゃった姿にも、続けて喋った言葉にも、満足げにゃ様子が満ち溢れていたのにゃん。
「この作戦を『霊華』と名づけるわん。
さぁみんなぁ。『霊華作戦』の準備開始だわん!」
うおぅっ!
ウチら全員の拳が空へと向かって掲げられたのにゃ。作戦の始まりをそれぞれが肝に銘じた証。やり遂げようとする決意の表われにゃん。
……にゃわけで会議はまにゃまにゃ続く。
ウチはちゃぶ台の上を歩いてミロネにゃんのそばへと近づいたのにゃん。
霊力の通り道を思い当たったのは、『霊穴路』のことがウチの頭をよぎったからにゃ。以前、ミロネにゃんから聴いたことがある。にゃんでも霊力を思うがままへと進めさせられる通路にゃとか。残念にゃことに、『それぞれのアホレベルを同じにするわん』を目的として開催した、『物知り自慢大会』のさにゃかに、ぽろっ、と飛び出した話にゃもんで、詳しいことまでは判らにゃい。とまぁそんにゃわけで、実際、使いものににゃるのかどうか、ウチはあらためて尋ねてみたのにゃ。……そしたらにゃ。
「レミロに会ったんだろう?」
「うんにゃ。ミストにゃんの案内で保守空間とやらに行ってきたのにゃよ」
「オレのこともマザーのことも知っているってわけだな。
なら、喋っても構わないか……」
しばしの沈黙のあと、小さくうなずいたミロネにゃんは再び口を開いたのにゃ。
「ミアン殿。オレのいう『霊穴路』とは、マザー、観測点のスバル、そしてにゃん丸と、以上三つのいずれかを端と端に置いて、その間に造る通路だ」と前置きしたのち、
「地中ではガムラの霊力があまりにも強すぎる。造っても直ぐに壊れてしまうのが関の山。残念ながら、今回のケースには使えない」
「そんにゃあ」
言下に否定され、がっかりにゃん。それでも、
「しかし、別の方法があると思う」
「というと?」
「ミクリ殿に霊糸で霊穴路の代わりとなる配管を造ってもらうんだ。この中へヴィナ殿に霊力を送り込んでもらえば、ネコダマまで到達させることは可能だ」
「ダメだよ。それも」
話に割り込んできたと思う間もにゃく、今度はミクリにゃんがミロネにゃんの提案を一蹴にゃ。
「どうしてだ?」
「霊糸で造れるのは、かぎられた大きさなんだ。とてもじゃないが、ボクたちが必要としている長さになんか出来ないよ」
「そうか……。ダメか」
しゅん、と気落ちした感じでうつむいてしまうミロネにゃん。
(直ぐに潰されてしまう提案ばかりにゃ。これじゃあどうにも、
……ああでも、ひょっとしたら)
ウチは、ぴん、と閃いたのにゃ。
「いや、あるのにゃよ」
「へぇ。どんな?」
ミクリにゃんはいかにも半信半疑といった様子にゃ。
「ほら、マロンにゃんがさっき、大きにゃ四角錘を造ったじゃにゃいの」
「四角錘? ああ、小さなブロックを積み立てて造った」
「あれとおんにゃじことをするのにゃよ。
造れる最大の大きさのものを幾つも造って、それを」
「繋げて霊穴路代わりにする……か。なるほどね。
ふぅぅむ。それなら出来ないことはない……いや、出来るね。絶対」
ミクリにゃんが、『良く気がついたね、ミアン君』と続けたもんで、ほおをほんのりと赤らめてしまうウチ。その一方でにゃ。会話が途切れるのを見計らっていたのにゃろう。ミロネにゃんが、『ちょっといいか』と質問を始めたのにゃん。
「ミクリ殿。カーブのあるものは造れるか?」
「もちろんさ。どんな形状のものだって造れるよ」
「あとは……各ブロックの接続部分の強度は?」
「問題ないね。内側も外側も、霊穴路全ての強度を同じものに、
これ以上はない、っていうくらい、頑丈なものに仕上げられるよ」
ミロネにゃんの目が輝く。口元にも笑みを覗かせているのにゃ。
「そうか。それなら」
「決まりにゃん!」
霊穴路もにゃんとかにゃりそう。霊華作戦のめどが立ったところで議長から、
「じゃあ、誰がどんな役割を担うか決めるわん」とのお言葉。にゃもんで先ずは作戦に必要にゃ作業のピックアップ。それが終わると、それぞれの担当決めにゃ。会議の参加者ひとりひとりが、自分の希望を口にしたり、かと思えば、誰かに、『あなたはこっちをやったほうがいいんじゃない?』と勧めたり勧められたり、にゃどと、まぁ予想をはるかに上回る盛り上がりにゃん。
