後日談 やっぱりついた嘘
ただ、2人の休暇を書きたいだけでした!
「う·····ん·····」
──愛しい声だ。
しかも悩ましくて、艶っぽく刺激される。
木製のベッドで、パッチワークのキルティングをかけられた布団にくるまれ、俺と向かい合って目を閉じている女神。
澄んだ空気、薄曇りの空から太陽の光が少し部屋に届く。イギリスらしい天気だ。
結婚1周年のお祝いに、挙式をしたコッツウォルズを訪れている。
1週間どこにも行かず、コッツウォルズのみだ。
ココがこの町をとても気に入っているから、挙式の後、昔の貴族が持っていた、小さな別荘を購入した。
ココはとても驚いていたけど、とても喜んでくれた。
───幸せだ。
まるでおとぎ話の世界の2人のような気分だ。
安らかな寝息を立てて笑みを浮かべてる。
1年経っても愛しさは変わらない。
いや、増し増しだ。
しっかりかっこよく仕事をこなすココ。
でも、仕事を離れるとよく忘れたり間違ったり、何より甘えたになるココ。
彼女の中には2人いるんじゃないかと思うぐらい、オンオフが違う。
もちろんどちらのココも、可愛いし愛している。
いや、そんなココだから愛しすぎる。
仕事中は決して見せない姿は、プライベートでは見られて、甘えてくれるココはもうたまらない。
だから、理性がよく飛ぶ。仕方ないと思う。
男だし。
カサ·····
少し動き始めた。もう目覚めるんだな。
そっと目元にキスを落とす。
やがてゆっくり瞼を開け、俺を視界に入れる。
「あ·····おはよう」
「おはよう」
いつも目を覚ました時は、少し恥ずかしそうに挨拶する。
これもたまらん。
だからすぐキスしてしまう。
「ふふ·····」
「ん、·····もう少し寝る?起きる?」
「んー·····もったいないから起きる」
「モーニング行く?」
「行く!」
可愛い。
ここに来て3日目、毎日モーニングにカフェを利用している。
自分たちで見つけたところだ。
毎日違うところに行く。
「じゃあ、行く前に·····」
「あ·····」
ココを抱き寄せる。
頭に鼻をつけてココを感じる。そうして額、鼻、頬、首筋と順番に口付ける。
「ん·····」
·····今日もモーニングはブランチになるだろう。
毎日手を繋いで指を絡め、色んな道をゆっくり散策して、途中で何度もキスをする。
雑貨屋さんやカフェを見つけて入る。
日本で英国風カフェを営んでるから、お店で使うためのもの、新しいメニューや味の吟味も目的でもある。
ココは人と話すのが好きだし、好かれるからカフェの人たちともすぐ仲良くなって、作り方など教えてもらってる。
挙式の後、1週間新婚旅行でここに滞在し、その時縁を繋いで、1年ぶりに訪れてもみんな喜んで歓迎してくれ、昔からの友達や家族のようだ。
ココはみんなと話していても、俺にも話を振ってくれ、ちゃんと輪の中に入れてくれる。
だからほったらかしにはされていない。
ただ·····2人っきりになれない。
イチャイチャできない。
だから、みんなと別れの挨拶をしてお店を出ると、すぐに手を取り、恋人繋ぎをして、誰もいないところで引き寄せてキスをする。誰かがいると、ココは恥ずかしがってしてくれない。
今日はあと1件、日用品のお店を見て、また近くのカフェで休憩して、別荘に戻る。
戻ったらもう離さない。
そんな思いを抱いていることは、ココは知らないだろう。
顔を離して、俺の顔を見上げ、少し頬を赤らめながら、
「·····いつも大切にしてくれてありがとう。大好きよ」
「·····愛してる··········あ·····」
今日も女神降臨。
早く家に帰りたくなり、鍵をかけ忘れたかもと嘘をついてしまった。
ごめんココ。
楽しいコッツウォルズでの街巡り。
今日もう1軒行ってカフェに寄る予定が、逸樹が鍵をかけ忘れたかもと言った。
もう·····嘘はつかないって言ってたのに。
もう1軒とカフェ行きたかったけれど仕方がない。だって逸樹が望んでるから。
そして私もそうしたいと思ったから。
嘘に気づかないふりをして·····
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