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ドラゴンアヴェンジャー  作者: PIAS
第20章 ラテニア連合国

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第763話 ズライロッジ奇襲作戦 リザルト


 ツォルキンを打ち倒した後、影治達はまだ何体か残っていた化け物を倒して周り、丸1日かけて屋敷内をしらみつぶしにして、関係者を捕縛ないしは撃滅した。


 広い屋敷内はまだまだ調査の終わってない場所もあるが、ひとまずヴェリアスをはじめとする主要な人物たちは、屋敷内の余り壊れていない部屋に集まって話をしていた。


 そこで明らかになったのは、ツォルキンを含め造魔石を飲み込んで化け物になっていたのが全部で20体いたという事と、屋敷内にコライドンという名の人物がいなかったという事である。


「まったく、とんでもないもんに手を出してくれたものじゃ。おかげで予想以上に被害が大きくなってしまったわい。エイジ達が手を貸してくれねば、更に被害は増していたじゃろうよ」


「ふぅ、全くだね。これなら最初から隕石を落としてもらった方が、よかったかもしれない」


 大規模魔術による建物の破壊を危惧していたヴェリアスだったが、結局化け物が暴れたり化け物との戦闘で大きく建物が損壊したので、結局建物を利用するには大まかな修復工事が必要となる。

 これなら全部ぶち壊してゼロから作っても、そう大差なかったかもしれない。


「あの時は屋敷内限定で降らせる事も出来るといったが、元々そうするつもりはなかったぜ。ツォルキンやグバはそのまま捕らえたかったからな」


「ツォルキンは造魔石を飲んで異形と化したが、グバは結局倉庫の隅でくたばっておったようじゃな。その身柄はエイジに渡したと聞いたが、どうじゃった?」


 ガバラ商会の会長グバ・ガバラは、街への奇襲時はいち早く危機を察して屋敷に逃げ込んだが、結局屋敷内の倉庫で死体となって発見されている。

 誰にやられたのかは不明だが、廊下の途中で傷を負ったグバは、床に点々と血の跡を残しながら倉庫に逃げ込んだ後、その傷が元でそのまま死んだらしい。

 そして制圧完了後に発見されたグバは、影治の下に送られている。


「カベリアで俺達を襲撃したり、ニューホープに密偵を送り込んだりなどについては白状したが、コライドンなる人物はグバも知らねえらしい」


 アンデッド化して聞き出した情報なので、基本的にこの情報に間違いはない。

 基本的に……というのは、生前にグバの記憶が操作されたり消去されたりしている可能性もあるという事だ。


 この場合、幾らアンデッド化で何でも喋るようになっていても、事実を忘れているのだから喋る事はできなくなる。

 或いは生前に幻覚魔術などを使用されて、嘘を真実であると誤認させられたまま死んだ者も、誤認情報を真実だと思い込んで証言する事もあるだろう。


「そうか……。僕らの方でも生き残りのツォルキンの側近を尋問してみたけど、誰もコライドンという名に覚えがないようでね。もしかしたら、その人物は特殊な魔導具を使用していた可能性が浮上した所だ」


「ふんっ! 我々妖魔を魔物に変じさせるなど、到底許せぬ凶行じゃ! どこのどいつだか知らぬが、死なせてくれと懇願する程の目に遭わせてくれよう!」


 レイミーは今回の作戦で多くの兵士を失っているが、それ以上に造魔石による魔物化に対して強い嫌悪を隠そうとしない。

 それは現代地球人で言えば、無理やり退化させて猿にさせられるのと同じような感覚なのだろう。

 それは人としての尊厳を踏みにじる、外道の行いである。


「憤るのも分かるが、造魔石についてはきちっと調べておいてくれよ? 今回はツォルキンとその配下という事で、魔物化したのは妖魔たちだけだった。だが有効なのが妖魔だけとは限らねえ」


 妖魔が元々魔物である事は、妖魔たち自身も認めている事実である。

 そして元が魔物であるからこそ、造魔石で魔物化したと聞かされても納得は出来てしまう。

 だが妖魔以外の人族であろうと、アンデッド化するという方法で魔物化する事もあるのだ。


 もしかしたら、今回使われた造魔石では人族を魔物化する効果はないかもしれないが、このようなものを生み出した連中であれば、研究を重ねて人族にも効果のある造魔石を生み出せるかもしれない。

 そうなると影治達にとっても他人事ではなくなる。


「……それもそうじゃな。あのような悍ましいものは即座に破壊してやりたい所じゃが、それでは問題は解決せん。ワシらの方でもしっかり調べておこう」


 この造魔石に関しては、影治の方でも幾つかサンプルとして引き取って研究する事に同意をもらっている。

 ヴェリアスやレイミーとしては、全て自分達で回収しておきたい所ではあったのだが、今回の件では影治たちの援護の力が大きかった。


 また造魔石という名前は、影治の錬金魔術によって明らかになった事だ。

 使用者の少ない錬金魔術は、クラスⅧまでしか使えない影治でもかなりの熟練者と言える。

 造魔石の研究に関しては、互いに研究結果を共有するという事で合意しているので、最終的に造魔石を引き渡される事となった。


「はぁぁ、それにしてもこれからが大変だね」


「そうじゃな。新しい四魔君主の選考と、オークの間に広がりつつあった人族差別主義の是正。造魔石についての調査と、これを生み出した連中への制裁」


「あとはエイジから要望のあった、元ブローム商会の人たちの捜索と保護もある。今はツォルキンが死に、僕たちが臨時に統治を代行する事になるから、それを利用して出来るだけ早く事を進めるよ」


