第十三話『霊華作戦開始にゃん!』のその⑤
第十三話『霊華作戦開始にゃん!』のその⑤
まっ、そんにゃ心の葛藤はさておきにゃ。
ネコは移り気にゃ生き物。心変わりが早いのにゃ。当然、話を戻すのも楽勝にゃん。
「で、どうにゃのにゃん? みんにゃ。
ウチの考えに賛成してくれるのにゃん?」
しぃぃん。
誰ひとり口を利く者は居にゃい。考えあぐねている、といったところにゃろう。
構わずウチは締め括りの言葉を口にしたのにゃん。
「以上がウチの提案にゃ。もちろん、いろいろと難題があるのは百も承知にゃよ。でもにゃ。にゃんとか工夫をこらせば可能にゃのでは? とも思っているのにゃん」
話を聴いている誰もが、隣同士で顔を見合わせているのにゃ。ほとんどの顔が、どうしようか、とためらっている風に見てとれるのにゃん。
(決断を促さにゃくては)
ぽんぽん!
ウチはちゃぶ台を肉球で叩くと、思いの丈をぶちまけたのにゃん。
「今、村が直面している『落下』の危機。これを回避したいと望んでいるのは、みんにゃもおんにゃじはずにゃ。もちろん、いろいろと情報を集めて、じっくりと考えれば、にゃにかもっといい方法を思いつかにゃいともかぎらにゃい。でもにゃ、あれもこれもと時間をかければかけるほど、回避が困難とにゃってくるのは、危機が現実のものとにゃってくるのは目に見えているのにゃ。
マグマに溜まった霊圧を開放するのも、その手段も、あるいは、ベストにゃ方法ではにゃいのかもしれにゃい。でもにゃ。ベターではあると思うのにゃ。今の時点であれば、それで十分。にゃもんで、ウチとしてはこの案を強く押したいのにゃ。
実行に移したいのにゃん!
そして……やるとにゃれば、早急ににゃ。ぐずぐずしてはいられにゃいのにゃん!」
ふぅ、とウチは息を漏らしたのにゃ。『いいたいことは全ていったにゃあ』という安堵の気持ちがそうさせたのにゃ。
(にゃんらかの反応があるにゃろう)
期待して口を噤むことに。賛成か反対か、固唾を呑んで見守ったのにゃ。
『どうする?』『どうしようか?』にゃどの声が飛び交う中、しばらくしてから、こちらへの返事、と思しき一つの声が聞こえてきたのにゃ。
「霊力の通り道か。面白そうだな、それって」
ミロネにゃんの発言にゃ。正体を知った今とにゃっては、重みを感じる言葉にゃん。
(ひょっとすると、造れる可能性があるのかも)
これを皮切りににゃ。『良い考えだわ』『やってみましょうよ』にゃどの声が続く。
(どうやら、みんにゃ賛同してくれるみたいにゃ)
期待に胸……実体波のにゃ……が弾む。ところがにゃ。予想外のことが起きてしまうのにゃん。
「待ったぁ、だわん!」
突如、親友が手を上げたのにゃん。
(ま、まさかにゃん。ここまできて、しかも、ミーにゃんにとめられるにゃんて)
「ど、どうしたのにゃ? ミーにゃん」
半ば恐る恐るみたいにゃ感じで尋ねたウチの言葉に、
「これは最重要案件だわん。
となると当然、決めるのは他の誰でもない、議長のアタシじゃなくちゃいけないわん。決定はアタシに一任すべきだわん」
ウチは、ほっ、としたのにゃ。
(どうやら反対ではにゃいようにゃん)
「それは違うぞ、ミーナ」
(おや?)
