第十二話『やっと逢えたのヴィーナスにゃん!』のその①
第十二話『やっと逢えたのヴィーナスにゃん!』のその①
ウチらは今、マグマの中にゃ。霊力場の嵐の中をたにゃひたすら泳いでいるのにゃん。
マグマ。溶岩流の赤っぽい光と黄色っぽい光が織り成すグラデーションに、思わず、はっ、と息を呑むのはウチにゃけではにゃいはず。その刻々と変わりゆくさまが、まるで踊り合ってでもいるようで、これまたにゃんとも色鮮やかにゃのにゃ。
霊力場。折れ線状に、中には枝別れもしつつ降り注ぐ無数の白光がウチらを脅かす。でも大丈夫にゃ。五つの宝玉が放つ霊波の防壁に守られ、たにゃ一つの霊力線も当たることはにゃい。
「ミアン。ほら、向こうを。光が見えますですよ」
「本当にゃあ」
宝玉から放たれている光の先には瑠璃色の輝きが。
「レミロにゃん!」
思わず友にゃち……といってもいいと思うのにゃ……の名を。心からの叫びは意識をせずとも霊覚交信とにゃる。とはいってもにゃ。応答するかはどうかは相手次第。レミロにゃんは期待を裏切らにゃい。間髪容れずに返事が届くところにゃんか心憎いばかりにゃん。
「間違いありません。あなた方は辿り着かれたのです。ヴィーナス殿のところへ」
(やっぱり、あれがそうにゃの)
ほっ、と、ひと息つきたいところにゃのにゃけれども、それは無事に帰れるまでお預けにゃ。
(今は気を引き締めてかからにゃいと)
そう自分を戒めるウチが居たのにゃん。
ウチやミーにゃんのみにゃらず、ミーにゃん同盟の誰もが生活拠点としている『イオラの森』はにゃ。『天空の村』と呼ばれる浮遊島の中にある森の一つにゃん。でもってヴィーナスにゃんは『天空の村』そのものに宿りし精霊。いわば島全体が自分の身体にゃ。にゃもんで普通に考えれば、もっと簡単に見つけられそうにゃもの。こちらが村のどこに居たとしてもにゃ。『おぉい』と声をかければ、にゃにかしらの返事をもらえて然るべき、と思うのにゃけれども……、現実はそう甘くはにゃかった。宝玉集めから始まって、やっとの思いでゴールにゃ。瑠璃色に輝くヴィーナスにゃんの核が、今ウチらの目の前に。
(思えば長い道のりにゃったにゃあ。ネコが挑むにしては本当、長い道のりにゃった)
感慨に耽るウチ。これまでの出来事がまるで走馬灯のように……とまでいかにゃかった。突如、にゃんの前触れもにゃく心に声が届いたのにゃん。
「ヴィナ以外にこのようなところへ来る物好きが居たとは。
見ればネコ型と翅人型の妖体のようだが、一体お主らは……うん?」
言葉が途切れた、と思ったら、光に照らされる範囲も縮小。まるでウチにゃけを凝視している、といった感じにゃ。
「これは……そうか。お主はイオラ様の命の欠片をお持ちか。額の紋様からしてニャムネの信用もあるとみえる。となれば……、身がネコ型妖体であろうと、鼻であしらうなどの無作法は出来ぬな。
よろしい。しからば相手をしよう」
(鼻があるのにゃん?)
