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ドラゴンアヴェンジャー  作者: PIAS
第22章 ラテニア侵攻 前編

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第804話 2班編成


「お、おおおおぉぉぉ……っ!!」


 レイミーの口から驚きの声が漏れる。

 【解呪】や【散呪の燐光】を使用された時も、それなりの反応を見せていたレイミーではあったが、今回のは極めつけといった感じだった。

 魔力や生命力とはまた違う、自分の体内に埋め込まれた黒い何かが消滅していく感覚がハッキリ得られたのだ。


「これは……これならっ! 【魔力の壁】」


 明らかに効果があると思ったレイミーは、試しに魔術を発動させてみる。

 すると呪いに阻害される事なく、以前と同じように魔術の発動に成功した。


「うむ……うむっ! 魔術が使えるぞ!」


「クラスⅩの魔術でも治せないとなったら、相当厄介な呪いってことになってたからな。解呪出来てよかったぜ」


「エイジ様! 今のはクラスⅩの魔術なのですか!?」


「ああ。以前回復魔術で解呪って発掘しただろ。あれの上位版だ」


「なんとっ、回復魔術をクラスⅩまで使えるようになったというのか!」


 影治のクラスⅩ回復魔術修得に、すでに慣れている仲間達よりレイミーの方が驚きの度合いは大きい。

 ただでさえ使い手の少ない回復魔術なので、レイミーとしてはクラスⅨの回復魔術師ですら影治以外に見た事がなかった。


「これでお前も暴れられるだろ」


「もちろんじゃ! ワシもエイジ達についていっても構わぬか?」


「俺等についてくるってのか? だが四魔君主のお前がそう身軽に動くとマズイんじゃ……」


「既に優秀な奴らはヴェリアスと共に出ておるし、今の状態で外に兵を率いて出るのも難しい。ならば少数精鋭のお主らについていくのが一番じゃ。ワシも水魔術をクラスⅩまで使えるので、役に立つぞ」


 現在ヴロブリックには兵が集まってきてはいるが、まだろくに部隊の編制も終わってないような状態だ。

 また村人や市民から徴兵もしているので、質も高いとは言えない。


「水魔術か……、分かった。じゃあ俺と一緒に騎兵部隊の殲滅に同行してもらおう。ゾボロに向かう組はいつも通り、リュシェルをリーダーに任せる」


「はい、分かりました」


「これで方針は決まった。ろくに休憩も挟んでねえが、時間が限られてるからすぐに出発する」


 やることが決まると、早速影治達は動き出す。

 レイミーもヴェリアスの増援に向かう為、街を離れる事を部下に告げると、少し遅れて街の北西にある門にやってきた。


 街道を無視して西に向かうリュシェル班は、ドラゴンベースを。

 このまま街道を進んで騎兵部隊の殲滅に向かう影治達は、収納魔導具(アイテムボックス)に収納していた予備の専用車両で移動する。


 ただ巨体のレイミーはそのままでは乗れないので、遅れてレイミーが来るまでの間に影治が突貫工事で手を加えた。

 まずは6畳分くらいの板を用意する。

 これは材木に錬金魔術の【形状変化】を使用する事で、接着剤を使用せずに合板のような板に成形が可能だ。


 更に【素材硬化】で強度を増した後に、【強化浮遊】の付与を施す。

 後は板と魔導車の後部とを鎖でつなげば、荷台を曳くようにして移動できるはずだ。


「こ、これに乗るのか?」


「仕方ねえだろ。やっつけ仕事だが、問題は多分ねえはずだ」


「多分というのが不安なのじゃが……」


「いいからさっさと乗って起動させろ。そうすりゃあお前の意志通りに移動や高さ調節は出来るから」


 にょろにょろと体を板の上に乗せたレイミーが、魔力を通すと強化浮遊の効果が発動し、板ごと宙に浮かび上がる。

 その状態の板と、魔導車とを鎖で繋ぐ。

 念のため3本も繋いだので、そうそう外れることもないだろう。


「ううむ……」


 一応準備は整ったのだが、ふわりと浮かぶ荷台部分を見て影治が少し悩む。

 果たしてこれで本当に上手くいくのかどうか……を。


「……まあ、大丈夫だろ。レイミー、そいつは強化浮遊が発動中だから、常にけん引している魔導車の動きに合わせて、そっちも調整してくれ」


 【浮遊】や【強化浮遊】は対象を浮遊させ、微速ながら移動も可能にさせる魔術だ。

 その微速移動効果は、カーブなどで発生した遠心力をある程度押しとどめてくれるし、地面との間を水平に保つ効果もあるので、板がひっくり返る事もない。


「言葉の端々が不安になるのじゃが……」


「ダメそうだったら別の方法にする。それより、リュシェル達はもう出発しちまったし、俺達もさっさと出るぞ!」


 そう言って予備の魔導車で街道に飛び出す影治達。

 初めの慣れない内は、けん引している後部板の上からギャーギャー騒ぐ声が聞こえてきたが、振り落とされたり鎖が外れる事もなくレイミーごと引っ張る事が出来ていたので、そのまま影治達は街道をひた進むのだった。












◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 一方、影治達がドタバタしている間に、一足先にドラゴンベースで移動を開始したリュシェル達は、道なき道を進んでいた。

 道なき道といっても、整備された道がないだけの平原が広がっているので、そこまで移動に難儀する地形でもない。

 一番の問題といえば、魔物が蔓延っていることなのだが……。


「右手前方にトラっぽい魔物発見! こっちに近づいてきてんぜ」


「牽制攻撃をお願いします。仕留める必要はありません。足を止められれば結構です」


「りょーかい!」


 これまでは街道沿いを移動する事が多かったので、ドラゴンベースに乗ったまま戦闘をした回数は少ない。

 魔物や盗賊に襲われたとしても、そのまま無視して突っ走ってしまえば、追いつかれる事もなかった。


 だが人の手の入っていない場所では魔物の数も多く、360度どこから襲われるか分からない。

 そこでリュシェル達は珍しく戦闘態勢のまま、移動を続けていた。


 余り利用する機会はなかったが、ドラゴンベースの屋根上部分にはちょっとしたスペースがあり、そこには戦闘用の魔導具などが据え付けてある。

 また直接屋根の上に立ったまま魔術や弓などでも攻撃が可能で、今もヨイチがエカテリーナの発見したトラの魔物に矢を放っている所だった。

 運転席とも伝声の魔導具で会話可能で、今はエカテリーナとヨイチ。それからティアが屋根上で周囲の警戒と魔物への対応を行っている。


「ひゅ~、相変わらずやるねえ」


「弓なら任せてくれよ」


 ヨイチの放った矢は、見事トラの魔物の眉間を貫いている。

 足止めどころか、たった一矢でトラの魔物は息の根を止められていた。

 選神碑に名を連ね、弓士ランキングでも5位にランクインしているだけはある。


 会話をしながらも周囲の警戒は怠らない。

 移り変わる景色は、いつもの街道移動時と比べゆったりとしたものだ。

 それでも普通の街道を、普通の馬車が全速で移動している以上の速度で道なき道を走っている。


「この調子だと3時間くらいってところかねえ」


「いざって時は、空から偵察たのむぜ」


 街道を外れて移動しているとはいえ、魔導具で方位は把握している。

 またそのような魔導具など使用せずとも、西に聳える山脈の方に真っ直ぐ進めばいいだけだ。

 ちょっと方角がずれたとしても、ハイバードマンであるヨイチは自前の飛行能力がある。

 その力でもって、はるか遠い環大陸からここまでやってきたのだ。

 なので道に迷う事もないだろう。




 その後も何度か魔物を追い払いつつ、ドラゴンベースは西へと進む。

 徐々に山脈の姿が大きく見えるようになり、乗車しているため気づいている者はいないが、徐々に標高も増している……つまり緩やかな登りが続いていた。


「む、見えてきたな」


「ええ、恐らくあれがそうでしょう」


 ディルダグの街からゾボロの町に通じる支道は、最初の方は低木が所々に茂っている草原が続いているのだが、途中からは森が広がっている。

 この森は北ゾンダァール山脈の裾野に広がっており、ゾボロやその先にあるガークランの町に向かう道の途中まで続く。


 わざわざこのような場所に道を作ったのは、鉱山町を作るためと選神碑へのルートを確保する為でもあった。

 もう大分前に切り開かれた道なので、森の中を通るとはいっても比較的魔物との遭遇率は低い。

 そして今回に関しては、この森が帝国軍の数による物量攻撃を抑える防波堤ともなっている。


 運転しているリュシェルと、助手席に座っているガンテツの視線の先には、大分間近に迫っていた森の姿があった。

 リュシェルはそのまま森の外縁部まで乗り入れると、そこでドラゴンベースを収納魔導具(アイテムボックス)に収納する。


 以前ガークランに訪れた時もそうだったが、森の中の小道という事で徒歩で移動していた。

 それに今は支道にすら合流出来ておらず、現在地は森の外側部分だ。

 まずは支道に向かう必要がある。


「ここからは徒歩移動になります。ばったり帝国兵と出くわす事もありうるので、慎重に移動する事にしましょう」


「それならあたいに任せな」


 こういった仕事はシーフ職である、エカテリーナの独壇場だ。

 エカテリーナを先頭に組み、リュシェル達は森へと分け入っていった。


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