クレームをつけたのは思いがけずのミロネにゃん。他の翅人型がちゃぶ台の上に斜め膝で座っているのに対し、ミロネにゃんはどこからか運んできた石を椅子代わりにしているのにゃ。にゃもんで今みたいに、『両腕の肘をちゃぶ台の上に乗せ、絡ませた両手をあごに当てて』といった格好が可能にゃのにゃ。
まっ、それはともかくとしてにゃ。議長を睨んでいる視線は真剣そのものにゃん。
「議長は会議の進行を促すのが務め。決定を下すのはオレたちみんなだ。
最重要案件というなら尚更だ」
「…………」
声を一言も発しにゃいミーにゃん。いい返す言葉が見つからにゃいのにゃろう。それを知ってか知らずか、ミロネにゃんはそのまま言葉を続けたのにゃ。
「ここに居るのは議長を除けば六人。三対三に意見が分かれて初めて議長決裁となり得る、と思うが、違うか?」
(うんにゃ。至極もっともにゃ意見……にゃのにゃけれども)
ミーにゃんをそっと一瞥してみたのにゃ。
(やっぱりにゃん)
ウチの目に映ったのは、むっ、とした顔で黙り込む姿。反論の余地がにゃい言葉で抑え込まれたのが、よっぽど気に食わにゃかったとみえる。
(格好がつかにゃいのにゃ。とにゃると、ここはウチが出るしかにゃいにゃろうにゃあ)
「とにかくにゃ。ことは急ぐ。ミーにゃん。決められることは早急に決めるのにゃ」
「…………」
口をとがらしたままにゃ。うんともすんともいわにゃい。
(んもう。ミーにゃんったらぁ)
ウチは更に畳みかけたのにゃ。
「にゃあ、ミーにゃん!」
語気をちぃとばかし強めにしたのが利いたのにゃろう。やっと、
「…………うん。判ったわん」
(ほっ)
ミーにゃんにも、『村の一大事』ってことは良ぉく判っているのにゃ。不承不承にゃ感じではあるものの、やっとうなずいてくれたのにゃ。
「みんなぁ! 注目ぅっ!」
ウチの親友もまた気持ちの切り替えが早いのにゃ。さっそうと壇上、いや、ちゃぶ台の上に立つ。議長風を満々と吹かせての登場にゃん。
「一つずつ決めていくわん。先ずは、と。
『ヴィナを自由の身にしてあげる』ことね。村が傾きつつある今、早急に手を打つ必要があるわん。これに賛成であれば手を上げるわん」
『はぁい』『そりゃそうよね』にゃどの声とともに、全員が同意したのにゃ。
「でもって手段としては、
『マグマにかかっている霊圧を下げる』
どう? これで押し進めて構わないわん?」
これまた『いいよ』と全員が賛成に回ってくれたのにゃ。
「あとは……具体的にどうやるか、ね。
さっきのミアンの案も含めて、みんなであらためて話し合おうわん」
こうして、かんかんがくがく、のお喋り、いや本命の会議が始まったのにゃん。
それから……数時間後にゃ。
(便利にゃにゃあ。このいい方。これにゃけでお話が吹っ飛ばせるのにゃもん)
「よぉし、まとまったわん!」
不思議にゃことに本当にこの面子でまとまってしまったのにゃん。ウチにゃけじゃにゃい。友にゃちのほとんどが不思議そうにゃ顔を露わにして、それぞれの顔を眺め回しているのにゃ。
(アホばっかりにゃのに。いや、アホばっかりにゃからこそ、まとまったのかも)
ほとんど、というのは、中には当然といった顔をしている者も居るのにゃ。……にゃあんて回りくどいいい方をしにゃくても、ミーにゃん同盟の面子でこれに該当するのはひとりしかいにゃい。いわずとしれたウチの親友、議長のミーにゃんにゃ。最初から、『アタシたちなんだから、決まらないはずがないわん』というにゃんの根拠もにゃい強い信念の元、議事進行を続けたのにゃ。『さすがはウチの親友にゃ』とあらためて惚れ直してしまった次第にゃん。
ミーにゃんはやや透き通った身体に。翅人型が翅を使わにゃいで宙に浮いたままの姿勢を保とうとするにゃら、霊体本来の身体へと近づけるにかぎるのにゃん。
「念の為、決まったことをいうわん」
ミーにゃんは後ろを振り返ると、霊力板に書かれた内容を読み上げたのにゃ。