「そうしてくれ。リーブスの奴がガッコルドにいるから、その辺の事はリーブスに任す」


「うん、僕も直接動けそうにないけど、しっかりその事は指示しておくよ」


 最初に魔導具越しに会話した時、ヴェリアスはリーブスの事を知らなかった。

 だがあれからガッコルドの街で待機していたリーブスとは、部下を通して接触を取ったようで、元ブローム商会関係者については良いように差配してくれるであろう。


「それで話は変わるけど、エイジ達はこれからエリーに会いに行くのかい?」


「ああ。選神碑は拝みにいったし、あと気になってるのはその件だけだからな。まあ途中でラテニアの首都があるみてえだから、そこでも何日か過ごすかもしれねえが」


「そうか……。出来れば僕もついていきたかったんだけど、この後は用事があって一緒に付いていけないんだよねえ」


「既に先方には会いに行くって伝えてんだから、紹介者が態々ついてこなくてもいいだろ。お前は用事とやらに専念すりゃあいい」


 これまでの会話の中で、ヴェリアスがエリーに対してある種の執着を見せることは分かっていたが、だからといって仕事を放ってついてくる程でもないらしい。


 影治達もここでゆっくりしているつもりはなく、ヴェリアス達とある程度話をし終わると、ズライロッジの街を発つことになった。

 ここからは首都アーカースを経由して、北にあるアドラーバーの街を目指す事になる。












「行きおったな。あの性悪女に会いにいくという事じゃが、行かせてよかったのか?」


「仕方ないよ。一応双方に揉め事を起こさないように忠告しておいたし、そんな大きな騒ぎにはならないと……思うよ」


 話し合いのあと、そのまま街を去っていく影治達を、四魔君主の2人が見送っている。

 1つの問題が解決したとはいえ、新しい問題が発生したり思わぬ被害を被った事で、2人とも苦々しい表情が浮かんでいた。


「やれやれ、推測か。まあ実際に会ってみて、よおおっく分かった。アレはワシらにどうこう出来る相手ではないという事がの」


「選神会からの報告では、不動勢の間に割り込んで13位になっていたそうだよ。僕らの手に追える相手ではないね。あの赤薔薇も戦いを挑んだようだけど、敵わなかったという話だ」


「あの化け物をかっ! 順位だけ言われても実際の凄さは分かりにくいが、比較対象があると分かりやすいのお」


「エイジに関しては、下手に藪をつついて蛇を出す必要もない。為政者としては、強力すぎる個の存在は脅威でしかないけどね」


 そのヴェリアスの方針は、以前行われた四魔君主が集っての会議の時から変わっていない。

 もし影治がハベイシア帝国のように亜人や妖魔を排斥しているとか、かつてのデュレイスの支配者のように極端な思考を持っている人物であれば、ヴェリアスも考えを改めていただろう。


 だがこれまで集めた情報や実際に会って話してみた感想として、そういった危険な傾向はないように見える。

 自分から敵対しなければ、影治側から何か攻撃を仕掛けてくることは恐らくないであろう。

 その事をヴェリアスは他の四魔君主にも伝えていたが、実際に影治と接したレイミーも同じ感想を抱いた。


「ワシも周囲の者に啓蒙しておいた方が良さそうじゃな。ドラゴンアヴェンジャーは……特にそのリーダーであるエイジは、アンタッチャブルな存在であると」


「今回はドローズグでの一件もあったし、少しずつラテニアでも名が広まっていくだろうね。それはそうと、僕らもあまりここでゆっくりしてられない。急いでリバーマンに向かわないと」


「全く、こんな時に大規模な軍勢が押し寄せてくるとはね」


「ここ最近は、僕たちの方が戦線を押し上げていたからね。ガンダルシアやヴォーギルも対ハベイシア同盟に加わったから、ここいらで帝国の威を示したいんだろう」


 ヴェリアスが言っていた用事とは、ハベイシア帝国が大規模な軍を編成して攻めてきた事態への対処である。

 今回のズライロッジへの奇襲に、残る四魔君主のゾルダが参加していなかったのは、この手の任務が得意ではないというのもあるが、先んじて前線に向かったからでもあった。


「そうはさせんさ。久々にワシも前線で大暴れしてやろうぞ」


 影治もその因果によってか色々と騒動に巻き込まれてはいるが、大陸規模では大きなうねりが既に起こっていた。

 それが影治達にどのような影響をもたらすのか。


 この時点でそれを知る者は誰もいない。


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