表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/33

群サイ

冬の足音が近くなって来た。

みなかみ町は、まもなく初雪だろう。

まぁまぁな厚着をした三条神流は、松田彩香と一緒に、群馬サイクルスポーツセンターを目指す。

小岩剣も向かっているはずだ。

現に今、三条神流に小岩剣から、「高速道路降りました。」と、連絡が入った。

集合時間から見て、小岩剣は関越自動車道で群馬まで来た。ETCカードをまだ作っておらず、一般レーンで少々割高な高速料金を払って、初めて来たみなかみ町を走る。

「群サイって何かと思ったけど、まさかサイクリングロードをサーキットにするとは驚きだ。」

と、小岩剣はつぶやく。

周りを見ると、自分と同じ場所へ向かうのであろう、スポーツカーの姿。

その時、先行している加賀美から、「このコンビニで待っている。念の為ガソリンは満タンにしといてね。」と連絡。

燃料は一応サービスエリアで、ある程度積載したから問題は無い。

言われたコンビニに着くと、多数のスポーツカーの合間を縫って、加賀美のN-ONEの隣りに停めた。

「おはよう」と、加賀美は微笑む。

「えと、今日はよろしくお願いします。」

「そんなに硬くならないで。リラックスして行こ?朝メシ買ったら行くよ。」

と促され、小岩剣が朝食にスティックパンとお茶と僅かな菓子を買って、自分のN-ONEに戻ると、加賀美は日奈子と恵令奈と何か話していた。どうやら、加賀美の反対隣りに居たらしい。

「おはようございます」と挨拶しようとした時、後ろから小岩剣の前に誰かが回り込み、小岩剣のことをじっと見つめる。

幼い印象のある顔立ちに前髪パッツンの髪は暗灰色寄りの髪と言う容姿の女の子。

「わぁ。咲さんや日奈子から聞いていたけど、一目惚れしちゃった!N-ONEだから、君のことは、ワンコ君でいいかな!?私は東郷玲愛。よろしくね!ワンコ君!」

小岩剣、いきなりで他白いだ。

「ごめんごめん。玲愛レイアは好みの子見つけると、飛び付いちゃうことあるのよ。でも今日の玲愛はマジで一目惚れよ。」

日奈子が詫びる。

「あっおはようございます。えっと、今日はよろしくお願いします。」

「硬いなぁ〜肩の力抜いて!」

日奈子にまで硬いと言われる。

玲愛は小岩剣の周りをクルクルしながら、ジーッと視線をぶつけてくる。まるでターゲットロックオンという感じだ。

その合間を縫うように、小岩剣は三条神流の姿を探すが見当たらず、コンビニを出発する。

少し走って、群馬サイクルスポーツセンターに到着すると、既に三条神流と松田彩香、それに、霧降達の姿があった。

(もう着いていたのか。)と、小岩剣は思いながら「おはようございます」と挨拶。

「おはよう。まったく。馬鹿みたいに早く来なくても良かったのに。」

と、三条神流は言う。

「あの、横乗り、よろしくお願いします。」

小岩剣は三条神流に、事前に横乗りをお願いしていた。しかし、

「ねっ!その後、私と一緒に走ろう!私、追走するね!」

と、玲愛。

小岩剣は困惑した。なぜなら、オフ会枠で参加している上、同乗する事は想定していたが、自分が走る事など想定していないからだ。いくら素人でも、同じN-ONEながら、レースに出るための装備を整えている加賀美のN-ONEと、自分のN-ONEを見比べれば、明らかに危険な事は目に見えて分かる。

まして、ロクに峠を攻めた事のない小岩剣が、いきなり、峠道をそのままサーキットにしたような群サイで、ロクな装備も無いままスポーツ走行をするなど、事故を起こすに決まっている。

小岩剣は必死になって止める。

だが、

「もう話はつけてるよ」と、誰かが言った。

日奈子かと思った。

だが、やったのは加賀美と松田彩香と三条神流だった。

「横乗りすると、走りたくなるものよ。」

と、加賀美は言う。

「俺達だって、危ねぇって事は分かっている。」と、三条神流は前置きした上で、

「サンボルを走っただろう?その時の走り方をアヤが記録して、それを加賀美に見せた上、事前に、主催のプロのラリードライバーに見てもらった上で、OKと言うことでの判断だ。」

「ー。」

「当然、いきなりはやらない。まず、加賀美のN-ONEで横乗り、その後、加賀美がお前のN-ONEで見本を見せた後、加賀美が助手席に乗り、最終的に判断する。」

三条神流は言いながら、予備のヘルメットとグローブを押し付ける。

「ー。」

「私も見たよ。その上で、言ったの。私だってレーシングドライバーよ。それも国際ライセンス持ちの。レーシングドライバーとして、危ない事はさせない。サンボルの記録映像を見た上で、大丈夫だって判断して言ったの。」

玲愛は上目遣いで見つめて言う。

「むしろ、ここなら対向車はまず来ないし、変なアンポンポロピーヤも居ないから、返って安全に峠を走れるかもしれんぞ。何しろ、合法の峠だからなぁ。」

と、霧降。

「ー。分かりました。やってみます。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