霊力板とは地中で見たキャンパスとおんにゃじものにゃ。目の前にあるのは長四角にゃ形で、宙にぶらりんこと浮かんでいる。造ったのはもちろん、ミクリにゃん。『ドロウ』も教えてくれたおかげで、それをヒントにミーにゃん同盟のみんにゃが自分の指を使って文字を書けるようににゃったのにゃ。
(持つべきものは友にゃちにゃん)
どうして字が書けるかといえばにゃ。先生に教わったからにゃ。先生とは、『彼女はね。ワタシの妹といってもいい大切な存在なの。だから、みんなもよろしくね』とイオラにゃんに紹介された精霊のこと。時たま遊びの広場にて森の学校を開くもんで、ウチらも生徒とにゃって学んにゃ。とまぁこういった次第にゃん。
ついでにゃがら……、先生はにゃ。『大変良いご返事です』が口癖の、一見、つんとお澄ましさん、にゃのにゃけれども、ウチら生徒とは、とぉっても仲が良いのにゃ。というのも実はにゃ。先生がここへ来たのも、森の学校を開いたのも、イオラにゃんに無理矢理頼まれたからにゃ。これはイオラにゃん自身が暴露したから間違いにゃい。にゃもんで、『それはそれは。ウチらのイオラにゃんが大変済まにゃいことをしたにゃあ』『本当、申しわけないことをしたわん。アタシからもお詫びするわん』とウチとミーにゃんでかわるがわる謝ったらにゃ。痛く感激したみたいで、以来、交流が続いているのにゃ。にゃんの精霊かは先生もイオラにゃんも喋ってはくれにゃいのけれども、名前は聴いているもんで、生徒の誰もが、おおよその見当はつけているのにゃ。
先生の名前は……おぉっ、と、いけにゃい!
またもや話がいつの間にか、横道にそれてしまっていたのにゃあん。
文字自体が緑色に輝いているもんで、わざわざ読まにゃくても一目瞭然にゃのにゃけれども、そこはそれ。議長のプライドにゃのにゃん。にゃもんで聴いてあげるのにゃん。
「先ずは準備からいくわん。
概ね、次の通りよ。
一の一.霊力の通り道を造るわん。マグマの異常流動地帯……つまり、ヴィナが居るところから、一番近くの火口……今は休火山のね。そこまでを繋ぐわん。
一の二.ネコダマを造るわん。送られてきた霊力を溜め込んで、上空にて放つ。そんな仕組みのものを造るわん。
……ああでもこれって……」
しげしげと霊力板を見つめるミーにゃん。
「決めてからいうのもどうかとは思うんだけど、結構大変なんじゃないかなぁ」
がやがやがや。がやがやがや。
仲間うちから聞こえてくる、『今頃、判ったの? 信じられない子だわ』『信じられませんですぅっ』『信じる者は救われます』『信じられないよねぇ』『いや、アリにゃよ』『諦めろ。これがミーナ殿だ』にゃどの声をあたかも雑音であるかの如くあっさりと切り捨て、議長は言葉を続けたのにゃん。
「ミアンちゃんの意地悪ぅっ」
「意地悪? はて? ウチ、イオラにゃんににゃにかしたのにゃん?」
「ミアン。イオラがいっているのはね。お話の中に出てきた『先生』のことよ」
「どうして名前をいわないの? ちゃんといってあげてよ」
「名前にゃけをいってもにゃあ。
今のところ、どのお話にも出番がにゃいんよ。にゃのに……ふぅ……。
にゃあんか肩すかしを食らわしているみたいでにゃあ」
「なるほどね。ミアンの気持ちは判るわん」
「出番がちゃんと決まってから秘密のベールをはがす……ね。
確かにそのほうがいいかもしれないわ。
でもそこまで考えてくれていたなんて……。
ミアンちゃん。意地悪呼ばわりしてごめんなさいね」
「別に謝らにゃくたって。にゃんとも思っていにゃいにゃ。
ウチにゃって早くいいたいのにゃよ。……でも今はにゃ」
「うんうん」
「もういいわ。ミアンちゃんの優しい気持ちは良ぉく判ったもの」
「もっとも……」
ちらりっ。
「イオラにゃんがにゃにか考えてくれるのにゃら……」
びゅぅぅん!
「あっ、逃げたわん!」