(これは決まらにゃいかも)
そう懸念したものの、事態の重みを認識しているのは一緒にゃ。とどのつまりが、みんにゃがみんにゃ、『これならいい』と納得出来る担当とにゃって、
「なら、これで会議は終了だわん」のミーにゃんの一声で、めでたく、お開きとにゃったのにゃん。
あれから数日後にゃ。
(いやあ、使い勝手がいいにゃあ。この文句)
真っ先に行動を起こしたのはミクリにゃん。仲間の地中ネコを引き連れ、今は休火山とにゃっている『飛鳥』の頂上へと降り立ったのにゃ。
会議で、『打ち上げにぴったしにゃ火口はどぉこにゃん?』と話し合った結果、イオラの森に一番近いここが霊華の打ち上げ場所に決まったのにゃ。
……ということで着いて早々、火口の下見が始まったのにゃん。
ウチも誘われたので一緒についていったのにゃ。実はここに来るのは初めて。いかにゃるところか、と見てみれば、風化したと思われる白っぽい熔岩石が拡がるのみ。ぼこっ、と口をとがらせたようにゃ小さな盛り上がりが一角にある。近づいてみると、たいして大っきくもにゃい穴。覗き込んでも中は真っ暗でにゃにも見えにゃい。
(もしや、火口って)
「ミクリにゃん。これじゃにゃいの?」
「他にはなさそうだね。間違いないと思うよ」
「これからどうするのにゃ?」
「決まっているじゃないか。時間もないし、直ぐに造り始めなきゃ」
「にゃんと、もう?」
(ミクリにゃんって行動力があるのにゃあ)
てきぱきと指示を繰り返し、行動を起こすさまを目の当たりにしてみると、それをつくづくと思い知らされるのにゃ。『たいしたものにゃん』と感心しにゃがら見守る中、ウチの心に霊覚交信が届いたのにゃん。
「ミアン殿、わたくしのところへ来られませんか?」
レミロにゃんにゃ。
「どうしたのにゃん?」
「あなた方が造ろうとしている霊穴路は、かなりの長さとならざるを得ません。全体を見渡すのであれば、こちらのほうが楽と思いますが」
「それもそうにゃん」
もうここでのウチの出番はにゃい、ってことで一も二もにゃく同意にゃん。
「ミクリにゃん、これを」
ウチは今の今まで首にぶら下げていたネックレス……ゼノンのペンダントつきにゃ……を渡したのにゃ。
(霊穴路がヴィナにゃんまで延びれば、当然、必要にゃものにゃ)
「案内係はミムカがやりますですよぉっ」
声のするほうに目をやればにゃ。白と黒で彩られた翅人型……今はにゃ……の友にゃちが、ぱたぱた、と飛んできたのにゃ。でもってウチらの前に立ったら、右手を額に当てての敬礼ポーズ。
(自らの志願にゃ。断わる理由もにゃい)
ミムカにゃんもそれにゃりに頼れる存在。ふたりが共同戦線を張ってくれるとは、にゃんとも心強いかぎりにゃ。にゃもんでウチが口にする言葉も当然、
「頼むにゃ」のひとことのみ。
(よぉし、これで安心にゃ)
ミクリにゃんらに別れを告げると、ウチは保守空間マザーミロネへ、レミロにゃんの元へと向かったのにゃん。
「ねぇ、ミアン。ちょっと聴きたいことがあるわん。
アタシさぁ。ネコダマのことって良く判らないんだけどぉ……、
あれってミアンが造っているのよね? 作戦に必要な仕掛けも含めてさ」
「いんにゃ。ウチが造ったのはガワにゃけにゃん。
内部のいろんにゃものはにゃ。端っから、誰かに頼むつもりにゃったんよ」
「だったら、どうしてアタシにいわないのよ。水くさいわん」
「そうよ。どうしてワタシにいわないの? 遠慮しすぎよ、ミアンちゃん」
「んにゃこといったって……。
にゃら聴くのにゃけれども、ミーにゃんは仕掛けを造れるのにゃん?」
ぷるぷる。
「うぅうん」
「イオラにゃんは?」
ぷるぷる。
「うぅうん」
「にゃと思った。…………はぁう。
と溜息を漏らして、第十三話もめでたく終了にゃん!」
「し、しまったぁ! アタシとしたことが油断したわぁん!」
「不意をつかれるなんて! ふぅ。ワタシもまだまだ『子供』ね」
「イオラにゃん。どうしてそんにゃに嬉しそうにゃ顔をしているのにゃん?」
「ふふっ。まだまだワタシも『子供』ねぇ」
「うわっ! どさくさに紛れて二度も口にしたわん!」