素朴にゃ疑問が湧くものの、警戒心は、どうやら解いてくれたみたいにゃ。
「首にかかっているのは……、やはり、ゼノンか。宝玉も全て収められている。
なるほど。ここへ来られても、なんら不思議ではない」
どうやら、ウチのチェックは終わったみたいにゃ。また光が拡がったのにゃん。
(にゃら、今度はこっちの番にゃ)
そう思って相手の確認をしようした、まさにその時にゃ。ウチの心にさざ波をおっ立てる発言が向こうから送られてきたのにゃ。
「大儀であった。よくぞ絶世の美女たる、ヴィナのところへ」
ぴくっ。
一瞬、こめかみが引きつる思い。でもにゃ。今はそんにゃものに構っている場合じゃにゃい。
「あんたがヴィーナスにゃん?」
「村が傾いているのに、こんなところでなにをしていますですかぁ?」
矢継ぎ早に問いかけるウチら。『目尻の上がった、大きにゃ切れ長の両目』みたいにゃ形をした光が視線の先にはあるのにゃ。
「そう急くではない。質問は一問一答にて願いたい」
にゃら、と先ずはウチが話しかけたのにゃ。
「あんたがヴィーナスにゃん?」
「いかにも。ヴィナと呼んでも良いぞ」
続けてミムカにゃんも。
「それなら、ヴィナ様。
村が傾いているのに、こんなところでなにをしていますですかぁ?」
「むろん、存じておる。しかしながら、どうすることも出来ぬ。
ヴィナは今、囚われの身も同然なのだから」
「囚われの身? 一体誰にでありますですかぁ?」
「このマグマに」
ヴィナにゃんの話に依るとにゃ。地霊ガムラ……神霊とも呼ばれているのにゃ……の霊圧が極端に高まる時が五千年周期ごとに来るというのにゃ。それは地殻変動を大っきくし、延いてはマグマを活発化させる。これまでは近くの火山を何度か噴火させるにゃけでことにゃきを得ていたらしいのにゃけれども、今回は規模がでかすぎるとのこと。このままいけば、休火山を含む全ての火山が連鎖反応に依る噴火を引き起こし、とめどもにゃくマグマが噴出する恐れがあると危惧しているようにゃ。想像を絶する惨事を天空の村に引き起こしかねにゃい事態らしいのにゃん。
「そうなれば、天空の村は惑星ウォーレスの大地に戻ることもなく、邪悪なる雲海に没する運命を辿るであろう。だが、それは断じてあってはならぬ。ゆえにヴィナは」
マグマにかかっている霊圧を霊力として開放することにしたのにゃという。でもにゃ。たにゃでさえ強烈にゃ霊力場の渦中。そのまま放てば返ってマグマの霊圧を大っきくするにゃけ。そこで少しずつ少しずつ上の地層へと解き放っているのにゃ。霊力は地層から地表へと上昇。そして地表から……空に満ちている霊力の仲間入りにゃ。
「霊圧が通常レベルに戻るまでは、ここからは離れられず。かといって、肝心の天空の村を支えるお務めをいつまでもおろそかにしておくわけにもいかず。
……ということで、動こうにも動けず、途方に暮れているといった次第だ。
お主らがいうように、村が傾きつつあるのは百も承知。しかし、このままでは」
「なるほどぉ。そういうことだったのでありますかぁ」
ミムカにゃんはウチを振り向く。
「ミアン。なにか良い方法はありませんですかぁ?」
ウチの目に映るは、『?(はてな)』ばかりが頭の上に浮かんでいて、にゃんにも考えていにゃさそうにゃネコ顔一つ。
(あるわけにゃいにゃろう。
大体にゃあ、『良い方法は?』にゃんてネコに聴くこと自体、間違っているのにゃん)
にゃんて、ぶちまけたいところにゃ。しかしにゃがら、考えるしかにゃい立場に身を置いているのもまた事実にゃ。
(どうすればいいのにゃん?)
ウチはネコ頭にゃがらも、あれこれと考え始めたのにゃん。
「待望の第十二話が始まってしまったのにゃああん!」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「しかもにゃん!
これまた待望の、ヴィーナスにゃんこと、ヴィナにゃんのおでましにゃあ!」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「おおっ! いつににゃい盛り上がりようにゃん!
ミーにゃんとイオラにゃんの拍手もいつににゃく冴えに冴え渡っているのにゃあん!」
「まっ、それはそうかもしれないわん。
なんといっても、今の今まで謎のベールに包まれていた大精霊様のおでましだもんね。
いやがうえにも盛り上がるってもんよ」
「にゃんといっても六大精霊のひとり。やっぱ、大精霊様には敵わないのにゃあん」
「当ったり前よ。相手が相手だもの。
アタシたちが幾らここで気勢を上げたとしても、歯牙にもかけてくれっこないわん。
ねっ、イオラ」
「ええと……、ワタシも一応、六大精霊のひとりなんだけれど……」
「ふにゃ!」
「きゃ!」
「でもって大精霊様なんだけれど……」
「そうにゃった……」
「あんまりにも身近すぎて忘れていたわん……」




